学校給食で求められる規格 令和2年9月10日
野菜セットには野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。
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学校給食で求められる規格 令和2年9月10日
新涼の候、皆さま、いかがおすごしでしょうか。
小林農場の地元の栃木県芳賀郡では、地元の農家が栽培した地場産の野菜を小学校や中学校などの給食の食材として取り入れています。小林農場は今までジャガイモを学校給食用に出荷してきましたが、今月は初めて玉ねぎを学校に出荷させていただきました。
玉ねぎがいっせいに収穫されるのが6月上旬で、その後は倉庫にて長期貯蔵されます。時間が経つと貯蔵中に玉ねぎの表面にスス状の黒いカビが現れることが多いです。水洗いすればすぐに落ちるので料理するのには問題はありませんが、見た目は良くありません。
このような玉ねぎを学校側が受け入れてくれるのかどうか不安でしたので、学校給食の担当者の方に用意した玉ねぎをお見せしながらたずねてみると、「全く問題はない」と一目見てはっきりとおっしゃってくれました。少し見た目が悪くても大切に地元で採れた野菜を給食に利用してゆこうという学校側の大らかな心意気が感じられて、心強かったです。
給食を調理される方々は限られた時間内にたくさんの児童の分の給食を料理しなくてはいけなく、料理しやすい大きな玉ねぎを出荷するように要請されています。収穫した玉ねぎの中から大きな玉ねぎのみを選別して、学校への出荷用として別に保管しておきました。
いっぽうで一般家庭では一度に大量の玉ねぎを料理する機会は少ないので、あまり大きすぎる玉ねぎは扱いづらいと思います。野菜セットには使い切りやすい大きさの玉ねぎを出荷するようにしています。出荷先の需要に合わせてうまく玉ねぎを振り分けられます。
畑にたくさん肥料を与えれば玉ねぎはよく太って、学校に出荷できるような大きな玉ねぎをたくさん収穫しやすくなります。しかし玉ねぎは肥料をたくさん吸収すると貯蔵性が悪くなりやすいようで、以前に玉ねぎにたくさん肥料を与えて太らせてみたら、収穫してから短期間で傷んでしまう玉ねぎが続出して、大量に廃棄しなくてはいけなくなりました。
玉ねぎは一般家庭でよく使われる食材なので、野菜セットにはできるだけ長く、玉ねぎを無事に貯蔵しながら入れてゆきたいと思っています。今年はほとんど肥料を与えずに玉ねぎを育てましたので、貯蔵中に傷んでしまう玉ねぎは少なく、12月頃までは野菜セットに出荷できると思います。ただ、大きく育った玉ねぎも少なく、学校側からの玉ねぎの注文量は多いのですが、小林農場はその注文のほんのわずかにしかお応えできません。大きな玉ねぎか、貯蔵性の良い玉ねぎか、どちらか一つを選ぶとすれば、小林農場は後者を選びます。
ジャガイモが最も学校給食に出荷しやすい作物だと思いますが、最近の小林農場の畑では小さなジャガイモばかりが収穫されて、学校に出荷できるような大きなジャガイモを収穫できていません。毎月、学校給食に野菜を出荷している農家が集まって会議を開いていますが、先月の会議には久しぶりに私も出席して、皆さんから「あれ、久しぶりじゃないか」と暖かく声をかけていただきました。最近の私はほとんど学校給食に貢献できていませんが、皆さんはまだ私の顔を覚えてくれているようです。この数年のジャガイモ栽培の不振の原因は種イモの植え方に問題があると推測しています。なんとか改善してみせたいです。
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