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2023年8月22日 (火)

小林農場の目指す方向   令和5年2月23日

野菜セットには野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。

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小林農場の目指す方向   令和5年2月23日

春寒の候、皆さま、いかがおすごしでしょうか。

  この冬は畑に隣接している竹林の竹をできるだけ刈って、畑の風通しを改善しました。この畑の片隅の部分は変形していて、トラクターを入れて耕すのが少しやっかいなので、土を耕さずに作物を育てる「不耕起栽培」を小規模に試してみたいと思っています。

  人工的にトラクターで耕した直後だけは地表は柔らかくなるのですが、地表のさらに下はトラクターの重みによって鎮圧されて固くなり、時間が経つと再び地表も固くなりやすくなります。土中でミミズなどの小動物が活動すると土が柔らかくなってゆきますが、トラクターで耕すとたくさんのミミズをひき殺してしまいます。よって繰り返してトラクターで耕さないと土を柔らかな状態に保ちにくいです。森林の木々や野原の草は土中に根をはることによって自ら土を耕して、土をずっと柔らかな状態に保っています。不耕起栽培では人が耕したり肥料を与えたりしなくても植物が自然に育っている森林や野原などの環境を模倣して、人工的に耕す手間を省略して作物が自然に育ってゆけるように配慮します。

  トラクターで畑を耕せば雑草を土に埋め込んで一掃することができて、その後は雑草が生えにくくなって除草作業が楽になります。いっぽうで不耕起栽培では盛んに生えてくる雑草を鎌などを使って自分の手で刈り倒さなくてはいけないので、除草作業に手間と時間がかかります。よって大多数の農家は畑をトラクターで耕していて、不耕起栽培を実践している農家はとても稀です。でも、その希少な農家達は「確かに不耕起栽培は手作業が多くて時間がかかるが、トラクターなどの機械を必要としない。人類はトラクターなどの機械を作ったり運搬したりするために莫大な労力と資源と時間と金を費やしていて、その機械を動かすための石油を入手するためにも莫大な労力と資源と時間と金を費やしている。しかし、こんなに莫大な投資をしても莫大に収量を増やせるわけでもない。人類全体が一つ企業だとして、自分がその企業の経営者だとすれば、莫大な労力がかかる機械を使用する栽培よりも、鎌のような簡単な道具があればできる不耕起栽培のほうを選ぶ」と言っています。

  現在、農林水産省は農作業の効率化を目指して、田んぼや畑に最新のIT技術を導入してゆく「スマート農業」を推進しています。センサーなどのIT技術を設置したビニールハウスの中で作物を育てて、ハウス内の温度・湿度などのデータが随時、農家が携帯しているスマートフォンに伝えられて、スマホで遠隔操作すれば自動的にハウス内の温度・湿度を調整できます。作物に最適な量の水も自動的に与えられて、農家はわざわざハウスに通う手間を省けます。ただ、このような設備を導入して維持してゆくためにはお金がかかります。

  毎年恒例の確定申告を済ませましたが、おかげさまで昨年も小林農場の農場経営は黒字でした。年間に費やしている肥料費は数万円程度であり、農薬費は0円であり、出費が少ないことによって小林農場の農場経営は成り立っています。「機械やIT技術を導入することによって自分の体を動かす手間を省ける農業」ではなくて、「自分の体を動かしさえすれば金のかかる機械やIT技術にわざわざ頼らなくてもよい農業」を目指したいと思います。

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