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2023年1月 5日 (木)

最近の病害の状況  令和4年7月21日

野菜セットには野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。

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最近の病害の状況  令和4年7月21日

夏休みの候、皆さま、いかがおすごしでしょうか。

  昨年、日本全国のサツマイモの産地では「サツマイモ基腐(もとくされ)病」を引き起こす病原菌が蔓延して、サツマイモの収量が激減しました。小林農場は店でサツマイモの苗を購入して畑に植えていますが、今年は昨年の基腐病による被害によって全国的に生産された苗も不足していたため、苗を購入するためにあちらこちらの店を探し回りました。

  見かけは何も問題がないように見えても病原菌に感染している苗もあり、そのような苗が全国に販売されて畑に植えられたために全国に病原菌が拡散されたと考えられます。サツマイモの苗に病原菌がくっついていては商品として出荷できないので、苗に農薬を散布して消毒してから販売される場合が多いです。私は自分の作物に農薬を散布しませんが、自分の畑に植えるために購入してきた苗は農薬によって消毒されている場合もあります。

  自分の農場でサツマイモの苗を生産するには手間がかかるのですが、この春は手間をかけて初めて苗作りに挑戦してみました。自分が思っていた以上に簡単に苗を育てることができて、今は店から購入した苗よりも自分で育てた苗のほうが元気に育っています。来年はわざわざ農薬で消毒された苗を購入しないで、全ての苗を自分で生産してみたいです。

  もしも自分の畑に病原菌が侵入して病気が発生した場合は、感染を広げない対策が必要になります。病気にかかった株は病原菌ごと畑より抜き取って処分することが有効です。

  この夏は小林農場で育てているサヤインゲンの多くの葉に病斑が現れて、やがて黄色や茶色に変色してカサカサに乾いて枯れてしまいました。病原菌・病原ウイルスに感染して病気にかかってしまったのでしょう。7月に入ると全く花や実をつけなくなり、今年はもう収穫できないと思っていました。ところがこの数日間に再びたくさんの花を咲かせて実をならせ始めているので、またサヤインゲンを収穫できるかもしれません。この先は病原菌と共生しながら生き残っていきそうな感じなので、処分しないで畑に残すことにしました。

  病気が発生した畑では、その病原菌が何年も居座って何度も病気を引き起こす場合もあります。よく土を耕して有益菌が含まれている堆肥などを畑に散布すれば、有益菌が増殖して病原菌の繁殖を抑えてくれて、その後に育てる作物は病気にかかりにくくなります。

農薬を畑に散布しても病原菌はすぐに変異して耐性を身につけてゆくので、根絶するのは困難です。農薬散布は病原菌だけではなく、作物を病気から守ってくれる有益菌や小動物などもいっしょに殺してしまうため、作物はさらに病弱になってしまう危険もあります。病弱になった作物を病原菌から守るために、農薬を散布し続けなくてはいけなくなります。

農薬散布で畑の生態系が壊れた後に無農薬栽培を始めようとしても生態系が回復するまで長く時間がかかり、その間は作物は病弱になってまともに生育できないかもしれません。よって今まで農薬を散布して作物を育ててきた農家が無農薬栽培を始める事例は少ないです。「病気は病原菌が引き起こすのではなく、作物が弱くなることによって引き起こされる」と私は考えて、作物を病弱にしてしまうかもしれない農薬散布をやめています。

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