端境期開始の合図 令和5年3月2日
野菜セットには野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
端境期開始の合図 令和5年3月2日
春寒次第に緩み、皆さま、いかがおすごしでしょうか。
三寒四温を繰り返しながら、冬から春へと移ろうとしています。2月下旬の頃には出荷場に保存していたカボチャの傷みが目立ち始めて、全てが傷んでしまう前に在庫をできるだけたくさん野菜セットに入れて急いで出荷いたしました。先日、野菜セットを定期購入してくださっているご家庭より、「届けられたカボチャがすぐに傷んでしまって料理できなかった」というご報告をいただきました。今季のカボチャの出荷は停止したいと思います。
前年の秋に収穫時期を迎えていたジャガイモ、人参、大根、カブ、ゴボウ、白菜、カボチャなどは、気温が低い冬の頃は食べ頃を迎えた状態のまま生育を止めて冬眠しているので長期間保存しながら出荷し続けることができます。3月に入る頃になると気温も暖かくなって冬眠から覚めて生育を再開して、老化も進んで傷みやすくなって寿命を迎えます。
真冬の頃に作物の種を播いても寒すぎてまともに生育できないので、2月に入るのを待ってから春野菜の種を新たに播きます。これらが収穫時期を迎えるまでには時間がかかり、3月と4月は1年で最も収穫できる野菜の種類が少なくなる「端境期(はざかいき)」となり、最も野菜セットに入れる野菜の種類を確保するのに苦心する時期でもあります。収穫できる野菜の豊富な時期は最も品質の良い品物のみを選んで野菜セットに入れますが、端境期の時期は収穫できたものなら何でも野菜セットに入れようとしてしまいます。
ゴボウは前年の秋に収穫時期を迎えて、冬の間は少しずつ畑から掘り出して出荷してゆきます。冬の頃は地上部の葉は枯れてなくなっているのですが、2月末頃より春の到来を感じて新芽を地上に伸ばし始めています。3月中には茎と葉が大きく育ってゆき、食用部の根の部分は茎や葉に養分を吸収されてスカスカと筋っぽくなってゆきます。以前にはそのような状態になったゴボウを出荷しましたら、「ゴボウの中身に大きなスが入っていて、おいしく食べられなかった」というご指摘をいただきました。ゴボウの他にも人参、大根、カブなども3月には地上に新芽を伸ばし、それに伴って食用部の根は筋っぽくなります。
端境期の3月、4月は、一年で最もたくさんのご指摘・ご叱責をいただく時期でもあり、今年もさっそく「野菜セットのカボチャがすぐに傷んでしまった」というご指摘をいただきました。「今年も端境期が始まった」と気付かせていただき、気を引き締め直しております。「せっかく収穫したカボチャなのだから、出荷しないともったいない」と思ってカボチャを無理して野菜セットに入れてみましたが、すぐに傷んでしまうような野菜では商品としてはふさわしくなく、購入してくださった皆さんをがっがりとさせてしまい、野菜セットの印象も悪くしてしまいます。今まで皆さまからいただいてきた様々なご指摘から学び、作物が傷む前の兆候はだいたい分かるようになってきていますので、作物に傷む前の兆候が現れたら「出荷しないともったいない」と思わずに、すっぱりとその作物の出荷を停止したいと思います。前年の秋に収穫時期を迎えていたネギ、里芋、サツマイモ、ヤマイモなどは3月、4月にも良い状態で出荷できるので、端境期の野菜セットに登場させたいと思います。
« 令和5年8月25日の野菜セット | トップページ | 令和5年8月28日の野菜セット »
「農場通信」カテゴリの記事
- 顔を見せるのが苦手な農家による顔の見える農場 令和5年6月8日(2023.12.09)
- 家庭菜園 対 小林農場 令和5年5月26日(2023.11.26)
- 雑草の適地と作物の適地 令和5年5月18日(2023.11.19)
- 小林農場の病害に対する基本的な考え方 令和5年5月11日(2023.11.11)
- 世の中は明るく、小林農場も元気 令和5年5月4日(2023.11.01)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント