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2021年10月17日 (日)

日本の春、小林農場の春  令和3年4月22日

野菜セットには野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。

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日本の春、小林農場の春  令和3年4月22日

陽春の候、皆さま、いかがおすごしでしょうか。

  3月下旬から4月上旬にかけて、小林農場の付近では黄色のレンギョ、白色のユキヤナギ、深紅のボケなど、様々な樹々が次々に花便りを届けてくれて、桃源郷のごとく華やかな風景に包まれてゆきます。それらの開花に誘われるようにしてモンシロチョウが宙を舞い、アマガエルが地を跳びはね、ウグイスも鳴き始めて、いっせいに生き物たちが動き始めます。 

  冬を越して生育していた小松菜からはつぼみが高く伸びて、それらを摘んで「菜の花」と称して出荷してきました。すっかり暖かくなり、今はつぼみが黄色の花を咲かせて畑を黄色に染めています。もう「菜の花」は食べられませんが、きれいな菜の花畑を観賞できます。

  ソメイヨシノの花が咲き終える頃、その後を継ぐようにして小林農場の入り口付近の並木道では八重桜の花が幾重にも可憐に咲いて見頃を迎えます。畑に隣接している雑木林に混ざって自生している山桜も遅れて花を咲かせて、畑仕事をしている最中にも風に吹かれた花びらがはらはらと舞い落ちてきます。美しく咲く花はたくさんありますが、桜のように美しく散る花は多くはありません。そんな桜の花を日本人は特別に愛してきました。

  私の住まいの目の前には見上げるほどの大きなコブシの巨木が鎮座しています。1か月前までは木肌をさらけ出していましたが、4月に入る前にフサフサの毛に包まれていた冬芽が膨らんで弾けて、手のひらをいっぱいに広げるようにして純白の花が開花しました。花の寿命は短く、初々しい若葉色の新葉が花と入れ替わり、今ではすっかり新緑に包まれています。劇的に姿を変えてゆくコブシが、季節が大きく動き出したことを伝えています。

  4月は春から夏へと移る季節の転換期で、畑では収穫できる野菜の種類が1年で最も少なくなる野菜の端境期(はざかいき)となります。現代はビニール資材を畑にかぶせて畑を保温しておけばホウレン草などの葉物野菜の生育を早めることができます。小林農場が4月に出荷してきた葉物野菜の多くは、ビニール資材で保温しながら育てたものです。

  いっぽうこの季節の山では、山菜やキノコやタケノコなど、まさに旬を迎えた食材が採れます。ビニール資材のなかった昔の人々は畑で収穫できる野菜がなくなる今の季節には山に入って、これらの野生の「山の幸」を大事に採取して、手間をかけてアクを抜きながら大事に食べてきました。ビニール資材に頼らなくても収穫できる旬の山菜を小林農場の敷地内に取り入れてゆきたいと思い、ミツバやフキなどの山菜を栽培し始めています。

畑に植えたミツバが地下に根をどんどん伸ばして、すぐ隣のニラ畑に侵入してニラを取り囲むようにミツバの葉が生い茂ってしまいました。ミツバのようなもともと山で自生していた作物は野生化して繁殖しやすいようで、私の管理下から飛び出そうとします。

  4月になると私の住まいの庭に積んであるホダ木からはシイタケが次々に生えてきたので収穫して、その味わいを楽しみました。10年前の福島第一原発事故による放射能汚染の影響で栃木県内ではシイタケの出荷は規制されていますが、安全性を確認した上で、野菜の端境期には野菜の代わりにシイタケを野菜セットに入れられるようにできればよいです。

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