季節に追い回される 令和3年12月2日
野菜セットには野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。
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季節に追い回される 令和3年12月2日
カレンダーも最後の1枚となりました。皆さま、いかがおすごしでしょうか。
小林農場の地域で玉ネギを栽培する場合は、9月15日頃に種を播きます。これよりも遅く播くと発芽した苗の生育も遅れて小さなまま冬を迎えて、寒さに当たって枯れやすくなります。しかし種を早く播きすぎても冬を迎える頃には苗は大きくなりすぎてしまいます。玉ネギの苗には、大きくなりすぎた状態で冬の寒さに当たって春を迎えると、すぐに花を咲かそうとして食用部を肥大させることをやめてしまうという厄介な性質があります。「9月15日」という日にちをできるだけ厳守して種を播くことが必要なのですが、この頃は他の作物の管理でも忙しく、狙った日に種を播くことができるように苦慮します。
今年は9月16日に玉ネギの種を播き、だいたい狙った通りの日に種を苗床に播くことができました。苗床で発芽した苗がちょうど良い大きさに生育したら苗床より掘り出して、10cmほど間隔を離しながら1本ずつ畑に植えてゆきます。植え付けの時期は11月上旬が適期とされていますが、11月に私は他の作物の管理に手間取り、11月24日にようやく玉ネギの苗の植え付けを開始しました。それから1週間ほどは、全部で6000本ほどの苗を黙々と植え続けてゆく毎日で、全て植え終えた時には12月に入っていました。
昨年も作業が遅れて、11月までに玉ネギの苗を植え終えることができませんでした。その頃には気温も氷点下まで下がり、苗も生育が遅れて畑でしっかりと根付かず、霜で畑が凍る度に苗の根は霜柱によって地表へ押し出されてしまい、多くの苗が枯れてしまって収量が激減することになりました。玉ネギは6月に収穫時期を迎えて12月頃まで貯蔵しながら出荷できるのですが、今年は不作のために9月頃に早々と玉ネギの在庫が尽きました。
今年も苗の植え付けが遅れたので、根が霜に浮かされるでしょう。1月には霜柱で浮かされてしまっている苗をしっかりと地中へ埋め戻す手間をかけないといけません。11月上旬のまだ寒さが厳しくないうちに苗を植えておけば無事に根付きやすく、その後の管理も楽になると思います。苗の植えつけの時期も「11月上旬まで」を厳守するべきでしょう。
玉ネギの苗の植え付けが終わり、次は大根、カブ、人参、里芋、白菜など、冬に出荷する作物を防寒しないといけません。昨年は防寒作業も遅れて、12月15日頃からやって来た強烈な寒波によって多くの作物を凍らせて傷めてしまいました。防寒作業は12月10日頃までに、遅くとも12月15日までには終わらせておかないと危険です。
暑くなったり寒くなったり、日本列島の四季は表情が豊かで常に変化します。よってそれぞれの農作業の適期は短く、その期間のうちに急いで作業を片づけないといけません。日本には働き者が多いですが、こんな忙しい四季の中で暮らしていれば働き者にもなります。
防寒作業を終えれば次の年の2月に春野菜の種まきを開始するまで、しばらく早急に片づけなくてはいけない畑仕事はなくなります。野菜農家がゆったりと暮らせる束の間の時期に、ちょうど大晦日とお正月を迎えます。年末年始を気分良く祝いたいのであれば、今は懸命になって年末寒波がやって来る前に防寒作業を早く終わらせないといけません。
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