カテゴリー「農場通信」の記事

2020年6月 3日 (水)

まずは観察、それから推理     令和1年9月19日

野菜セットには、野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、数か月前の過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。

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まずは観察、それから推理     令和1年9月19日

仲秋の候、皆さま、いかがおすごしでしょうか。

  9月からカボチャが食べ頃を迎え、「収穫の秋」を演出してくれます。ところが今年の小林農場ではカボチャが全く生育してくれませんでした。小林農場では多種類の野菜を栽培していますので、カボチャが収穫できなくても他の野菜で代用しながら野菜セットを作ってゆくことができます。しかし、カボチャは皆さんに人気の高い野菜で、野菜セットの中でもその存在感は大きく、カボチャが出荷できなくなった損失は小さくはありません。

  その年の天候や土壌の状態など、様々な要因が複雑に絡み合って作物は豊作になったり不作になったりするので、その原因が分からない場合も多いです。ただ、今回はカボチャがほぼ全滅し、これだけ派手に失敗してしまうとその原因を探らないわけにはいきません。

  4月から育苗ハウスで育てたカボチャの苗を5月に畑へ植えてゆきました。それから日が経つごとに苗の葉は黄ばんで縮んでゆき、そのまま枯れて消えてゆきました。この様子から、なんらかの理由で苗の根が上手に土壌から養分を吸収できなかったと推測されます。

  大きな草で覆われていた畑を急いで耕してすぐにカボチャの苗を植えていった時には、雑草の残骸が畑に散乱していました。生の草が土の中に鋤きこまれた直後は、それらを分解しようとする微生物が湧いて出てきたりして、土の中が騒がしくなるようです。土が落ち着かない状態では、畑に植えられた苗も落ち着いて根を伸ばせなくなるのかもしれません。

カボチャの苗を植える時はそのすぐ近くに少量の肥料を与えるようにしています。今年はいつもとは違う材料で作った自家製の肥料をいつもと違うやり方で苗を植える時に与えましたが、この肥料が苗に変な効き方をしてしまったのかもしれません。

カボチャの根は土の表面に伸びてゆくので、今までは苗の周りの土の表面を雨風から守るためにモミガラを敷いていました。今年はモミガラの代わりに落ち葉を敷いてみましたが、もしかしたら落ち葉の中に変な害虫やら病原菌やらが生息していたかもしれません。

これらの推理から、「カボチャの苗を植える前にはあらかじめよく耕して雑草を抑えておいて、肥料の与え方や表面の土の保護方法は以前のやり方に戻せばよい」という対策が導き出されます。この推理と対策は間違っているかもしれません。奥深き自然界の森羅万象を人間の頭で何でも解明できるなんて考えるのは傲慢です。ただ、間違っていてもかまわないから、無理矢理にでも原因を推理してみる癖をつけたいと思っています。そうすることによって、作物をじっくりと観察しようとする癖も身につきます。観察こそが作物栽培の肝です。

カボチャが全滅することがはっきりとしてきた7月に、新たにカボチャの種を播き直してみました。果たしてこの遅い時期に種播きされたカボチャが冬になる前に収穫時期を迎えてくれるかどうかは半信半疑ですが、今のところは順調に育っています。なぜ今回は苗が畑に無事に根付き、前回は苗が根付かなかったのか、観察しながら比較しています。

  畑にカメラを携帯して、作物の生育過程を写真に収めることを趣味にしたいです。どんな角度でカメラを向けて撮ればその作物の現状を写し出すことができるのかを考えているうちに観察力が身について、作物が抱えている悩みが聞こえるようになるかもしれません。

2020年6月 1日 (月)

コロナ禍を生きる   令和2年4月23日

野菜セットには、野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、数か月前の過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。

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コロナ禍を生きる   令和2年4月23日

晩春の候、皆さま、いかがおすごしでしょうか。

  テレビのニュース番組と同じように、私も最近の農場通信では、新型コロナウイルスの話題ばかりを取り上げています。自分の心の中の不安と向き合いながら、新型コロナウイルスについて自分なりに情報を集めています。9年前に福島第一原発事故が発生した時も原発や放射性物質について時間を費やして勉強しましたが、あの頃を思い出します。

  今までのところ、このウイルスに感染しても重症化してしまう人は少ないようなので、私もあまり過剰に心配しないように心掛けています。手洗い、うがい、マスク装着、衛生管理などの感染予防を行いながらも、今まで通りに野菜を栽培して皆さんにお届けし、できるだけいつも通りの生活を送ってゆくことを心掛けています。

現在は日本全国で緊急事態宣言が発令されて、多くの方々が仕事を休まざるを得なくなって収入を失っています。この自粛が長引けば食べてゆくためのお金すらなくなってしまう人も現れて、別の理由で命の危険にさらされてしまいます。電気代も水道代もガス代も支払えなくなれば、健康を維持してゆくのも難しくなります。もしも新型コロナウイルスの終息が長引くならば、「ウイルス感染による被害」と「自粛によってもたらされる健康被害」と、どちらのほうが病人の数を増やしてしまうのか、慎重に見極めないといけません。

