2つの目的の違う栽培 令和1年10月3日
野菜セットには、野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、数か月前の過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。
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2つの目的の違う栽培 令和1年10月3日
秋の夜長、皆さま、いかがおすごしでしょうか。
野菜栽培では、その目的が違えば畑の風景も違います。例えば「収入を得ることを目的とした栽培」と「自分達の食べ物を自給自足することを目的とした栽培」は別物です。前者は売れる見込みのある作物のみを大規模に栽培して効率的に収量を増やして収入も増やし、そのお金で自分達が食べる野菜を購入します。後者は自分達が食べる野菜を全て、少しずつ栽培してゆきますが、種類が多くて手間がかかるので栽培面積は小さく、収量も少ないです。
「収入を得るための栽培」では、農業機械や資材を積極的に使用して作業効率を良くしてゆきます。収量を上げるために外部からたくさん肥料を持ち込んで畑に散布してゆきます。収量の良い品種の種を種苗会社より購入しながら種を播きます。
「自給自足のための栽培」では、機械や資材の使用を控えて、海外から輸入される石油に依存しないようにします。散布する肥料の量は、自分の畑の付近で入手できる有機物を利用して作れるくらいの量です。自分が育てている作物から自分で種を採り、種を確保します。
収入を増やすために収量を上げようとするとどうしても畑の土に負担をかけてしまいますし、石油などの資源を大量に消費することにもなるので、地球環境を損ねてしまうかもしれません。「収入を得るための栽培」と「地球環境に優しい栽培」は両立しにくいです。
「自給自足のための栽培」は「地球環境に優しい栽培」でもあります。小林農場もできるだけ機械や資材に頼らず、肥料をまわりで入手できるものから作り、自分で採った種で栽培したりしてみましたが、手間がかかるので収量も収入もなかなか上がりません。自分の食べる野菜は自給自足できていますが、電気代、ガス代、車の燃料費、病気やケガをした時の治療費などをゆとりを持って支払ってゆくには、収入をもっと増やさないといけません。
今後は地球環境の悪化で食糧生産量は減り、同時に世界人口は増えてゆくので、世界的な食糧不足が生じて、お金を持っていても食糧を購入しにくくなるかもしれません。そうなると人々がそれぞれ家庭菜園を所有して、自分の家族の分の食糧を自給自足してゆくような社会へと変わってゆくだろうと、私は勝手に予測しています。小林が現代の資本主義社会の日本で専業農家として農場経営を維持してゆくには「収入を得るための栽培」が必要となりますが、本当に後世に遺してゆくべきなのは「自給自足のための栽培」のほうです。
畑の片隅にでも小さな畑を設けて、「自給自足のための栽培」を実践・研究してみたいと思っています。その他の広い畑では「収入を得るための栽培」を行ってしっかりと収入を得て、お金と時間にゆとりを持てるようにしたいと思います。そうすれば「自給自足のための栽培」の研究に力を費やして、その様子を皆さんに公開してゆくゆとりも持てるでしょう。
すごい速度で変化してゆく現代社会の中でも安定して生活を成り立たせてゆくには、今の自分が従事している仕事の他にも収入が得られそうな「副業」を見つけておくことが奨励されているらしいです。私は「自給自足の暮らし」を身に付けてゆくことを副業にしたいです。自給してお金を必要としなくなるのは、収入を増やせることができたのと同じです。
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