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2020年6月23日 (火)

科学技術には副作用がある   令和1年11月7日

野菜セットには、野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、数か月前の過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。

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科学技術には副作用がある   令和1年11月7日

霜寒の候、皆さま、いかがおすごしでしょうか。

  現在の日本のエネルギー政策では、「自然エネルギー」による発電方法を普及しようとしています。私が暮らしている市貝町の山林でも広い規模で伐採が行われて整地されて、たくさんの太陽光パネルがズラリと並べられてゆく光景が見られるようになってきました。

  先日、市貝町の主催で「太陽光発電を考えるシンポジウム」が町役場で行われました。町民からは「太陽光パネルを設置するために山林を伐採すれば崖崩れなどの災害が起こりやすくなり、景観も悪くなってしまう」などの意見が出されて、電力事業によって太陽光パネルが町中に新設されてゆく状況を不安に感じるという意見が目立ちました。市貝町の町政でも、太陽光パネルの新設による過剰な山林伐採を防止するための規制を作成しました。

  新たな科学技術を自然界に導入すれば、たいていの場合、新たに副作用も生じます。最近では原子力を利用しようとして新たに原発が建設されてきましたが、福島第一原発事故のような「放射能汚染」という究極の自然環境汚染を新たに生み出してしまいました。

  原発に代わる発電方法として自然エネルギーが注目されていますが、太陽光も風も水も、いろんな生き物によって利用されているので、それらの力を人間が発電のために横取りすれば生態系になんらかの副作用を及ぼすかもしれません。水力を利用しようとして大型のダムが建設されてきましたが、それによって水流の生態系が乱れて問題が生じました。

ただ、「地元の自然資源を利用して地域内で電力を自給してゆこう」という考え方はとても良いと思います。自分の家の屋根に収まる小さな太陽光パネルを設置しながら我が家の電力を自給するくらいの規模なら、太陽光発電による副作用も少ないかもしれません。

  農業では「遺伝子組み換え技術」や「ゲノム編集」などの新たな科学技術が導入されて作物が栽培・販売されるようになってきましたが、これらの新技術による副作用が人体や自然環境へ与える悪影響を指摘する意見も出されています。遺伝子という「神の領域」に人間が手を出すと予測不可能な事態が生じるのではないかと、私も直感的に感じています。

  「増え続けている地球上の人口の食糧を確保してゆくには、遺伝子組み換え技術を活用してもっと食糧を増産することが必要だ」という意見もあります。農家の人口が減り続けていますが、このまま食糧を生産する人手が不足してゆけば、代わりに遺伝子組み換え技術などの科学技術に頼らなくてはいけなくなるでしょう。多くの人々が田畑で働いて自分達の食糧を自給自足してゆければ、わざわざ不自然な科学技術に頼らなくてもよくなります。

  遺伝子を操作できるのは、高度な科学技術を身に付けた一部の技術者のみです。一般人が扱うことのできない科学技術に依存してしまうと、一部の技術者や権力者の都合に自分達の生活が左右されやすくなります。高度な科学技術に問題が発生すれば大事故となり、それに対して一般人の私達にはどうすることもできません。福島の原発事故のように、大事故で壊れてしまった社会はすぐには元に戻すことができません。できるだけ科学技術に頼らなくてもよいように、自分の体を動かして自給自足してゆくことが大事だと、私は思います。

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