高齢や持病などで免疫力が低下している人は、このウイルスに感染すると重症化する場合があることもわかってきました。このウイルスによって重症化しているのは、ほとんどが高齢者の方々です。一般的には年をとればとるほど、免疫力も次第に下がってゆきます。逆の言い方をすると、年をとっても免疫力の低下を抑えられれば、病気になりにくいです。

  東京の実家で暮らしている私の父と母も間もなく80歳を迎える高齢者です。毎月、賑やかな東京から静かな小林農場へ訪問して、きれいな空気と美しい田舎の風景を楽しんでいましたが、こんなご時世になりましたので、今月は農場訪問をやめることになりました。

しばらくは毎週、小林農場の野菜セットを実家に送ることにしました。息子の育てた野菜を食べて父と母が元気になり、免疫力の低下を抑えられればよいと願っています。毎週、実家に電話をして、野菜セットについての感想を父と母からきこうと思います。身内ですので遠慮のない率直な感想を聞けそうです。それを野菜セットの品質向上に反映させます。

あらゆるところに新型コロナウイルは拡散していますので、自分の身近な人や自分自身が感染しても不思議ではありません。「このウイルスに感染しても、ほとんどの人は重症化していない。高齢や持病などで免疫力が低下している人は、感染して重症化する場合がある。」ということを再度確認して冷静に対応してゆきたいです。

日本政府は自粛要請の代償として、全ての世帯に一律に10万円の給付金を支払うことを決めましたが、小林農場は今回の自粛要請のよってあまり被害を受けていませんので、私には給付金は必要ありません。医療現場の最前線で新型コロナウイルスと対峙している医療従事者や、感染の影響を受けやすい高齢者を支援することに国費を費やしてほしいです。

追記(5月31日記入)

  以上の農場通信を書いた時は、「父や母のような高齢者にとって、新型コロナウイルスは危険かもしれない」という考えが私の頭の中にありました。

  実際は、新型コロナウイルスに感染して重症化する高齢者よりも、感染しても重症化しない高齢者のほうが,ずっと多いようです。若い世代と比べれば高齢者が重症化する危険は高まりますが、感染しても重症化しない高齢者も多いです。

参照:日本経済新聞「年代別の感染状況」

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「共存」という選択肢  令和2年5月21日  

走り梅雨に濡れた緑がいっそう深まっております。皆さま、いかがおすごしでしょうか。

  近代の一般的な作物栽培では、作物の生育を阻害する病原菌を退治するために、農薬を畑に散布します。しかし農薬は病原菌だけではなく畑に生息している他の生き物にも害を与えて畑の生態系が壊れる危険がありますので、小林農場では農薬を使いません。多様な生き物が暮らす豊かな生態系でなければ作物も健全に育つことができないと考えています。

  生息している生き物の少ないような貧しい生態系に、病原菌が好んで繁殖したりします。それを退治するために農薬を散布すればさらに生態系が壊れます。次第に病原菌は農薬に対する耐性を身に付けてしまうので、さらに種類の違う農薬を開発して散布しなくてはいけなくなります。病原菌を撲滅しようとすればするほど、悪循環へ陥ってしまいます。

  無農薬栽培では、病原菌とも共存してゆくことを考えます。いろんな生き物が共存していれば、病原菌だけがいつまでも繁殖することはありません。ときどき作物が病気にかかる場合もありますが、「少しくらいは病原菌にも作物を食わせてやれ」くらいの大らかな気持ちを持って病原菌と接してゆくことが、無農薬栽培を続けてゆくためのコツだと思います。

  現在、世間で最も有名な病原体といえば、新型コロナウイルスです。どうやらこれからもしばらく、このウイルスは消えてなくなることはなく、私達の社会に居座るらしいです。

私達が長く付き合ってきたインフルエンザウイルスも新型コロナウイルスと同じ風邪の仲間です。厚生労働省によると、日本国内では年間で約1000万人というたくさんの人達がインフルエンザにかかります。私達は周りの人達との間で頻繁にインフルエンザウイルスをうつしたりうつされたりしながら暮らしてきました。そして国内で毎年、約1万人の人々が誰かからうつされたインフルエンザウイルスが原因で重症に陥り命を失っています。

「手洗いやマスク装着などをしてインフルエンザウイルスの感染防止につとめるけれども、それでも人からウイルスをうつされる場合もあるし、人にウイルスをうつしてしまう場合もある。それをお互いに責めたりしないで、許し合いましょう。」という「暗黙の了解」の基で、今まで私達の社会は大らかにインフルエンザウイルスと共存してきました。

厚労省や国立感染研究センターから公表されている統計を見ると、新型コロナウイルスが日本国内で確認され始めた1月下旬から5月下旬までの間に、新型コロナウイルスによって死亡した人数よりもインフルエンザウイルスによって死亡した人数のほうが多いようです。死亡者数だけを比べて言えば、インフルエンザウイルスのほうが人を殺す力の強い相手だといえるかもしれません。そんな恐ろしいインフルエンザウイルスと共存してきた私達ならば、新型コロナウイルスとも共存してゆけるのではないかと、私は考えています。

