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2022年6月 7日 (火)

私なりの小さな「みどりの食糧戦略」 令和3年12月9日

野菜セットには野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。

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私なりの小さな「みどりの食糧戦略」 令和3年12月9日

年の瀬も押し迫ってまいりました。皆さま、いかがおすごしでしょうか。

  今年、農林水産省は自然環境保全や食糧の持続的な確保などを図るために「みどりの食糧システ戦略」を策定しました。現在の日本国内で有機農業(無農薬栽培)に取り組んでいる農地は全体のわずか0.5%くらいですが、2050年までに有機農業に取り組む農地を25%までに拡大することを目指し、多くの農家が有機農業を始められるように支援してゆくようです。農薬の使用が当たり前となり、一昔前までは無農薬栽培を行う農家は「変わり者」と見られる時もあったようですが、今では自然環境保全への関心が高まり、無農薬栽培は「自然環境に優しい農業」として農水省にも認知されて推進されるようになりました。

  私は「自然環境に優しい生活」とは、人が生きてゆくために必要不可欠な衣食住などを自給自足してゆく生活のことだと思っています。農業は食料を生産しながら自然環境を保全してゆく仕事ですが、近年は日本国内の農家は激減しています。生産に関わる人が少なくなって消費する人ばかりが多くなれば生産と消費のバランスが崩れて自然環境は壊れます。

  最近は家庭菜園の人気も高まっているようです。私のご近所さんも小さな畑を借りて、「自分で作物を育ててみたいので栽培方法を教えてほしい」と私に頼んだので、この夏に人参の栽培方法をお伝えしながらその畑に種を播いてみました。しかし人参は順調に生育せず、秋になっても根が肥大してくれませんでした。ご近所さんの畑の土は人参を育てるには養分が不足していたようで、畑に堆肥を与えたほうがよいかもしれないとお伝えしました。

  養分が不足している畑には堆肥を与えるのが定石です。ただ、現在の自然環境には様々な有害な化学物質が拡散していて、堆肥の原料となる自然界の有機物にも様々な化学物質が混入しています。野菜栽培を始める人の中には「安全性」を特に重視していっさいの堆肥を使用することを嫌う人もいます。しかし、土の中の養分が不足していれば作物も生育しづらいので、私は作物が生育しづらいようならば畑に堆肥を与えたほうがよいと思います。

  何にも有害物質に汚染されていない堆肥を入手するのは今の時代は難しいと思います。有害物質に全く触れずに「完璧に安全な作物」を栽培するのは難しく、「完璧」を求めすぎると作物栽培を続けるのが苦しく感じてしまうようになります。堆肥の使用をやめるのは難しいですが、農薬を散布するのをやめるだけでも十分に安全性を向上させられます。

  実際に作物を栽培することによって自然環境の汚染を身近に感じ、自然環境を保全してゆく大切さを身に染みて実感することになります。この実感を社会全体で共有してゆくために、自分達の食糧を自分達で自給してゆこうとする人達が増えてゆくことが重要です。

専業農家にならなくても小さな家庭菜園があれば誰でも食糧を自給できます。栽培技術の習得は必要なので、農家などがこれから家庭菜園を始める人達に栽培技術を教えてゆければよいです。人参が生育しないご近所さんの畑では、堆肥を散布する前に、まずはサツマイモやエダマメなどのどんな土でも育つような作物を育てて様子をみてもよいかもしれません。家庭菜園を始める方々から質問を受ければ、可能な限りお応えできればよいです。

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