濃い色をした小麦粉 令和3年11月4日
野菜セットには野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。
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濃い色をした小麦粉 令和3年11月4日
行楽の候、皆さま、いかがおすごしでしょうか。
去年の11月に種を播いて育てた小麦を今年の6月に収穫して脱穀して日干しして乾かして、混ざっているゴミを風で吹き飛ばして取り除いて紙袋に詰めました。私が行う仕事はここまでで、その後は製粉所に小麦を預けて、製粉・製麺をしてもらうようにお願いしました。10月下旬にようやく小麦が小麦粉と乾麺に加工されて、小林農場に戻ってきました。小麦粉や乾麺をご希望されるご家庭に、野菜セットといっしょにお届けしたいと思います。小林農場の小麦粉は中力粉で、強力粉や薄力粉などと比べて用途は多彩で、製麺以外にもお菓子作り、餃子の皮作り、ピザ、すいとん、おやきなどにも利用できて楽しめます。
幸運なことに素敵な製粉所さんが小林農場の近所にあり、そちらでは主に無農薬栽培の小麦を引き受けてくれて、無農薬栽培を行っている農家を応援してくれます。そんなにたくさんの量ではない小麦でも製粉・製麺を引き受けてくれて、小林農場のように小規模で小麦を栽培している小さな農場にとってはありがたいです。こだわりのある製粉所さんです。
製粉所の中には天井まで届きそうな背の高い製粉機が設置されていて、この中に入れられた小麦が機械内を回りながら粉砕されて篩にかけられて、固い小麦の外皮を取り除きながら製粉されてゆきます。小麦の固い外皮まで粉々に粉砕して粉に混ぜると、出来上がった小麦粉はパサパサとした食感になりやすく、色もくすみます。ただ、外皮の周辺を取り除きすぎてしまうと出来上がる小麦粉の量も減ってしまいますし、小麦の風味や栄養は外皮の周辺にたくさん詰まっているので風味も栄養も取り除かれてしまいます。どの程度に粉砕して取り除くのか製粉所によって違うようで、出来上がる粉の性質も違うようです。
近所の製粉所さんでは外皮の近くまで粉砕して粉にしているので、小麦粉には風味が残り、その小麦粉から製麺された乾麺にも風味があります。そして、乾麺の色は少しだけ黒くなり、私はこの濃い色が好きです。私は米についても真っ白に精白された白米よりも茶色の玄米のほうが好きです。色が濃いのは風味や栄養素が残されている証だと思います。
各地のパン屋さんやうどん屋さんからは「海外から輸入される小麦粉は、生地を作ると粘りが良く、ふんわりと膨らむし、料理するのに扱いやすい。それと比べると国産の小麦粉は料理するのに扱いにくい」という声を聞きます。どうやら温暖多湿な日本列島よりも、寒冷で乾燥している海外で小麦を栽培したほうが「料理するのに扱いやすい小麦粉」を生産しやすいようです。農地が狭い日本よりも広大な農地が広がるアメリカなどのほうが効率的に小麦を大量生産できて、国産小麦よりも販売価格を安くしやすいです。現在、日本で流通されている小麦粉などの小麦製品の多くが国産小麦よりも輸入小麦を原料としています。
販売価格の安さでは負けますが、小林農場の濃い色をした小麦粉や乾麺は風味や栄養や安全性で輸入小麦の製品に負けていません。特に「おやき」や「ナン」などの簡単な料理で小麦粉のその良質な風味を味わえます。国内の農家と製粉所が小麦を栽培して製粉・製麺する技術を後世の日本に遺せるように、私は小麦を栽培して製粉所に預けてゆきたいです。
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