病原菌のことばかりを心配していると、畑へ過剰に農薬を散布してしまうようになって大切な生態系を壊してしまいます。今後も手洗いなどを続けて新型コロナウイルスの感染予防につとめることは大切ですが、新型コロナウイルスのことばかりを心配しすぎると、人と接触することを過剰に恐れてしまうようになり、大切にしてきた人生を壊してしまいます。

追記(5月30日記入)

  新型コロナウイルスは未知のウイルスですが、インフルエンザウイルスは私達にとって馴染みのあるウイルスです。

インフルエンザウイルスと比較すれば、新型コロナウイルスの実力を推測しやすくなるかもしれません。

新型コロナウイルスが日本列島に上陸してからの約4か月間、新型コロナウイルスによる死亡者の数は、同じ時期に発生したインフルエンザウイルスによる死亡者の数よりも少ないようです。

インフルエンザでは高齢者だけでなく乳幼児なども亡くなることが少なくないのですが、新型コロナでは今までのところ、国内の20歳以下の子供たちの死亡者の数はゼロです。

参照:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症について・国内の発生状況」

参照:国立感染研究所「インフルエンザ関連死迅速把握システムによる2019/2020シーズン21大都市インフルエンザ・肺炎死亡報告」

インフルエンザウイルスなどの他の病原ウイルスと比較してゆくことにより、私達は冷静に新型コロナウイルスと対峙してゆけるようになるのではないかと、私は考えています。

 

2020年5月19日 (火)

ウイルスと戦うための武器  令和2年4月16日

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ウイルスと戦うための武器   令和2年4月16日

花冷えの候、皆さま、いかがおすごしでしょうか。

  以前に私の師匠の鶏舎で養鶏について学ばせていただきました。風通しと日当たりの良い野外に鶏舎が建てられ、広々とした床で鶏がのびのびと健全に暮らしていました。

  近代の多くの養鶏場では、室内の部屋に鶏をたくさん詰め込みながら飼育しています。そうしたほうが鶏を自分に都合良く管理できて、卵を効率的に大量生産できます。しかし、菌やウイルスなどの病原体は密集・密接・密閉の環境に繁殖しやすいので、もしも病原体が室内に侵入してきたらたちまち全部の鶏に病気が広まってしまうため、室内に殺菌剤を散布する必要があります。そして、たくさんのワクチンを鶏に投与する必要もあります。

  ワクチンによる予防接種では、少量の病原ウイルスをわざわざ体に注入させて、体を軽くウイルスに感染させます。そうすると体の中にそのウイルスに対する免疫が築かれて、その後は体にウイルスがたくさん侵入してきても免疫によって発症しにくくなります。

  そのウイルスに対する免疫は、そのウイルスに感染することによって築かれます。

野外で健全に育てられている師匠の鶏は、ほとんどワクチンに頼らなくても病気にかかりませんでした。野外にはさまざまな病原体が浮遊していて、常に鶏に軽く感染していますが、健康な鶏ならそれで病気になることは少ないです。軽く感染することによって、まるでワクチンを注入されたかのように、鶏の体にその病原体に対する免疫が自然と出来上がります。

 数年前に「鳥インフエンザウイルス」という新型の病原ウイルスが現れて、複数の養鶏場で大量の鶏が次々に感染・発症して、命を落としました。新型のウイルスに対するワクチンはなく、その毒性が強ければ、鶏が新たに免疫を獲得するよりも先に、死に至ります。

  新たに登場した病原体・新型コロナウイルスは、ヨーロッパやアメリカなどの地域で猛威をふるって多くの犠牲者を出しましたが、日本列島の環境ではその実力を発揮できていないようで、今までのところ、日本国内でこのウイルスに感染して重症化する人の数は少ないです。このウイルスに感染しても症状が出ない人が多いことも分かってきました。

現時点(4月18日)に国内で確認されている感染者の累積数は約7000人ですが、おそらく未確認の感染者の数はその何倍もいるのではないかと言われています。このウイルスに対するワクチンはまだ開発されていませんが、すでに感染している人は、ワクチンを打たなくてもこのウイルスに対する免疫を獲得できている可能性があります。もしかしたら私も皆さんもすでにウイルスに感染していて、知らないうちに免疫を獲得しているかもしれません。  

やがて大勢の人々が新型コロナウイルスをやっつけることのできる免疫力を獲得すれば「免疫の防壁」が社会全体に築かれて、持病や高齢などで免疫力が弱っている人々もウイルスに感染しにくくなり、「終息」が宣言されます。発症して重症化してしまう感染を「悪い感染」、重症化せずに免疫を獲得できる感染を「良い感染」とするのならば、現在の日本では、新型コロナウイルスから「悪い感染」よりも「良い感染」を受けている人のほうがかなり多いのではないかと、自分の願望をたっぷりと盛り込みながら、期待したいです。

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追記(5月19日記入)

今後も度々、新型コロナウイルスが流行するのではないかと言われています。

・感染したら重症化するかもしれないので、感染するのを回避するために外出を自粛したほうがよいのか

・それとも、新型コロナウイルスに対する免疫を自力で獲得することを目指して、いつもどおりに外出して、少しづつこのウイルスに感染していったほうがよいのか

どちらのほうがよいのか、考えてゆきたいです。

2020年5月 7日 (木)

