「害虫」のいない畑 令和2年10月9日
野菜セットには野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。
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「害虫」のいない畑 令和2年10月9日
秋雨の候、皆さま、いかがおすごしでしょうか。
9月は作物を食べる害虫が活発に活動し、葉物野菜の葉が害虫に食われて穴だらけにされやすいです。葉物野菜の中でもホウレン草は害虫に食べられにくい作物ですが、それでもこの時期だけはよく害虫に食べられます。この時期は虫に穴だらけにされて全く出荷できなくなるかもしれないことを覚悟した上で、畑に葉物野菜の種を播くことになります。
特に最近は害虫が元気になって、その被害も大きくなり、各地ではキャベツや白菜などを栽培している畝を防虫ネットで覆って、モンシロチョウなどの害虫が作物に接触できないように防御するようになりました。小林農場でも去年より防虫ネットを導入しました。
今年の9月は、畑にモンシロチョウの姿が見当たらず、キャベツの葉はほとんど無傷で、わざわざ防虫ネットをかぶせる必要もなかったのではないかと思えるくらいに害虫が少なかったです。このまま順調に育てば、10月下旬にキャベツを無事に収穫できるでしょう。
「虫の気配」が感じられない落ち着いた今秋の畑で、久しぶりに10月にホウレン草を無事に収穫することができました。最近、ようやくモンシロチョウが姿を現し始めて、これから少し虫害が増えるかもしれませんが、間もなく害虫も冬眠の準備を始めるでしょう。
害虫が畑に集まってくればそれを好物としている天敵も畑にやってきて、害虫だけがいつまでも繁殖してゆくことはありません。害虫による被害が激しくなる時期もありますが、そこを耐え忍べばやがて自然と生態系は落ち着きを取り戻してゆくものです。
小林農場の敷地内ではスズメバチやアシナガバチが巣を作りにやって来ます。これらのハチに刺されるととても痛いですし、最悪の場合は死にますので、人間はこれらを害虫として扱い、駆除する場合が多いです。でも、普段はおとなしい性格で、人間のほうから攻撃をしなければハチも人間を刺したりはしません。これらのハチはモンシロチョウの幼虫のアオムシを捕まえて食べてくれますので、農家にとっては益虫だとも言われています。
私達が害虫だと思って嫌っている虫も、実は他の害虫を食べてくれている場合もあります。こうなるとどれが害虫でどれが益虫なのか分からなくなってきます。
人体の腸内には、人の健康に良い「善玉菌」と、健康に悪い「悪玉菌」が生息していて、善玉菌が悪玉菌を抑えながら増殖すれば健康になります。でも、悪玉菌が全くいなくなると善玉菌が怠けてしまうので、少しだけ悪玉菌も腸内にいるほうが健康は維持されやすいようです。虫の世界でも害虫がいてくれるおかげで、それらをエサとしてたくさんの益虫も畑にやって来て、畑に豊かな多様性のある生態系が維持されやすくなるのかもしれません。
悪者、邪魔者と思われていた人が、実は社会に大事な役割を果たしていたということが、人間社会の中にもあります。マンガや映画などの活劇でも主人公を苦しめる悪者がいなければ話が盛り上がりません。一見すると人間に害悪を及ぼしているようにしか見えない虫、菌、ウイルスなども、実は人類の生存に重要な役割を果たしてくれている場合もあり、人間がこれらを嫌って過度に拒絶すれば自ら自分自身を滅ぼすことになるかもしれません。
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