自分の性格が投影される畑 令和3年7月15日
野菜セットには野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。
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自分の性格が投影される畑 令和3年7月15日
驟雨の候、皆さま、いかがおすごしでしょうか。
私は医療関係者の皆さんが医療の現場や様々な患者の様子を描いている書籍を読むのが好きで、健康や死生観について学ばせてもらっています。最近は癌についての書籍を読んでいるのですが、「常に癌検診を受けて早期に癌を発見して早期に治療することが大切だ」と言うお医者さんがいるいっぽうで、「現在の日本で行われている癌の手術や抗がん剤治療は患者の身体を傷つけてしまって死期を早めてしまう場合もあり、治療をしないほうがよい場合もある」と言うお医者さんもいます。医療の知識のない私にはどちらが正しいか分かりませんが、もしも私の体に癌が見つかったら、できるだけ治療をしたくないと思いました。
自分の好きな仕事をやることで心身に好影響を与えれば、癌を抑えられるかもしれません。手術による後遺症や抗がん剤による副作用で苦しんでいては、自分の好きな仕事もできなくなります。たとえもしも治療をしないで癌を放置することで死期を早めることになったとしても、死ぬ直前まで好きなように生きられたのならば、それで本望とします。
「問題が発生した時にそれに抗おうとして何かをすると、さらに問題をややこしくしてしまうかもしれない。何もせずに自然に問題が収まるのを待ったほうがよい」という感覚が私の意識の中に強く根付いています。「農薬を散布して害虫を駆除しようとすると畑の生態系を壊してさらに虫害が大きくなる。何も散布しないで生態系がバランスを取り戻すのを待てば自然と害虫も収まってゆく」という無農薬栽培の考え方は私の性格に合います。
作物を育てる時も、種を播いた後はできるだけ作物に手出しをしないで放任して、自然に生育させるように心掛けます。いろいろと手を出してしまうと「もしかしたら余計なことをして作物の生育を邪魔してしまったかもしれない」と心配になったりしてしまいます。
7月に入っていますが、ナスやピーマンなどの夏野菜の生育が遅れて、まだまともに収穫できていない状況です。大根、キャベツ、白菜、春菊など、通常ならば6月中に出荷を終える春野菜をできるだけ長く出荷し続けて、出遅れている夏野菜の穴を埋めてゆきました。
ナスの苗を植えた後も余計なことをせずにほとんど放任して育てていますが、ナス栽培の場合は、込み合っている枝を落としたり肥料を定期的に与えたり、細々とした管理をしないとうまく育たないようです。このまま放任していたらほとんどナスを収穫できないまま夏が終わってしまいそうなので、先日、ナスの樹の株元に肥料を散布してみました。
あまり農家が管理をしなくても葉を茂らせてくれるモロヘイヤや青シソが収穫時期を迎えました。ナスと比べればあまり農家が管理をしなくても生育してくれるオクラやトマトも実をならし始めています。7月、8月には秋と冬に収穫されるキャベツ、白菜、大根などの種が播かれて、あまり管理の必要としない私の好きな秋冬野菜の栽培が始まります。
何もしないことを好み、治療や管理などを施すことを重苦しく感じる私の性格が、良くも悪くも畑に投影されます。雑草と違って野菜は生育してゆくには少なからず人の管理を必要とする植物であることを、私のような性格の人は肝に銘じたほうがよいでしょう。
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