数字を追う   令和2年3月19日

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字を追う   令和2年3月19日

春分の候、皆さま、いかがおすごしでしょうか。

  9年前の今頃、3月11日に発生した福島第一原発事故によって有害な放射性物質が東日本全体に飛散し、広い範囲で農地も汚染されました。「東日本で採れた農産物は汚染されて、今後は安全に食べられなくなるのではないか」と、農家は大きな不安に苛まれました。

闇雲に心配ばかりしているわけにもいかず、農産物の安全性を確かめるため、各地で農産物の放射能検査が行われました。私も何度か、自分の畑で採れた作物を検査しました。

放射性物質は人の目には見えませんが、探知機で探知することができます。放射線量は「ベクレル」という単位で表されますが、日本政府は農産物の安全基準値を「100ベクレル/kg」と定め、この数値を超える農産物は出荷禁止されることになりました。「政府の定めた基準値では甘すぎる」と、さらに厳しい安全基準値を独自に定めて農産物を検査する販売店もあり、私もどの数値までを「安全」と定めるのか、自分なりに勉強してみました。

今では東日本で採れた農産物はあまり放射能汚染の悪影響を受けていないことが分かり、それほど心配せずに食べられます。なぜそう言えるかといえば、各地で継続されている放射能検査で、ほとんどの農産物の検査結果の数値が極めて低いからです。農家は「ベクレル」という単位の数値を指標にして、自分達の農産物の安全性を冷静に把握してゆきました。

今、新型コロナウイルスの登場により、福島第一原発以来の国難を迎えています。私もいろいろと情報を集めて、冷静に状況を把握できるような指標はないか、探しています。

ある専門家は科学的な根拠を示しながら、「1週間で1万2千人を超える新たな患者数が発生するようなら非常事態だと判断して、外出を控えるなど行動を制限すべき」と、具体的な数字を提示していました。現在(3月19日)の日本国内では1週間に増加した患者数は数百人程度で、非常事態だといえるような状況ではなく、過剰に心配しすぎて自粛しすぎると経済活動が停滞して人々の生活が苦しくなるのでバランスをとるべきだとも述べていました。

私の感覚では上記の基準は緩すぎると思うので、他に自分が納得できるような基準をみつけられればよいと思います。一日にどのくらいの患者数が増減しているのか、その数を指標にしてゆくのがよさそうです。それで感染は拡大しているのか、収束しているのか、自分はどの程度ならば外出してもよいのか、冷静に判断しやすくなると思います。毎日、新型コロナウイルスの患者数を確認しています。数字を追って頭の中を整理したいと思います。

普段の私は、数字を気にしながら暮らすことが大嫌いです。自分が食べている食べ物のカロリー量や自分の体重をいちいち気にしていたら、楽しく食事ができなくなります。

偏差値は学生の学力を表すのに便利な数値ですが、偏差値を重視しすぎると「偏差値の高い学生は人間的に優れていて、低い学生は人間的に劣っている」という間違った認識を生んでしまったりします。農産物の「糖度」を計って、その数値が高い農産物が良品とされますが、その農産物の本当の価値を数値にして表すことは難しいと思います。非常時には数字が重要な指標となり、普段はできるだけ数字にこだわらないほうが楽しいと、私は考えます。

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追記(5月7日記入)

・政府が公表している「実行再生産数」も、現在の新型コロナウイルスの感染力を把握するのに参考になります。できれば、もっとマメに公表してほしいです。

・新型コロナウイルスの抗体検査が進み、新型コロナウイルスの致死率(感染した人が死亡する確率)も解明されてきているようなので、注目したいです。

・政府が公表している「感染者数」は、確認された感染者のみしか公表されていません。未確認の感染者も多いので、公表されている「感染者数」は注目せず、「患者数」「死亡者数」に注目したいと思います。

・各国の新型コロナウイルスによる死亡者数を比較してみると、ヨーロッパでは多いのに対して、アジアでは少ないことが分かります。新型コロナウイルスによる被害状況は世界で一律ではないことが分かります。

・私達に馴染の深いインフルエンザウイルスも新型コロナウイルスと同じ風邪の仲間なので、過去のインフルエンザの被害状況と比較すると、新型コロナウイルスの実力が推測できるかもしれません。過去の日本国内でのインフルエンザの被害状況は、「インフルエンザが原因で死亡する人数は、年間1万人」「インフルエンザの患者数は年間1000万人」です。

2020年4月30日 (木)

皆、不安と戦っている      令和2年4月9日

野菜セットには、野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、数か月前の過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。

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皆、不安と戦っている      令和2年4月9日

うららかな春日和、皆さま、いかがおすごしでしょうか。

  新型コロナウイルス禍をきっかけに、私も手を何度も丁寧に洗う習慣が身に付きました。手首、手のひら、手の甲、指の間、指を一本ずつ、指先、爪の間を順番に洗っています。

  連日の新型コロナウイルスの情勢に不安を感じている人も増えています。私も野菜セットを皆さんのご自宅にお届けする際は、マスクを装着するようにしました。マスクは店では売り切れていて買えないので、ガーゼと輪ゴムでマスクの代用品を自分で作りました。作り方はとても簡単で、30秒で作れます。インターネット上にはハンカチなどの身近にあるものでマスクの代用品を作る作り方を紹介している動画がたくさん公開されています。

