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2020年6月

2020年6月30日 (火)

地元にある食材を見直す意味  令和1年11月21日

野菜セットには、野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、数か月前の過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。

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地元にある食材を見直す意味  令和1年11月21日

落葉の候、皆さん、いかがおすごしでしょうか。

  小林農場では野菜栽培の他にも、小麦を栽培して小麦粉に加工しています。小麦粉にもいろいろと種類があり、「中力粉」はうどんに加工するのに適し、「強力粉」はパンに加工するのに適しています。温暖な日本列島の気候では中力粉の小麦の品種を栽培しやすく、昔から日本ではうどんが食べられてきました。小林農場産の小麦も、乾麺に加工しています。

  強力粉の小麦の品種は寒冷な気候で良く育ち、寒冷なヨーロッパなどでは昔から強力粉をパンに加工して食べられてきました。日本列島では強力粉が作りにくく、昔は日本人がパンを食べる習慣はあまりありませんでした。太平洋戦争後に海外から大量にパンが輸入されるようになってから、日本人もパンを好んで食べるようになりました。

  日本列島では稲を栽培しやすいので日本人の主食は昔からずっとお米でしたが、近年ではパンを主食として食べる日本人が増えています。日本国内では上手にパンが作れる小麦の品種は少なく、国内のパン製造者は海外から輸入された小麦粉を主に使用しています。日本で自給しにくいパンの国内消費量が増え、同時に日本で自給しやすい米の国内消費量は減っています。日本人の食生活の変化が日本の食糧自給率の低下の一因となっています。

  稲を栽培しても米が売れなくなり、稲作をやめる農家が増えています。放置された水田も見かけるようになり、美しい田園風景が維持されにくくなっています。小林農場には水田がないのでお米を作ってきませんでしたが、そのうち近所の農家から「自分は米作りをやめるので、代わりにウチの水田を借りて管理してみないか」と声をかけられるかもしれないと勝手に想像しています。日本で農業をやっているのならば、米は自分で自給したいものです。

海外からおいしい食材が容易に輸入されるようになり、私もパンなどの輸入物が大好きで、よく食べています。しかし、できるだけ地元で自給できる食材を飲食するように心掛けたいです。そうすることで、地元で食糧を自給してゆく豊かな自然環境が維持されます。

  私が好んで毎日飲んでいる飲み物はコーヒーですが、日本列島でコーヒー豆を栽培するのは難しいので、コーヒーはほとんどが海外より輸入されています。日本には茶畑があり、いろんな種類のお茶が自給されていますが、どうしても私の口には日本茶は合いません。

  先日、大麦を炒って加工された麦茶を購入して熱々に温めて飲んでみたら香りがとても香ばしくて、初めてコーヒー以外に毎日飲みたい飲み物に出会えたと思いました。小林農場でも大麦を栽培して押し麦などに加工してきましたが、麦茶にも加工してみたいです。

  小林農場産の小麦粉も他の国産小麦粉と同様にパン作りにはむきませんが、粉の味は良く、水でこねた粉に刻んだ野菜を混ぜ合わせてフライパンで焼くだけでおいしく食べられます。私流に工夫したこの料理を「ナンもどき」と名付けて、昼食に食べています。

小林農場の畑では大麦がたくさん収穫できるので、我が家の主食は独自のやり方で炊いた麦飯です。他所から食材を輸入するのではなく、自分の畑で採れる食材のみで工夫をしながら料理することにより、個性豊かな郷土料理が生み出されてゆくものだと思います。

2020年6月29日 (月)

七十二候を追う・ 「乃東枯(なつかれくさかれる)」~アマリリスについても~

1年間を72等分した「七十二候」。日本には72の季節があります。

6月21日から6月25日頃までの従来の七十二候は  「乃東枯る(なつかれくさかれる)」。ウツボグサの花が黒ずんで、枯れたように見える頃とされています。

小林農場では、自分の地域に合った現代版の七十二候を独自に作成しています。

6月21日から6月25日頃までの小林農場独自の七十二候は 「雨を得て 額紫陽花が 装飾す」

梅雨の頃の花といえば、アジサイ。アジサイの花は小さく丸まっていてそんなに美しくないのですが、花のすぐ外についている鮮やかな青や紅色の萼(がく)が大きくて、地味な花を覆い隠しながら人や虫の目を魅了します。

Dscn3178 小林農場の庭に植えている額紫陽花。

梅雨入りしてから数週間経ちましたが、ようやく花が咲き始めました(正確に言い直すと、萼が開き始めました)。

額紫陽花は他の紫陽花と比べて花が咲くのが(萼が開くのが)遅いようです。

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同じ頃に近所の庭では、ユリが甘い香りを振りまきながら、花を華麗に咲かせていました。

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我が家の庭で自生しているアマリリスの花。

ユリの花に少し形が似ていて、横向きに花を開きます。

額紫陽花の花が咲く少し前、梅雨入りする頃に、花を咲かせます。私が何も世話をしなくても毎年、勝手に花を咲かせる、たくましい植物です。

地元の池ではスイレンなども咲いているようですし、いくつかの植物が梅雨のジメジメとした空気の中で鮮やかに大きく花を咲かせてくれています。

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6月21日に1年で最も日が長くなる「夏至」を迎えましたが、ちょうどその頃に部分日食の観測も重なり、月や太陽の神秘に触れられる1日となりました。

