終わりのある命、燃焼させて 令和2年7月2日
野菜セットには野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。
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終わりのある命、燃焼させて 令和2年7月2日
長雨が続き、梅雨明けの待ち遠しい今日この頃です。皆さま、いかがおすごしでしょうか。
先日、東京で暮らしていた私の伯父が亡くなり、葬儀に参列するために東京まで行ってきました。「野菜ばかり食べながら暮らしているだろうから、動物性タンパク質を贈ったよ」と、自分の出身地の名産物のカマボコを何度も私に贈ってくれた、優しい伯父さんでした。
伯父さんが病院に入院している間、病院側は新型コロナウイルスが病院内に侵入することを厳重に防ぐために入院患者の家族にも病室に入ることを制限していたようで、伯母さんはなかなか伯父さんに面会をすることができずに辛い思いをしたようです。葬儀の合間に、親戚との会話の中で新型コロナウイルスのことも話題になりました。
例えば、もしも日本でエボラ出血熱のような致死率が高くて危険な感染症が流行したら、感染を回避するために外出を自粛したほうがよいかもしれません。いっぽうで、今までインフルエンザが流行しても私達は外出を自粛せずに普段通りに暮らしてきました。毎年、日本ではインフルエンザが原因で約1万人の人々が亡くなっていますが、その数字を冷静に受け止めながら私達の社会はインフルエンザウイルスと共存してきました。
新型コロナウイルスはヨーロッパやアメリカ大陸では猛威を振るいましたが、アジアではそれほど繁殖できず、日本では新型コロナウイルスによる死亡者数は、同じ頃に発生したインフルエンザウイルスによる死亡者数と大差がありませんでした。インフルエンザウイルスと同じように、今後は新型コロナウイルスとも共存してゆけばよいと私は思います。
畑には人の目には見えない菌がたくさん生息していて、多様性豊かな生態系の中でそれらの生き物と共存しながら作物は生育してゆきます。人間も同様に、免疫力を維持してくれる有益な菌を体の中に保持しながら、病原体が体に侵入してくる度に新たな免疫を身に付けます。有益菌も病原菌も、様々な菌が共存している環境で生き物の免疫力が築かれます。
病原菌を駆除するために農薬を畑に散布すると、病原菌だけではなく他の菌や小動物も死滅して、却って作物の免疫力が下がって、次に病原菌に感染したときに病気にかかりやすくなります。人間も、身の周りを過剰に消毒したり、様々な菌やウイルスに感染することを過剰に回避したりすると、免疫力を高めてゆくことができなくなるかもしれません。
自治体が新型コロナウイルスの感染を回避するために住民に外出の自粛を呼び掛けていますが、自粛をしてもウイルスが消えていなくなるわけではありません。今まで新型コロナウイルスに感染した感染者の多くが無事に回復しています。高齢や持病で免疫力が低下している人々は感染しないように気をつけたほうがよいですが、他の人々は普段通りに外出してウイルスに少しずつ接触しながら免疫を身に付けていったほうがよいと思います。
子供や若者が新型コロナウイルスに感染して死亡する事例は少なく、感染による死亡者の多くは寿命を迎える頃の年齢に達した人々で占められています。人は年をとれば免疫力が落ちて、最後は癌や肺炎や感染症などに罹って亡くなるのが自然で、それは天命です。終わりのある人生を悔いなく燃焼させてゆくには、外出を自粛してばかりもいられません。
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追記(12月27日記入)
この冬は今までのところ、インフルエンザの患者数が記録的に少ないようです。
日本列島に新たに上陸してきた新型コロナウイルスがインフルエンザウイルスの繁殖を抑えているのではないかと推測されています(このような現象を、専門用語で「ウイルス干渉」と呼びます)。
新型コロナウイルスの勢いがインフルエンザウイルスの勢いを上回っているようです。
いっぽうで、人間に対する殺傷能力はどちらも大差がなく、この冬も今までのところ、いつも通りに感染症の感染者数・死亡者数が推移しているようです。連日、新型コロナウイルスの陽性者数が過去更新していることが大きく報じられていますが、毎年、冬に感染症の被害が増えてゆくのは自然なことです。
今まで幼い子供達の命を奪ってきたインフルエンザウイルスが勢いを失い、代わって、今まで子供達にはほとんど被害を及ぼしてこなかった新型コロナウイルスがインフルエンザウイルスを抑え込みながら勢いを増しています。
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