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2020年8月 5日 (水)

優良品種の種は確保してゆけるのか    令和1年12月19日

野菜セットには、野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。

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優良品種の種は確保してゆけるのか    令和1年12月19日

年末の候、皆さま、いかがおすごしでしょうか。

  人間は食糧がなくては生きてゆけず、食糧を生み出す種子は必ず確保しておかないといけません。今まで日本国内には、各都道府県にそれぞれの地域の気候に適した品種の種を生産して安定供給してゆくことを義務付けた「種子法」という法律がありました。優良な品種を開発するにはお金もかかるので、国は補助金を支給したりして各都道府県での品種改良の取り組みを支援してきました。だから各地で優良品種の種を確保してこられました。

  去年、種子法が突然、廃止されました。「国がわざわざ税金を費やして種子の生産・供給をするのではなく、民間の種苗会社にそれらを任せてゆけばよいだろう」という意見が議会で出されたようです。なんでも民営化するのが良いと考える政治家が多いようです。

  民間の種苗会社は経営を継続してゆくために、「自然環境に適した品種の種」よりも「自分達の利益を増やせる品種の種」の開発に力を入れてゆく傾向があります。栽培中に特定の農薬を使用することによって生育が良くなる品種も開発されて、種子といっしょに農薬を組み合わせて販売することによって利益を増やそうとする種苗会社もあります。そのような品種は無農薬栽培ではうまく育たず、無農薬栽培に向かない品種も増えてきています。

  いくつかの種苗会社は品種の遺伝子を意のままに作り変えることのできる技術を身に付け、遺伝子を操作した品種の種を普及させようとしています。しかし遺伝子操作された品種を食べた消費者の健康に与える副作用も指摘されていて、安全性に疑問があります。

自然環境の保全や消費者の健康を考慮しながら品種改良に取り組んでいる良心的な種苗会社もありますが、そうではない種苗会社もあることは確かです。いくつかの強大なグローバル種苗会社は世界中から自分達に有益な遺伝子を携えている品種を見つけ出して、その品種の特許を収得しようとしています。それらの品種はその地域の住民によって長い年月をかけて受け継がれてきたものなのに、グローバル種苗会社に特許を取得されると、住民達はそれらの品種の種を使用する時に種苗会社に使用料金を支払わなくてはいけなくなります。グローバル種苗会社による遺伝子資源の独占が、海外で問題となってきています。

  民間の種苗会社が種子の生産・供給の権限を強めてゆくことに不安を感じた都道府県では、自治体自身が公的に地域に適した品種の種をしっかりと生産・供給してゆくことを定めた条例を次々に作成しています。栃木県の農業関係者も栃木県政に条例を作るように要請し、今年の秋、栃木県でも県内の作物の種子の生産・供給に関する条例が作られました。

  ところがその条例は農業関係者が期待していたものとは全く異なり、県内の作物の種子の生産・供給を民間企業に任せてゆくことを追認するような内容になっていました。このようなヘンテコな条例をわざわざ作っているような自治体は全国でも栃木県だけでしょう。

 先日、栃木県の農業関係者が新たな組織を設立し、自ら優良な品種の種を確保してゆく準備を始めました。栃木県の自然環境に適した品種、遺伝子が操作されていない品種、無農薬栽培に向く品種などの種を生産・供給してゆくことを目指すようです。注目したいです。

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