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2021年8月 3日 (火)

品種の安全性をめぐる考察  令和3年1月28日

野菜セットには野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。

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品種の安全性をめぐる考察  令和3年1月28日

寒風の候、皆さま、いかがおすごしでしょうか。

  2月に入れば今年度の春夏野菜の種播きが始まります。種の販売店に並べられている様々な野菜の様々な品種の種袋を眺めながら、今年はどの品種を育てようか選んでいます。

  小林農場では畑に農薬を散布しませんが、できるだけ種も農薬で消毒をされていないものを選んで購入するようにしています。しかし、販売されている多くの種には農薬が散布されて消毒が施されています。私も自分の畑から自分で種を採っていますが、種を保管している最中に害虫に食われて穴だらけにされたり、種に付着していた病原菌によってその種から発芽した芽が病気に罹ったりしたことがありました。種苗会社が種を商品として販売するためには、種に付着している害虫や病原菌を農薬で駆除する必要もあるようです。

  品種には「交配種」と「固定種」の2種類に分類されますが、私はできるだけ固定種を購入するように心掛けています。固定種とは、長い年月をかけて種を採り続けながら特徴が固定されてゆく品種です。小林農場では、種を店から購入するだけではなく、できるだけ自分の畑から自分で種を採ることにも取り組んでゆきたいと思っています。そのために、まずは小林農場の畑と相性の良い固定種を見つけて、それから自分で種を採ってゆきたいです。

  味の良い固定種を「母親」にして、収量の良い固定種を「父親」にして、それらを交配すれば味が良くて、なおかつ収量も良い優れた品種を新たに生み出せます。これが交配種です。交配をするには資金や高度な技術が必要で、主に種苗会社によって交配種が開発されます。交配種の優れた特長が発揮できるのは一代限りで、二代目以降にはその特長は引き継がれませんので、交配種からは自分で良質な種を採ることができません(メンデルの法則)。

花粉ができない作物が突然変異で生まれる場合がありますが、最近はこの花粉のできない作物を増やして品種開発に利用される場合が多くなっているようです。なぜ花粉ができない作物を利用すると良いのか、その説明はこの紙面では省略させていただきますが、この交配技術に対しては「花粉のできない異常な作物を利用して開発される品種は不自然であり、それを食べる人の健康にも良くないのでは」という不安な説も発せられています。今のところ、その不安な説が正しいと証明できる科学的根拠は示されていないようです。

  確かに種苗会社が効率を優先して不自然な方法で交配種を開発する場合もあるかもしれないので、優良な固定種を見つけて自分で種を採るのが望ましいと思います。ただ、今まで小林農場の畑に馴染んで生育してくれた交配種は多く、皆さんからもおいしいと好評をいただき、私もこれらの交配種には愛着があります。固定種の生育は不安定な場合が多く、小林農場の畑と相性の良い固定種が見つかるまでは交配種も栽培してゆきたいと思います。

  海外の大手種苗会社が種の遺伝子を操作して品種を開発してゆく遺伝子操作技術に力を入れていますが、それによって生じる重大な副作用も指摘されています。人間が手を出してもよいのは交配技術までで、遺伝子という「神の領域」に手を出すのは危険です。現在は日本で遺伝子操作された品種は出回っていないようですが、今後はどうなるのか、注目です。

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