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2022年9月15日 (木)

原発事故というトラウマ  令和4年3月11日

野菜セットには野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。

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原発事故というトラウマ  令和4年3月11日

萌芽の候、皆さま、いかがおすごしでしょうか。

  今年も3月11日を迎えました。11年前に私が農家として独立して小林農場を設立した直後に福島第一原発事故が発生して、東日本全体が大量に飛散した放射性物質によって汚染されました。小林農場ではできるだけ安全性の高い農産物を出荷できるように農薬を使用しないなどの努力を積み重ねていますが、畑の土が放射性物質で汚染されてしまえばどんなに努力をしても安全な農産物を収穫できません。原発事故が発生した当時は収穫された野菜は汚染されている危険がありましたので、しばらく出荷を自粛していました。

  今では不安は払拭されてきていますが、原発事故発生から数年間は福島県や東北・関東地方の農産物を多くの消費者は危険視して、購入することを控えていました。私の知り合いの農家も原発事故をきっかけに、今まで自分の農産物を長く定期購入してくれていた消費者から「しばらく定期購入を休ませてほしい」と言われて、出荷先を一気に失いました。

  農家だけではなく、農家との絆を大切にしてきた消費者にとっても、定期購入の休止を申し出ることは辛いことでした。自分や自分の家族を放射能汚染から守らなくてはいけないという消費者の気持ちも十分に理解できたので、農家は自分から離れてゆく消費者をひきとめようとはせず、定期購入休止の申し出を黙って受け入れるしかありませんでした。

  私にとって不幸中の幸いだったのは、事故の当時は小林農場を設立したばかりで、まだ野菜セットの出荷を始めていなかったことです。現在のように多くのご家庭が小林農場の野菜セットを定期購入してくださっている状況で原発事故が発生したりすれば、どうなるのか。小林農場のような小さな農場が自分の農産物を定期購入してくださるご家庭に出会える機会は希少であり、そんな一つ一つの縁を大切にしながら時間をかけて野菜セットの出荷数を増やしてきました。原発事故が発生して農産物が汚染されれば多くのご家庭が農場から離れてゆき、積み上げてきたものを一瞬に失う喪失感は大きなものとなるでしょう。

  事故を起こした後の福島第一原発の敷地内には、事故処理の作業の過程で放射性物質を含んだ汚染水が毎日発生していて、汚染水はタンクに詰めて保管されていましたが、増え続ける汚染水を保管できる敷地が足りなくなり、日本政府は来年より汚染水を海洋に少しずつ放出することを決定しました。「汚染水は十分に濃度を薄めてから放出されるから、海洋は汚染されず、そこから獲られる海産物も安心して食べられる」と政府は説明しています。

しかし今まで政府は原発について様々なウソをついてきたので、今は多くの消費者が政府の言っていることを信用できなくなっています。汚染水の海洋放出が始まれば東日本の太平洋沿岸で獲られる魚は危険視されて、多くの消費者が離れ、魚師の生活が苦しくなります。今、漁師の皆さんは汚染水の海洋放出に強く反対しています。複数の団体からは海洋放出に代わる処理方法も提示されているので、政府は代替え案を検討するべきです。

私も被災地から獲られる魚をできるだけ購入して魚師の皆さんを応援したいです。原発事故で苦しんだ農家や魚師の多くは、原発の再稼働を目指す政府の方針に憤っています。

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