落ち葉の使い道 令和3年2月4日
野菜セットには野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。
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落ち葉の使い道 令和3年2月4日
早春の候、皆さま、いかがおすごしでしょうか。
2月に入り、今年も春野菜の苗作りが始まります。苗はか弱いので、苗を育てる床土が良質でなければ育たずに枯れてしまいます。小林農場では主に落ち葉を発酵させて自家製の床土を作っています。落ち葉を発酵させると細かく分解されて、排水が良くて、なおかつ保水性も良い、手触りの気持ち良い、スポンジのように柔らかな良質の床土へと変わります。
たくさんの落葉樹が並んで植えられている公園や工場などの庭では、秋が深まると敷地内は大量の落ち葉で覆われて、清掃員の皆さんによって落ち葉かきが行われて片づけられます。この冬、隣の町の工場の中庭で大量にかき集められた落ち葉をいただく機会に恵まれました。清掃員の方々が、工場から小林農場まで片道40分ほどかけながら、2tトラックの荷台に袋詰めされた落ち葉をいっぱいに詰め込んで、10回ほど往復して運び込んでくださいました。今、農場の敷地内には大量の落ち葉が山積みされています。
清掃員の方々は運送の手間賃を私に請求することもなく、無料で落ち葉を運んでくださいました。私がお礼をもうしあげますと、「今までかき集めた落ち葉を高い処理費を支払いながら処理場まで運んで処理するのも大変だった。落ち葉を引きとってくれてありがたい。来年も引きとってほしい」と、清掃員の方々から逆に感謝をされました。
これだけ大量に落ち葉があれば、床土の材料にするだけではまだまだ余ります。落ち葉を主体にして堆肥を作って畑に散布すれば畑の土はふんわりと柔らかくなりやすいので、自家製の落ち葉堆肥も作ってみようと思います。小林農場の土は粘土質で固くて作業がしずらいので、堆肥を散布して柔らかくしてゆかなくてはいけません。
ただ、2tトラックで10台分もあった大量の落ち葉でも、発酵させて堆肥にすると体積はぐっと減り、出来上がる堆肥の量はそれほど多くはありません。小林農場の広い畑全てに散布できるくらいの量の落ち葉堆肥を作るには、2tトラックで100台分の落ち葉が運び込まれても足りないでしょう。人参や大根などの根菜類は土が柔らくないと収量が悪くなるので、これらを栽培する畑だけにでも落ち葉堆肥を与えてゆきたいと思います。
堆肥を作ったり、それを畑に散布したりする作業は、手間のかかる重労働です。重労働ではない、他の落ち葉の使い道もあります。例えば、ナスなどの作物の株元に落ち葉を敷けば、ナスの根は風雨から守られて生育が良くなり、雑草も株元には生えにくくなります。
10年前に発生した福島第一原発事故で東日本に有害な放射性物質が飛散し、山林の地面には放射性物質がまだ消滅せずに残っている可能性があります。山林で落ち葉をかき集めると落ち葉といっしょに放射性物質も混ざる場合もあるので、落ち葉を畑仕事に利用する場合は注意をするように呼びかけられています。人があまり足を踏み入れない山林と違って、工場の敷地内など、すでに何回も落ち葉かきが行われているような場所では放射性物質も地面から取り除かれているので、これらの場所からかき集められた落ち葉は安心して利用してもよいと考えられます。小林農場もそのような落ち葉を主に使用しています。
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