選挙の争点に「食糧安全保障」を 令和4年6月24日
野菜セットには野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。
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選挙の争点に「食糧安全保障」を 令和4年6月24日
小夏の候、皆さま、いかがおすごしでしょうか。
参議院選挙が公示されていますが、今回の選挙でも「安全保障」について、重要な争点として議論されます。多くの日本人は「安全保障」といえば「敵国の軍事力にどう対抗するべきか」という軍事関連の議論を思い浮かべますが、海外の人々は「安全保障」といえば食糧自給力についても議論されるようです。まずは食糧がなければ国民は生きてゆけず、国の独立を保つために食糧を国内で自給することが重要と考えているようです。
日本人は食糧を国内で自給してゆく努力をほとんど支払わず、現在の日本の食糧自給率は40%以下と異様に低いです。「まずは工業などでお金を稼ぐことに力を入れて、稼いだお金で海外から食糧を輸入すればよい」というのが多くの日本人の感覚でした。
今後は地球上の人口はもっと増えていって世界の食糧が不足するかもしれないと予想されています。どの国も自国民に食糧を供給することに精一杯になり、他国に食糧を輸出しなくなるかもしれません。その時までに日本は食糧を自給できる態勢を整えられていなければ、多くの日本人は飢えることになります。どんなに手元にお金を貯めこんでいても、輸入できる食糧が不足すればお金を使って購入することもできません。1万円札は単なる紙であり、食べてみても何の栄養にもなりません。本当はお金を稼ぐ力よりも食糧を自給する力のほうが生きてゆく上で大切だと思います。今後、世界中で深刻な食糧不足が発生しても、私は農家として食糧を自給してきた今までの技術を生かして生き抜いてやります。
昨年は小麦の輸出大国のアメリカやカナダで高温・干ばつが原因で小麦が不作となり、今年にはやはり小麦の輸出大国であるロシアやウクライナで戦争が発生して小麦が輸出されにくくなり、小麦の販売価格も上がって購入しにくくなっています。食糧不足が発生する前兆を実感される状況が訪れています。「食糧安全保障」は国民の生命の根源に直結する重要な問題であり、今の世界情勢ならば選挙の争点としても注目されやすいと思います。
海外では国内自給率を維持するために、異常気象による不作や農産物の市場価格の下落などによって農家の収入が減った時には政府は農家に補助金を支払って農家がつぶれてしまわないように手厚く支援しています。日本ではこのように政府が農家の生活を手厚く支援しようとしませんでしたので、異常気象や市場価格の変動などで収入を減らした農家は生活を続けられなくなり、現在の日本では専業農家の人口が激減しています。日本のほとんどの政党は食糧自給率を向上させてゆくことが重要であることを認識しているようですが、ではどのように向上させてゆこうとしているのか、選挙戦を通じて注目したいです。
ただ、昔はたくさんの日本人が農家でしたが、現在よりもずっと少ない収入で農業を続けていました。身近な自然環境から自分たちに必要なものを入手して利用して、お金がなくても生活してゆける知恵があったのでしょう。現代の農家は「お金がなければ生活できない」と思うようになり、収入の少ない農業から離れてゆきます。もう一度「お金を稼ぐ力よりも食糧を自給する力のほうが大切」と、自分に言い聞かせたいと思います。
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