体、土、菌は一如 令和2年7月9日
野菜セットには野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。
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体、土、菌は一如 令和2年7月9日
長雨のみぎり、皆さま、いかがおすごしでしょうか。
最近、食の安全性を重視されている消費者の方々の間では、作物栽培に使用される肥料の種類も注目されるようになってきているようです。有機物を発酵させて作られる有機質肥料には、家畜の糞尿などを原料とした動物由来のものと、稲わらなどを原料とした植物由来のものがありますが、「動物由来の肥料よりも植物由来の肥料を使用して栽培したほうが、健全に作物が育つ」という説が最近はよく聞かれるようになり、「肥料は植物由来のもののみを使用する」というこだわりを持って作物栽培に取り組む生産者の方々もいるようです。
小林農場の近所の畜舎では牛や鶏がたくさん飼育されていて、それらの糞尿を原料とした肥料をいただけることもあり、動物由来の肥料も自分の畑に散布しています。作物は健全に育ち、その味もおいしく、小林農場の畑の土は動物由来の肥料とも相性が良さそうです。動物由来であろうと植物由来であろうと、私にとってはどちらも同じように貴重な資源であり、これらをわざわざ区別して取捨選択する必要性を感じません。肥料の種類にこだわるよりも、身近に手に入る資源を優先的に活用してゆく方針を大切にしてゆきたいです。
体の健康を保つにはどんな食べ物を食べてどんな食べ物を食べないほうがよいのか、多くの人が意見を述べていますが、私は単純に「自分が暮らしている地域でその季節に採れる旬の食材を食べればよい」と考えています。昔から「身土不二」という言葉があり、人の体と人の暮らす土地は分けることのできない一体のものであり、自分が暮らしている土地から採れる食材を食べることでその土地にふさわしい体が作られるという考えがあります。
味噌や納豆などの食べ物には人の目には見えない小さな酵母菌などのいろいろな菌が生息していて、食べ物といっしょに私達の体の中に取り込まれてゆきます。これらの「善玉菌」が、食物の消化・吸収を助けてくれたり、病原菌の侵入を防いでくれたり、私達の健康を維持してくれる役割を果たしてくれます。まさに「身菌不二」と呼んでもよさそうです。菌もそれぞれの土地で性格が違うので、自分の暮らしている土地で繁殖している菌を自分の体に取り入れてゆけば、さらにその土地にふさわしい体が築かれるかもしれません。
有機質肥料の中では発酵によって土着の菌が繁殖して、それらが畑へ散布されてゆきます。現在の農業では有機質肥料の代わりに化学肥料が使用されることが多いです。化学肥料は鉱物より生産される肥料で、効率的に必要な栄養素を作物に与えられますが、その中には菌は生息していません。また、化学肥料の原料は日本列島では入手できず、海外で生産されたものを輸入しなくてはいけません。小林農場の畑では化学肥料は使用しておりません。
「善玉菌」の他にも、人の体に悪い働きをする「悪玉菌」も私達の中に生息しているようです。健康を維持してゆくためには悪玉菌よりも善玉菌を体の中に増やしてゆかないといけませんが、体の中に全く悪玉菌がいなくなると善玉菌が怠けて働かなくなるともいわれています。悪玉菌に接することにより、体の免疫力が鍛えられたりもします。悪玉菌を排除しようと潔癖に消毒しすぎて「無菌状態」にしてしまうのも、健康には良くなさそうです。
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