  ウイルスは人の目には見えず、どこにいるのか分かりません。どんなに注意していても他人からウイルスをうつされることもありますし、他人にウイルスをうつしてしまうこともあります。それはウイルスが悪いのであって、その人が悪いわけではありません。

  地球上に新たに登場した新型コロナウイルスは、ヨーロッパなどの地域で猛威をふるまいしたが、日本列島の環境には適応しきれていないようで、今までのところ日本では、爆発的な被害を与えることができていません。日本に上陸してきた新型コロナウイルスの殺傷能力については、「おそらくインフルエンザウイルスと同じくらいではないか」という見解も多いようです。現在(4月9日)までに確認されている新型コロナウイルスの感染者数は約4000人ですが、同じ時期に発生したインフルエンザの患者数は少なくとも数万人はいます。

インフルエンザも軽い病気ではなく、厚生労働省によると、日本国内で年間に1000人前後がインフルエンザで亡くなり、およそ1万人がインフルエンザによる合併症によって亡くなっています。国内でインフルエンザにかかる人数は年間でおよそ1000万人。つまり、10人につき1人がかかります。1日に患者数が数万人も増えることも珍しくありません。

そのような状況の中でも毎日、大人たちは職場で働き、子供たちは学校に通い、各地で催しが開催されていました。私達の社会はインフルエンザウイルスと共存してきました。

もしも新型コロナウイルスがこのまま日本列島に長く居残ることになるのであれば、今まで私達が、1年間で1万人の日本人の命を奪ってきた恐ろしいインフルエンザウイルスと共存してきたように、新型コロナウイルスとも共存してゆく道を探ってゆくことになるのでしょう。現時点では新型コロナウイルスに感染した人の多くが回復し、特にほとんどの子供たちが無傷です。感染によって重症化した方々のほとんどは高齢者であり、対策に力を集中すべき年齢層も絞られています。全く共存できない相手ではなさそうに思えます。

今はまだ、医療従事者もこのウイルスに対する免疫がなく、新手のウイルスに対する医療体制が整っていません。もしもウイルス感染による患者数が急増して医療従事者に過度な負担がかかれば、医療現場が崩壊します。これを恐れて社会全体が戦々恐々としています。

私は毎日、厚生労働省が公開している、その日の新型コロナウイルスの患者数の増減を確認するようにしています。この数字が今後の自分の行動を決めてゆく指標となります。

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追記(4月30日記入)

新型コロナウイルスで重症化する方々のほとんどが高齢者です。

若い年代と比べれば、高齢者がウイルス感染によって重症化する危険性は高まりますが、それでも、感染して重症化する高齢者よりも、感染しても重症化しない高齢者のほうがずっと多く、高齢者も重症化する確率がそんなに高いわけではありません。

現在の事態に冷静に対応するために、過剰に楽観したり不安になったりしないように心掛けています。

そのために、新型コロナウイルスの患者数や回復者数などを毎日、確認しています。客観的な数字を追う習慣をつけています。

過去のインフルエンザウイルスの患者数などとも比較して、今の新型コロナウイルスの被害の大きさはどの程度のものなのか、考えるようにしています。

2020年4月13日 (月)

免疫力を高める時   令和2年3月5日

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免疫力を高める時   令和2年3月5日

寒さもだいぶゆるんできた今日このごろです。皆さま、いかがおすごしでしょうか。

  今、世間を騒がせている新型コロナウイルスは風邪の一種です。私は小林農場を設立してから一度も風邪をひいて寝込んだことがありません。私は畑に一人で仕事をしている時間が長く、外出して他の人と会う時間が短くて人から風邪をうつされる機会が少ないです。

  多くの人達は職場などで複数の人と接しながら暮らしています。だから日本政府などが国内に、「外出して自宅に帰ってきたらよく自分の手を水洗いして、手に付着しているかもしれないウイルス菌を落とすように」と、手洗いの重要性を度々呼びかけています。

  そして、「もしも咳や発熱などの新型コロナウイルスの症状が現れたら、他の人にうつしてしまわぬように外出を控えてほしい」とも呼びかけています。今まで毎週、一度も休まずに野菜セットを皆さんにお届けしてきたことが私の自慢なのですが、もしも私にも咳や発熱などの症状が現れましたら出荷をお休みさせていただき、回復するまで自宅で養生していようと思います。休まなくてもよいように、いつもよりも丁寧に手洗いをしています。

  現時点では新型コロナウイルスに感染した人の多くは軽症ですみ、特に赤ちゃんを含めた子供たちが感染後に重症化した事例はほとんどないようです。感染した高齢者が重症化することはあるようですが、高齢によって免疫力が落ちているのが原因だと思われます。免疫力が高い人の体には新型コロナウイルスは侵入しにくいことも分かってきています。

