今年も種採り 令和3年6月10日
野菜セットには野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。
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今年も種採り 令和3年6月10日
衣替えの季節となりました。皆さま、いかがおすごしでしょうか。
ネギは冬から春にかけて収穫・出荷されますが、5月になると出荷しきれずに畑に残ったネギが花を咲かせて、6月には実が黒く結実しました。その様子を見ながら思い出しました。これからは様々な作物が花を咲かせて実を結実させて種を生み出す頃を迎えることを。
作物栽培にはまず種が必要であり、食の自給自足を目指している小林農場はできるだけ自分で種を採るようにしたいと思います。種採りの難しい作物も多いですが、25種類ほどの作物からは私の実力でも種が採れる可能性があるので、挑戦してみたいと思います。
ネギは開花した時にハチなどの昆虫によって花粉が運ばれて受粉して種を作りますので、複数のネギの品種を同じ畑で栽培して開花させると、その畑で採れる種もいろんな品種の遺伝子が交雑してしまって、その種から育てた場合にどんなネギになるかは育ててみないと分かりません。小林農場では複数の品種を同じ畑でいっしょに育てる場合が多く、交雑を防ぐ工夫が必要です。自分が望む品種の遺伝子のみを秘めた種を採種するには、開花する前にその品種のネギを数本、選抜して、他の畑に移して隔離しておく必要があります。
この春に出荷してきたサヤエンドウも間もなく収穫時期が終わりますが、収穫をしないで畑に残しておいたサヤエンドウの実が間もなく結実します。毎年、サヤエンドウの種は自分で採るようにしています。同じ畑で平たい実になるキヌサヤエンドウや、パンパンに膨れた実になるスナップエンドウなどの複数の品種を栽培していますが、ネギなどの多くの作物と違ってサヤエンドウは他の品種とは交雑しにくく、隔離は必要なさそうです。
昨年に採ったサヤエンドウの種を紙袋に入れて保管していたら、小さな虫に種をかじられて穴だらけにされてしまいました。種を常温で保管していると虫が湧いて出てくるので、家庭で使っている冷蔵庫に種を保管できる空間を確保して冷蔵保存したいと思います。
7月より収穫されるトマトは、3月に種を播いて育てます。去年、小林農場で育ったトマトより種を採ってこの春にそれらの種を播いてみたら、全く発芽しませんでした。しかたがないので2年前に自分で採った古い種を取り出して播いてみたら、無事に発芽しました。去年の私のトマトの種の採り方に何か問題があったのでしょう。原因を分析しています。
実が十分に熟す前に採られた種はその発芽率も落ちるらしく、トマトの場合は実が真っ赤に完熟してから種を採る必要があります。しかし、実が熟しすぎると種がカビてしまい、その場合も種の発芽率は落ちるらしいです。また、種を実から採り出した後は水洗いをして種に付着しているゴミを除去しますが、種を素早く日に干して十分に乾燥させないとカビてしまいます。しかし、あまり長時間、種を直射日光に当てていると、却って発芽率が落ちるらしいです。この辺の塩梅をこれから経験を積みながら身に付けてゆきたいと思います。
日本の食料自給率は低いですが、種も海外から輸入されている場合が多く、国産の種は少ないです。日本の食料自給率が向上するように国内の農家を応援してくださる方々は多いですが、種を自分で採ってゆこうとする農家の取り組みにも注目していただきたいです。