月を見上げて、何度でも抱負を語れ 令和3年12月23日
野菜セットには野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。
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月を見上げて、何度でも抱負を語れ 令和3年12月23日
年の瀬も押し迫ってまいりました。皆さま、どうぞよいお年をお迎えください。
ネギは9月頃から収穫時期を迎えて、次の年の4月まで越冬しながら収穫し続けられます。ところが今年はネギがまだ小さな苗だった頃に除草作業が遅れて、多くの苗が雑草に飲み込まれて消えてしまいました。無事に育った苗は少なく、現在はネギの出荷量を抑えていて、全てのご家庭にネギをお届けすることが難しい状況です。同じ理由で今年の玉ネギも収量が少なく、通常ならば12月まで出荷できるのですが、今年は9月に在庫が尽きました。
「上農は草を見ずして草を取り、中農は草を見てから草を取り、下農は草を見てから草を取らず」ということわざがあります。優れた農家(上農)は、まだ雑草が小さくて取り除きやすいうちに取り除いて、楽に除草作業をすませます。通常の農家(中農)は、雑草が目立ちようになってから懸命に雑草を取り除きます。ダメな農家(下農)は、雑草が大きくなっても「後で除草すればよい」と後回しにして、畑を草だらけにして手に負えなくなります。
頭の中ではこのことわざの意味を百も承知しています。しかし、まだ雑草が小さいうちはどうしても私の気持ちにエンジンがかからず、除草作業に体力を費やすことを後回しにして他の畑仕事を優先してしまいます。そのうちに手に負えないほど雑草が勢いづいてしまって、作物が雑草に飲み込まれてしまう失敗を今までに何度も繰り返してきました。
自分の悪い癖を自覚してすぐに修正できるのであれば何も問題はありません。しかし、アルコール依存症の人はアルコールの飲みすぎは良くないことが分かっていても飲みすぎる悪癖を直せず、ネット依存症の人はインターネットを見すぎるのは良くないことが分かっているのに見すぎる悪癖を直せません。人間には悪癖に依存してしまうという厄介な性格があるようです。私にも「除草・後回し依存症」みたいな症状があるのかもしれません。
私達は新年を迎えると気持ちが改まって「新年の抱負」をたてます。「今年こそは自分の悪癖を改善するぞ」と決意して、運動を怠る癖のある人はジョギングを始めたりしますが、2月になるとだんだんと決意が薄れて、6月頃には「新年の抱負」を達成することをあきらめてしまう場合も多いです。正月のみに抱負をたてるだけでは決意を持続しにくいです。
私は、お月さまが新月、または満月になる度に新たに抱負をたてるようにしました。お月さまが満ち始めたりたり欠け始めたりする度に季節が新たに切り替わったような気分になり、自分の気持ちも新年を迎えた時のように改めやすくなるような気がします。だいたい15日間ごとに新たに抱負をたててゆくことになりますが、何度も気持ちを改められます。
おそらく毎回、「後回しにしないで毎日必ず除草作業を行う」という抱負をたてるでしょう。その抱負が3日坊主で終わったとしても、次の新月・満月の日には再び同じ抱負をたてて気持ちを改めます。3日坊主を10回も繰り返せば、合計で30日間は抱負を達成したことになります。抱負を達成する癖を少しずつ身に付けて、悪癖を少しずつ払拭します。どうしても直せない悪癖があっても「自分はダメな人間だ」と腐ってしまわずに、悪癖を直せるきっかけをお月さまが何度も与えてくれていると信じ、月を見上げながらがんばります。
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