十分に睡眠をとったり、適度に運動したり、規則正しい生活を送ることにより免疫力を高めてゆけるようです。普段から規則正しい生活を心掛けてゆくべきですが、今回のウイルス騒動は不規則になりがちな自分の生活を見直して改善するのに良い機会となります。

食事の摂り方も免疫に影響を及ぼすようです。「よく噛んで食べること」「食べすぎずに腹八分を守ること」が免疫力を高めるのに良いようです。自分の命を支えてくれる食べ物に対して感謝の念を抱いてかみしめながら食べれば、自ずと健康的な食べ方になります。

  みそや漬け物などの発酵食品も免疫力を高めるのに優れているようです。日本では昔からご飯にみそ汁と漬け物を組み合わせた食事が食べられてきましたが、昔ながらの食事は現代の日本人の体にも適しているようです。野菜の煮汁や野菜の外皮にもたくさん栄養が含まれているので、それらを捨てずに丸ごと大事に食べると栄養素がたくさん摂れます。

  日本政府はついに、全国の学校に臨時休校をするように要請し、子供たちにはできるだけ外出しないように呼びかけています。小林農場の野菜を食べてくださっているご家庭には小学生、中学生、高校生のお子さんもいますが、唐突すぎる政府の要請にとまどっているご家庭も多いのではないかと思います。笑うことも免疫力を高めるのに良いようですが、様々な催しが次々に中止されて、施設も閉じられて、笑顔になれる場が消えていっています。

免疫力を高める食材といえば、野菜です。私が今まで風邪をひかなかったのは、小林農場の野菜を常食してきたおかげでもあると思っています。農場の野菜が皆さんの免疫力も高めているのであれば嬉しいです。小林農場はいつも通りに野菜をお届けし続けます。

2020年4月 4日 (土)

販売先ならば、ある     令和1年9月26日

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販売先ならば、ある     令和1年9月26日

秋色の候、皆さま、いかがおすごしでしょうか。

  私が農家として独立した当時、私にはあまり貯金も収入もなかったので、父と母から経済的に支援してもらいながら小林農場を設立いたしました。農場は順調に販売先を拡大して収入を増やしてゆき、経済的にも私は専業農家として独立できるようになりました。

  去年から農場の生産量が落ちてゆき収入が減って経営が赤字となり、貯金が減ってゆきました。出費を抑えながら経営を黒字に戻そうとしましたが、残念ながらここまで赤字が続いてしまっています。このままではいずれ、農場の貯金は底をついてしまいます。

  地元の学校給食に野菜を出荷している生産者団体に私も入れていただいていますが、学校給食では特にジャガイモの需要は高く、数年前までは小林農場からもたくさんのジャガイモを出荷させていただきました。しかし最近は3年連続でジャガイモが不作となり、学校給食に出荷する回数が減り、地元の学校との縁がすっかり遠のいてしまいました。

玉ねぎも学校給食で需要が高いので、来年は玉ねぎをたくさん出荷してみようと思います。9月には来年収穫される玉ねぎの種を播きましたが、いつもよりも多く種を播きました。ジャガイモ栽培も改善して、再びジャガイモをたくさん出荷できるようにしたいです。

  地元の直売所は店内の野菜がすぐに売り切れてしまうので、地元の農家にもっと野菜を出荷してほしいと呼びかけています。小林農場の収入が減っているのは収量が減っているからであり、販売先が見つからないからではありません。販売先ならば、あります。

しっかりと野菜栽培を改善して収量を増やせば、農場の経営も黒字に戻るでしょう。全ての作物の収量を上げてゆくのは難しいですが、ジャガイモや玉ねぎなど、たくさん出荷できる見込みのある作物の栽培に特に力を集中させれば効率良く収入を増やせるでしょう。

先日、知り合いの農家の方が結成した生産者団体が、お得意の出荷先より大量のほうれん草の注文を受けたようで、小林農場もほうれん草をたくさん出荷してみないかと声をかけてくださいました。それにしてもものすごい量の注文量で、これだけの量のほうれん草を栽培して出荷するには、かなり広い栽培面積とかなりの労働時間が必要となります。

はたして私の実力でこの注文量に対応してゆけるのかどうか。簡単に注文を引き受けてしまって、もしもほうれん草が不作でお約束通りに出荷することができなくなったりすれば出荷先の信頼を損ねてしまい、生産者団体の皆さんにもご迷惑をおかけすることになります。この話をいただいた時は思わずためらいましたが、農場の収入を増やさなくてはいけない時期ですので、ありがたく今回のほうれん草の出荷に参加させていただくことにいたしました。十月には広い畑の隅から隅まで、ほうれん草の種を大量に播いてゆく予定です。

  農業で生計を成り立たせてゆけるだけの収入を得るには、無理をしなくてはいけない時もあります。野菜セットは、その時の自分の畑の状況に合わせながら出荷できますので、無理をすることなく楽しく出荷できます。野菜セットを定期購入してくださるご家庭を増やすことができれば、無理なく楽しく農業で生計を成り立たせてゆけるようになります。

2020年3月28日 (土)

