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2023年8月12日 (土)

神秘的な土着の生き物、竹  令和5年2月16日

野菜セットには野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。

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神秘的な土着の生き物、竹  令和5年2月16日

梅花の候、皆さま、いかがおすごしでしょうか。

  小林農場の畑のすぐ隣には無数の竹が生えて伸びて竹林を形成していて、畑の日当たりや風通しを悪くしています。竹は地中でも茎を水平に伸ばしてゆき、その地下茎から新たに派生した茎が竹となって地上へと垂直に現れて竹林を拡大しようとします。夏になると畑の中にも竹が次々に生えてきて、その度に刈り倒さないといけません。竹林に畑が侵食されてしまわぬように、この冬、できるだけたくさんの竹をノコギリで切り倒すことを毎日の習慣としています。全部の竹を刈り倒すまで数か月間、または数年間はかかるでしょう。

  竹は固いので、刈り倒してもそのままきれいに朽ちて消えてなくなるわけではありません。どこか邪魔にならない場所に広い捨て場を設けて、10メートル以上の高さに育ってたくさんの枝や葉をくっつけている数千本の竹を捨て場までガサガサと引きずって移動して積み重ねないといけません。そんな広い捨て場が見つからない場合はその場で焼却しますが、長いままの状態で燃やすと危険なので、焼却しやすい大きさに竹を切り分ける必要があります。竹林を整備するのは大変なので、私も竹林を管理しきれてませんし、近所にも放置されてうっそうとしている竹林が見られます。あちらこちら、竹に征服されています。

  ナスやピーマンなどの作物を育てるには支柱が必要で、ホームセンターでプラスチック製の支柱を購入できます。私の知り合いの農家は竹林から刈った竹を支柱として利用しています。プラスチック製の支柱と比べて竹の支柱は朽ちやすく、何度も竹を刈って支柱を更新してゆかなくてはいけませんが、そうして竹を刈る動機を作ることで竹林をきれいに管理できて、竹林の拡大を防止することもできます。小林農場はプラスチック製の支柱をすでに購入しているので竹を刈る動機がなく、竹林は放置されて茂り、管理を難しくしました。

プラスチック製品などの便利なものがなかった昔では、竹は器や籠や箸や建材などの道具の材料として利用されていたので、竹は適度に刈られてきれいに竹林は管理されていたようです。現代でも刈った竹を焼いて炭にした「竹炭」や、粉砕機で粉々にした「竹粉」などが肥料として利用されているようです。現在の大多数の農家は化学肥料を購入しながら作物を育てていますが、昨年の国際情勢の急変により化学肥料の価格が急騰して多くの農場の経営が圧迫されているようです。今後は海外から輸入しなくてはいけない化学肥料に代わって、身近な竹などで作った肥料が使用されるようになり、再び竹林がきれいに管理されるかもしれません。私も地元で自給できる竹炭や竹粉などの利用方法を学びたいです。

刈っても刈ってもまた竹は生えてきますが、生えてきたばかりの幼い竹は「タケノコ」として食べられます。すでに見上げるほど伸びた太くて固い竹とは違い、タケノコは簡単に取り除くことができるので、タケノコをたくさん採って食べる食生活は竹林の管理にも有効です。竹は農家が何も世話をしなくても勝手に生育して食料を提供してくれる、ありがたい生き物でもあります。最盛期には1日に1メートル以上も伸びて、割ってみると中身は空。日本最古の物語「かぐや姫」を生み出した神秘的な土着の生き物とうまく付き合いたいです。

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