「特産物」とは 令和4年4月22日
野菜セットには野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
「特産物」とは 令和4年4月22日
新緑の候、皆さま、いかがおすごしでしょうか。
小林農場の地元の栃木県市貝町では、町興しのための取り組みを行っています。2年前、市貝町の特産物となりそうな野菜を新たに探すために、試しに小林農場の畑でキクイモを栽培してみることになりました。初めてのキクイモ栽培でしたが、とても簡単に生育していました。市貝町民の方にも小林農場から採れたキクイモの種芋をお分けしてキクイモを栽培していましたが、その方の畑でもたくさん収穫できていました。キクイモの生命力は強く、種芋を植えれば後はほとんど人間が世話をしなくても勝手に生育してくれます。
市貝町民の方の畑から収穫されたキクイモが料理されて食事会が開かれ、私もご馳走になりました。キクイモのきんぴら炒め。キクイモ入りの餃子。キクイモ入りの酢豚。キクイモの砂糖漬け。キクイモで作ったジャム。キクイモは味にクセがなく、ゆえに様々な料理に応用できて、キクイモの多彩な魅力を堪能いたしました。日本列島の風土に馴染んで簡単に栽培できるキクイモがなぜ今まで日本で常食されてこなかったのか、不思議です。
イチゴは栃木県が誇る特産物で、官民が総力をあげて優秀なイチゴの品種を開発して全国に販売してきました。栃木県の気候ではイチゴの収穫時期は5月頃なのですが、ビニールハウスの中で温度を調整しながらイチゴを栽培できるようにして、真冬のクリスマスの頃からイチゴを収穫できるようになりました。栃木県は「日本一のイチゴの産地」の座を維持しようと頑張っていますが、そのためにはビニールハウスなどの設備が必須です。
現在、野菜セットに入れているホウレンソウなどの葉物野菜は、畑にビニール資材を張って保温しながら栽培しました。ビニール資材を使用するのは本来の小林農場のやり方ではありませんが、今は一年で最も収穫できる野菜の種類が少ない時期であり、この時期だけは手間をかけてビニール資材で作物の生育を速めながら出荷できる野菜を確保します。
栽培に手間のかかる作物を収穫できた時は嬉しいですが、手間もかけずに作物が勝手に生育して収穫できた時はもっと嬉しいです。その地域の気候に馴染んで自力で生育できる作物こそがその地域の本当の特産物であり、地元の人々がその特産物を大事に食べてゆくことで豊かで健康な食文化が築かれてゆくと私は考えます。自力で生育できるキクイモは市貝町の特産物と呼んでもよいですが、おそらく日本のどの地域でもキクイモは簡単に生育できるので、市貝町だけの特産物ではありません。市貝町からキクイモの魅力を発信することによってこの優れた食材が全国の特産物になれば、市貝町民としては嬉しいです。
数年前に畑の片隅に植えたミツバが今では勝手に繁殖して隣のニラ畑に侵入して生えてきたので、それらを畑から取り除きながら出荷しています。今の時期、様々な山菜が町のあちらこちらで自生していますが、小林農場の畑の片隅にもフキやコゴミやカンゾウなどの山菜を移植してみました。数年後にはこれらが勝手に繁殖して、出荷できる野菜が少ないこの時期に野菜の代わりに山菜をお届けできるかもしれません。周辺の山ではタケノコやキノコなどの天然物も生えていますが、市貝町の特産物として食べてゆきたいです。
« ネット活用「情報館」 新型コロナワクチン被害者遺族「繋ぐ会」が国を相手に集団提訴へ | トップページ | 令和4年10月24日の野菜セット・「有機農産物による学校給食」という潮流 »
「農場通信」カテゴリの記事
- 虫愛づる国 令和4年9月29日(2023.03.23)
- 12年目の3・11 福島第一原発事故関連の農場通信(2023.03.16)
- 「持たない」という選択 令和4年9月15日(2023.03.09)
- 種まきの適期を探る 令和4年9月23日(2023.03.02)
- 飢饉は過去の話ではない 令和4年9月8日(2023.02.23)