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2021年12月12日 (日)

生命力溢れる土着の生き物たち 令和3年6月25日

野菜セットには野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。

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生命力溢れる土着の生き物たち 令和3年6月25日

梅雨晴れの候、皆さま、いかがおすごしでしょうか。

  小林農場の畑のすぐ隣にはマダケという竹がうっそうと茂って竹林を形成しているのですが、梅雨が始まる頃になると竹林から畑へと地下で茎を水平に伸ばして、畑のあちらこちらで地下茎から地表にタケノコをポコポコと生やします。タケノコの生育は早く、あっという間に人の背丈よりも高くなり、そのまま放っておくと畑はマダケに占領されて竹林になってしまいます。モグラ叩きのように次々に生えてくるタケノコを刈る必要があります。

  先日、刈り取ったタケノコを持ち帰って、外皮を取り除いて茹でて、タケノコご飯にしたり味噌汁に入れてみたりして食べてみました。人間が何も世話をしなくても勝手に生えてくれるのだから、考えてみたらこれほど簡単に入手できる食材は滅多にありません。

最も一般的に販売されているタケノコはモウソウチクという種類の竹から生えてくるタケノコで、料理する前に長い時間をかけて茹でてアクを抜く必要があります。小林農場の周辺でもモウソウチクの竹林があってタケノコを掘り取ることができるので、野菜セットにタケノコを加えてみようと思ったことがありましたが、タケノコは下処理に手間のかかる食材なので届けられても喜んでくださるご家庭は多くはないだろうと思ってやめました。

モウソウチクのタケノコと比べるとマダケのタケノコはアクが少なく、刈り取ったばかりの新鮮なタケノコならばアク抜きをしなくても料理ができます。このタケノコならば野菜セットに入れてもよいかもしれないと思い、色々と料理をして試食しています。刈り取った後にどれくらい保存が効くのか確かめて、商品として出荷できるのか検討しています。

小林農場の畑の一部にはスギナが群生しています。スギナは杉の葉のような形をした雑草で、竹と同じように地下で縦横無尽に地下茎を伸ばして何年も生き続けて、毎年、地下茎から芽を伸ばして畑のあちらこちらに生えてきます。トラクターで畑を耕して地表の草を駆除しても、スギナの本体である地下茎まではトラクターの刃が届かず、たとえトラクターの刃でバラバラに分断されても散らばった欠片が再び新芽が伸ばして「分身」を拡散します。スギナが繁茂している畑では地下茎に地下を占領されてしまい、作物の生育は悪いです。

スギナのような雑草を嫌う農家は多いですが、人間よりも長くその土地に生息してきたそれらの雑草からすれば、人間に邪魔者扱いされる筋合いはありません。昔の人はこれらの土着の草を摘んで乾燥してお茶にして飲んだり、生薬の原料にしたり、生活に必要な生き物としても大事に扱っていたようです。タケノコも大事に掘り取って食べられていましたが、今はタケノコを自分で掘り取る人が少なくなり、里山では竹林が拡大して荒れています。

私の住まいの周りではタンポポやオオバコなどの草が生えてきますが、実はこれらの何気ない草も食用や薬草として利用できます。最近は異常な気候が続いて畑で作物を栽培しにくくなってきていますが、野山で自生する土着の植物はどんな気候でもたくまし生きています。本当は土を耕して手間をかけて作物を栽培するよりも、その土地に自生している植物をそのままいただくほうが、自然環境と調和した暮らし方と言えるのでしょう。

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