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2020年12月17日 (木)

被覆作業で試されていること   令和2年6月18日

野菜セットには野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。

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被覆作業で試されていること   令和2年6月18日

傘の花咲く季節、皆さま、いかがおすごしでしょうか。

  昔から多くの野菜栽培では、作物の株元にワラや刈り取った野草などを敷き詰めておくことが多いです。そのように被覆しておくと雑草が発芽しにくくなって除草作業を省くことができたり、土壌水分を維持できるようになったり、地温の変化を和らげたり、雨によって跳ね上がった土で作物が汚れてしまうのを防いだり、風雨にさらされることによって株元の土壌が浸食したり固まってしまうのを防いだり、良いことがたくさんあります。

  たくさんの作物の株元を覆うだけのワラや野草をかき集めて畑まで移動するのは手間のかかる大変な作業です。現代の野菜栽培では、シート状のビニール資材が開発されていて、最初に作物の苗を植えつける畝にビニールシートを張り、苗を植える箇所のみビニールを破きながら苗を植えつけてゆきます。ビニール資材のおかげで、被覆作業が楽になりました。

  小林農場でも以前はビニールシートを張ってナスやピーマンなどの苗を植えていましたが、最近はビニールシートを張らなくなることが多くなりました。5月にたくさんの夏野菜の苗を短期間にいっせいに畑へ植えてゆかないといけないのですが、ビニールシートを張るのに時間を費やしてしまうと苗を植える時期が遅れてしまいます。とりあえず苗が若いうちにどんどん畑に植えてゆき、後で苗の株元にモミガラなどを敷くことにしています。

  ビニールシートを簡単に張ることができる農業機械も開発されていて、ビニールシートを張る時間を短縮できます。しかし機械は海外から輸入される石油を必要としますので、「国内での食糧自給」を目指す小林農場が機械に依存することに疑問を感じてしまいます。

  栽培期間が終了するとビニールシートを畑から取り外しますが、それらはプラスチックのゴミとして廃棄されることになり、地球上にゴミを増やすことになります。地球に優しい栽培を目指す小林農場がビニール資材に依存してゆくことに疑問を感じてしまいます。年をとるにつれて私の性格がどんどん頑固になってきているようで、今は機械やビニール資材を使用することを以前よりも嫌がるようになり、それらを頑固に使おうとしません。

今年はナスなど株元にモミガラなどを持ち運んで敷いてゆこうと思いますが、ビニールシートを張るよりも時間がかかり、作業を終わらせるのが遅れると先に株元に雑草が生い茂ってしまうこともあります。年をとるにつれて体力も衰えてゆきます。体力低下を補いながら農作業を続けてゆくためには、ビニール資材や機械を積極的に活用してゆかないといけなくなることもあると思います。頑固なままではいられない事情もあります。

先週はオクラの種を畑に播きましたが、今は雑草が勢いよく生えてくるので、発芽したばかりのオクラの芽もたちまち雑草に飲み込まれてしまうだろうと思い、種を播く前にビニールシートを張って、最初から雑草が生えてくるのを抑えておきました。ビニール資材を使うことを億劫に感じている頑固な私には珍しく、臨機応変な対応だったと思います。

「理想も現実もどちらも両立してゆけるバランス感覚と柔軟性」を、農家が農業を続けてゆくために求められます。被覆作業でもそれが試されているように感じています。

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