動物と人が共に暮らす風景   令和1年9月12日

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動物と人が共に暮らす風景   令和1年9月12日

朝夕は日毎に涼しくなってまいりました。皆さま、いかがおすごしでしょうか。

  去年の夏、捨てられていた猫の赤ちゃんを私が引き取ることになりました。オスのトラネコで、私の掌に収まるくらいのこの小さな赤ん坊に、「ヤチオ」と名前を付けました。

  ヤチオの体はどんどん大きく育ち、夜にはエサを食べに住まいに帰ってきて、朝になれば外へ遊びに飛び出す毎日を送っていました。近所の飼い猫ともよくじゃれ合い、ご近所さんにも気に入られてかわいがられていました。私が飼っている犬にもヤチオは懐き、私が犬を連れて散歩に出掛けると、ヤチオもその後をずっと勝手についてきていました。

  先週からヤチオが夜になっても住まいに戻らなくなり、その姿がどこにも見当たらなくなりました。数日間後、住まいの外側に設置している灯油タンクの下に、体を丸めてうずくまっているヤチオの姿を発見しました。もう動くことはなく、死んでいました。

  ヤチオの首筋には深く切り裂かれた傷跡が走っていました。外で遊んでいる最中に何かしらの獣とケンカしたのかもしれません。どこかで致命傷を負った後、ヤチオは最後の力をふり絞って私の住まいまで帰ってきてくれました。ヤチオが生きているうちに私が早く見つけ出してやれば命を救うことができたかもしれないと思うと、胸が苦しくなります。

  洗濯物を干す竿のすぐ近くに亡骸を埋葬し、ささやかなお墓を建てました。私が洗濯物を干す度に私の足音が地下に伝わり、ヤチオもさみしがらずに永眠できると思います。

  動物愛護団体などは、飼い猫を外には出さずに室内で飼うことをすすめています。外には危険もあり、飼い猫を長生きさせたいのであれば外に出さないほうが安全でしょう。ただ、外に出ることができずに不自由だけれども安全な生涯と、危険はあるけれども広い外の世界を好きなだけ駆け回れる自由な生涯と、猫にとってはどちらが幸せなのかはわかりません。わずか1年間のヤチオの生涯でしたが、私はその短い生涯を不幸だったとは思いません。

  猫にはネズミを捕まえるという本能があり、作物や収穫物を食い荒らしにやって来るネズミを見張ってくれます。農村では飼い猫を室内に閉じ込めることは滅多にしません。

  私が農業研修生として師匠の農場で研修させていただいた頃、野菜栽培の他に養豚や養鶏も学ばせていただきました。広い放牧場が用意されていて、そこに放たれた豚や鶏は太陽の光を浴びながら走り回り、夢中になって土をほじくり返したりしていました。

  近代の畜産では、狭い畜舎に多数の家畜をぎゅうぎゅうに詰め込んで育てる飼育方法が主流となっています。そうしたほうが効率的に大量の肉や卵を生産できます。それでも私の師匠は、家畜が広々とした大地でのびのびと暮らしている風景を大切にされていました。そのように育てられた農場の豚の肉や鶏の卵はおいしくて安全だと、好評でした。

  豚や鶏は人間に食べられるためだけに存在しているのではないし、犬や猫も人間に癒しを与えるためだけに存在しているのではありません。本能の赴くままに自由に体を動かして命を全うしたいという願いを携えながら存在しています。その願いに寄り添うことにより人は動物と心を通わせられるということを、ヤチオは私に思い出させてくれました。 

2020年3月24日 (火)

農が防災の常備品     令和1年9月5日

野菜セットには、野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、数か月前の過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。

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農が防災の常備品     令和1年9月5日

涼風の候、皆さま、いかがおすごしでしょうか。

  毎年9月1日は「防災の日」。自然災害多発地帯に位置する日本列島では毎年、地震や豪雨などでどこかの市町村が大きな被害を受けています。日本で暮らしていれば誰もが被災者になる可能性がありますので、自然災害に備えておく必要があります。

  8年前の東日本大震災では栃木県も大きな被害を受けましたが、流通が寸断されて食材が県内に運ばれにくくなり、スーパーやコンビニエンスストアの棚には食材の姿が消えて空となり、しばらくの間、食材を購入しにくい状況が続きました。被災した後に食材を探し求めようとするのでは遅すぎます。いつも自宅に防災食を常備しておくことが肝心です。

自然災害が発生した後、住まいが壊れずに無事でも、数日間は電機・水道・ガスが使えなくなります。料理がいちじるしくやりにくくなりますので、缶詰やレトルト食品など、常温で長期間貯蔵ができて料理の手間が省ける食材を防災食として常備しておくとよいです。野菜ではジャガイモなどの常温でも保存が効くものが防災食として有効です。

  長く貯蔵できる防災食にも賞味期限はあります。すでに賞味期限の切れていることに気づかぬままこれらの防災食を棚の奥に放置したまま無駄にすることがないように、普段の食生活にも防災食を消費して、消費した分を買い足してしまっておくとよいです。

