顔を見せるのが苦手な農家による顔の見える農場 令和5年6月8日
野菜セットには野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。
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顔を見せるのが苦手な農家による顔の見える農場 令和5年6月8日
梅雨の候、皆さま、いかがおすごしでしょうか。
先日の日曜日に小林農場の地元の市貝町でのお祭り「SATOYAMAヘルシーマーケット」が開催されて、小林農場も農産物を持参して出店させていただきました。地元の市貝町や芳賀郡にお住いの方々の他にも宇都宮市や茨木県などの様々な地域にお住まいの方々も会場まで足を運んでくださいました。来場してくださった皆様に感謝をもうしあげます。
私は東京都の下町に生まれ育ち、生粋の江戸っ子なのですが、人が集まる祭りのような賑やかな場所が苦手でした。人と顔を会わせるのを辛く感じて、「誰とも会わずに一人で静かに暮らしたい」と願うこともあり、それで今は、他に誰もいない広い畑に一人きりで畑仕事をする生活を送ることになり、農家になることによって私の願いはかなえられました。
たくさんの消費者の皆さんが、小林農場のような小さな農場から野菜を購入してくださっています。「顔の見える生産者から安心して商品を買いたい」と考えている消費者も多いと思いますが、大規模な農場よりも小さな農場のほうが消費者には顔が見えやすいかもしれません。小林農場のような小さな農場が生き残ってゆくためには消費者に自分の「顔」を見せるようにして、自分はどのような考え方に基づいてどのような生産方法で野菜を生産しているのか伝えて、それに共感してくれる消費者を募ってゆくことが大切だと思います。SATOYAMAヘルシーマーケットにも出店して、人前に顔を出すようにしています。
SATOYAMAヘルシーマーケットの会場に足を運ぶ来場者の皆さんの中には、出店者達との会話を楽しみにしている方々も多いと思います。私は人と顔を会わせて会話をするのが苦手ですが、農産物の他にも面白そうな小道具も会場に持参して店頭に飾り、それらを「話のネタ」にしながら来場者の皆さんとの会話をできるだけ楽しめるように工夫してみました。来場者に小林農場の野菜セットを宣伝することも話のネタとなり、この催しで野菜セットのことを知って定期購入を申し込んでくださる方々も複数いらっしゃいました。
最近では「人に自分の表情を見られるのが恥ずかしい」と思ってずっとマスクを着けて顔を隠しながら暮らしている日本人が増えているようで、人と顔を会わせるのが苦手な私もその心境をなんとなく理解できます。生まれつき脳の機能に障害があって人との会話がうまくできない「発達障害」と診断される大人や子供も少なくないようで、私にも発達障害があるのかもしれないと思いたくなるほど、私も人と顔を会わせるのが苦手です。そんな私が、いつの間にか消費者に顔の見える農家を目指しながら暮らすようになっていました。
発達障害の人達など、うまく人間関係を築けずに仕事を長く続けられず悩んでいる大人達も少なくないようですが、そのような人達に農業という職業は適しているのかもしれません。主に人を相手にするサービス業とは違い、農業では主に作物や家畜を相手にしますので、人との会話が苦手でも務まります。そして人間が生きてゆくためにはまずは食料が必要なので、食料を生産する農家は必ず社会から必要とされます。食料を提供することで多くの人々に喜ばれて、人と会話をするのが苦手でも胸を張って人と接することができます。
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