大豆という食文化 令和3年10月21日
野菜セットには野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。
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大豆という食文化 令和3年10月21日
日毎に秋冷の加わる頃、皆様、いかがお過ごしでしょうか。
今年の冬に、昨年に収穫した大豆を茹でてつぶして、麹菌と塩を混ぜ合わせて発酵させて、「手前味噌」を手作りしました。半年間ほど熟成させてこの秋に食べ頃を迎えて、我が家の食卓では手前味噌で作った味噌汁をおいしくいただいています。大豆と麹菌を入手できれば、特別な調理器具がなくても自分の住まいの台所で手前味噌を手作りできます。
温暖で雨が多い日本列島では発酵菌が繁殖しやすく、日本人は様々な発酵食品を生み出してきました。特に大豆は上手に利用されて、味噌、醤油、豆腐、納豆などに発酵されながら食べられてきました。炭水化物とタンパク質は特に人間の体に必要な栄養素と言われていますが、古くから日本人の食事は米を主食としてお味噌汁や納豆を添えて、炭水化物の豊富な米とタンパク質の豊富な大豆をいっしょに摂取しながら健康を保ってきました。
発酵することにより発酵菌が増殖されて、味噌などの発酵食品を食べることにより発酵菌をたくさん体の中に取り込むことになります。私達の体の中に極小の発酵菌が無数に棲みついて、私達が摂取した食べ物を体内に消化しやすくしてくれたり、病原ウイルスなどの病原体が体外から侵入してきた時に体が病気になるのを防いでくれたりしています。多くの日本人の体に適しているから、昔から日本では味噌などが食べられ続けてきました。
どんな食材を入れてもおいしく食べられる味噌汁は、料理が気楽です。野菜セットに入っている野菜をどのように料理したらよいか迷った時は、とりあえず味噌汁の具材にすることをお薦めします。今は急に寒くなってきたので、私は味噌汁を飲んで体を温めています。
一昔前までは各家庭がそれぞれの独特な風味の手前味噌を自分達で作ることが当たり前で、その原料となる大豆も自分達の地域で栽培されていました。現在はスーパーで簡単に味噌を購入できるようになり、手前味噌をわざわざ手作りする人は少なくなりました。大豆も海外から輸入できるので、日本国内で大豆が栽培されることが少なくなりました。大豆は収入の少ない作物で、現代の日本の農家は収入の少ない作物を栽培しようとしません。
大豆を出荷する前には一粒一粒を確認して、傷がついている不良な粒を取り除かないといけなくて時間がかかり、小林農場は大豆をあまり出荷していません。我が家の手前味噌の原料として大豆を栽培しています。味噌作りの仕込みには丸1日を費やすことになりますが、我が家の大事な年中行事として今後も続けたいです。醤油作りにも挑戦したいです。
11月下旬には大豆はたくさんの莢を実らせ、その中身の豆も熟成して肌色に変色して固くなって完熟します。莢がカサカサに乾いて枯れた頃に莢より豆を取り出して収穫します。10月下旬の現在でも豆がぷっくらと膨らみ始めていますが、莢も豆もまだ未熟な状態で、柔らかくて青々としています。この状態で収穫しても枝豆としておいしく食べられます。大豆と枝豆は同じ植物で、完熟した豆を大豆と呼び、未熟な豆を枝豆と呼びます。
キャベツや人参などの秋野菜の生育が遅れていて、しばらく出荷できる野菜の種類が少なくなりそうです。代わりに、生育中の大豆を枝豆として出荷することを検討しています。
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