  最近の缶詰やレトルト食品はおいしくて種類が豊富なので、普段の食生活にも取り入れられます。普段から防災食を料理していればどの防災食が自分の口に合うのか事前に確認できますし、自然災害が発生して防災食に頼らなくてはいけなくなった時に、いつも食べ慣れている防災食を食べれば気持ちも落ち着きます。被災時だからといって自分の口に合わない防災食を我慢して食べれば、逆にストレスを溜めてしまうかもしれません。

  ペットボトルに詰められた飲料水や、カセットコンロやボンベを常備しておけば、水道やガスが使えなくなっても最低限の料理ができます。普段から庭でバーベキューをしたりキャンプ場でキャンプしたりする習慣があれば、その経験は被災時にも応用できます。「停電ごっこ」「断水ごっこ」を楽しめるようになれれば、しめたものです。

  特別に防災訓練をするのではなくて、普段の日常生活の中で防災に必要な準備が自然と身についてゆければよいです。農家は自分の畑で常に作物を栽培していますので、被災しても畑が無事ならば畑から食材を確保できます。農業を営むこと自体が防災となります。

  被災後にはガソリンなどの燃料も入手しにくくなるので、普段からマメにガソリンスタンドに寄って、野菜セットを皆さんのお宅にお届けする配送車などの燃料を常にたくさん貯えておくようにしています。再び栃木県が自然災害に襲われても、小林農場は普段通りに皆さんに野菜セットをお届けできるように準備しておきたいと思います。

被災時にはジャガイモなどの常温保存できる種類の野菜を多めに入れたりして被災時用の内容に変更するとは思いますが、基本的には普段とあまり変わらない内容でお届けしたいです。被災時でも「普段通り」に生活できれば元気も出てくるでしょう。

2020年3月17日 (火)

「畑の土」ができるまでの長い道のり    令和1年8月29日

野菜セットには、野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、数か月前の過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。

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「畑の土」ができるまでの長い道のり    令和1年8月29日

晩暑の候、皆さま、いかがおすごしでしょうか。

  先日、地元の市貝町にて畑の土作りについての見学会・勉強会が行われて、私も参加させてもらいました。まず、数件の農家の方の畑を見学させていただき、実際にスコップで土を掘り返してみたりしてその土の状態を確認して、いろいろと意見が交わされました。

  見学した畑は中山間地に位置していて、土の色は赤くて、一目見ただけでも土が粘土質で固いことが分かりました。小林農場の畑の土とそっくりだと思いました。

  参加者からは、「このような固い土で野菜を栽培するのは大変でしょう」とその畑を管理されている農家をねぎらう声や、「このような固い土ならば、野菜を育てるよりも果樹を植えて果物を育てるとよい」という意見なども出されましたが、それらの意見はまるで小林農場の畑に対しても向けられているように聞こえました。「ここは山の土であって、まだ畑の土にはなっていない」という意見を聞きながら、私の畑も「山の土」なのだと思いました。

  「畑の土」では土が柔らかくてよくほぐれて、農家は畑仕事がやりやすくて、作物も根を伸ばしやすいです。雨がたくさん降っても排水が良く、逆に雨が全く降らなくても土中の水分を逃さずに保水して、スポンジのように常に水分が適量に保たれています。

  いっぽう「山の土」の小林農場の畑は粘土のようで、雨が降るとグチャグチャに練られ、乾くとカチカチに固まり、土がほぐれにくいです。梅雨が明けてから1か月間ほどはほとんど雨が降らずに土が乾いて固まり、トラクターで耕そうとしても固すぎて刃がはね返されてしまい、先週、久しぶりに雨が降って土が潤うまでは耕せませんでした。小林農場の畑は中山間地を新たに開墾して作られ、畑としての歴史が浅く、「畑の土」になっていません。

  小林農場での「土作り」とは、「山の土」を「畑の土」へ、「固い粘土」を「柔らかなスポンジ」へ変えてゆくことを意味します。堆肥を散布するのが基本的な土を作るやり方で、とりあえず空いている畑に堆肥を散布してきましたが、それで土が柔らかくなる時もありますが、また固くなったりもしました。小林農場の広い畑の全てに堆肥を散布してゆくのも大変です。まだ小林農場では、これでいいと思えるような土作り方法が確立されていません。

今回の勉強会では、家畜の飼料として栽培される牧草を土作りに利用してゆくやり方を学びました。牧草は固い山の土でも背丈を伸ばして旺盛に生育し、その根も地中深くまで伸びて固い土をほぐします。茎葉が枯れた後に土の中に鋤きこめば、さらに土がほぐれます。

  私も何度か畑に牧草の種を播いて生やしてみたことがありますが、その後の土は固いままの場合が多かったです。たった1年や2年くらい牧草を生やしているだけでは意味がないようです。土作りには長い年月を費やす必要があり、今回の勉強会でも最低5年間は牧草を生やし続けて、その間は作物を栽培しないで土作りに専念するように教わりました。  

私も試しに、畑の1部を長い年月をかけて牧草で土作りをしてみたいと思います。「山の土」が「畑の土」に生まれ変わる頃には、私の年齢も40代から50代へと変わっているでしょう。土が生まれ変わるには年月がかかるものなのだと、腹を据えたいと思います。

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