この季節に小林が選曲した「この季節の歌」

 「荒城の月」 土井晩翠・作詞、瀧 廉太郎・作曲

  右をクリックすると、この曲をお聴きになれます。 荒城の月.wav 

 

2020年6月28日 (日)

令和2年6月26日の旬野菜詰め合わせ(野菜セット)・野菜の保存方法について

今回の旬野菜詰め合わせ(野菜セット)の内容です。

玉ねぎ、人参、ミニ大根、ミニキャベツ、白菜、キュウリ、ズッキーニ、サヤインゲン、モロヘイヤ、青シソ、ニラ、ニンニク

「食べきれないので野菜の量を少なくしてほしい」

「その野菜は好物なので、もっとたくさんほしい」

「特定の野菜にアレルギー反応があるので、その野菜は除いてほしい」など

旬野菜詰め合わせ(野菜セット)についての皆さまからのご要望を個別に承ります。ご要望のある方は電話やメールで農場まで、または、小林に直接、お伝えください。

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野菜セットにはたくさんの野菜が詰められています。

すぐには全部食べきれないので、皆さん、冷蔵庫などを活用しながら工夫をして野菜を保存してくださっていると思います。

私なりに野菜の保存方法をまとめてみました。

・冷蔵庫に入れずに常温で貯蔵する野菜

  じゃがいも、玉ねぎ、ニンニクなど

  室内の涼しくて光の当たらない場所で保存します。

・冷やしすぎると低温障害で傷むかもしれない夏野菜

  ナス、キュウリ、ピーマン、ズッキーニ、トマト、オクラなどの夏野菜

  冷蔵庫に何日も入れておくと、夏野菜には温度が低すぎて傷み始めるかもしれませんので、なるべく早く食べきりたいです。

  冷蔵庫に野菜室があれば、野菜室に入れるとよいです(野菜室は温度が少しだけ高く設定されている)

  野菜室でも夏野菜には温度が低すぎるかもしれません。新聞紙に包めば低温に触れるのを防げて、水分も適度に保たれて、日持ちが良くなると思います。

・冷凍保存をしてもよい葉物野菜

  青シソ、ニラ、モロヘイヤなどの葉物野菜

  特に葉物野菜は長期保存をしにくいので、できるだけ早く食べきりたいです。

  冷凍庫に入れて冷凍すれば、長期間、保存できます。

  料理しやすい大きさに小分けして、ジッパーやタッパーなどに入れて冷凍庫に入れます(茹でてから冷凍してもよいけれども、茹でる手間を省いてそのまま冷凍してもよいと思います。特に青シソは、その香りを生かしたいので、茹でずに冷凍庫に入れます)

  料理したい時に冷凍庫から取り出して、解凍せずにそのままフライパンや鍋に入れて、炒めたり煮たりして料理できます(青シソは、凍った葉を手でパリパリとバラバラにしながら利用できます)

  「凍らしてしまうと野菜の風味が悪くなる」と心配される方は、冷蔵庫で冷蔵保存。冷蔵庫の中で野菜を寝かせて置くよりも立てて置くほうが、日持ちが良くなるといわれています。

(私は葉物野菜を冷凍しても、それほど風味は悪くならないと思います。キュウリなどの夏野菜は、冷凍すると良くないと思います)

・まとめ 

  野菜は裸のまま保存するよりも、袋に入れて保存しておいたほうが日持ちが良くなります。できれば、新聞紙に包んでから袋に入れると、さらに良いです。小林農場の野菜セットは、野菜をポリ袋に入れながらお届けしております。

  

2020年6月25日 (木)

手間のかかる作物の代表   令和1年11月14日

野菜セットには、野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、数か月前の過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。

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手間のかかる作物の代表   令和1年11月14日

初冬の候、皆さま、いかがおすごしでしょうか。

  10月より秋キャベツを野菜セットに入れてまいりました。葉が柔らかくて甘味もあり、おいしいキャベツを皆さんにお届けできたと自負しております。キャベツはたくさんの肥料を必要とする作物で、肥料の足りない畑では結球してくれませんので、キャベツを栽培する畑には前もって肥料を施すようにしています。過剰に肥料を吸収してもキャベツの味はえぐくなって良くありませんが、とりあえず小林農場のキャベツの味は良いので、味質だけを考慮するなら今までの肥料の種類や量でちょうど良かったと思います。

肥料には虫を引き寄せるような香りがあるようで、肥料を与えると害虫も発生しやすくなります。肥料を散布しながら育ててゆくキャベツは最も虫害に遭いやすい作物の一つです。まだ苗が幼い頃にまるで集中砲火を浴びたように葉のあちらこちらが虫に食われて穴だらけにされてしまうこともあり、それが致命傷となってその後の生育が停滞します。

キャベツを無農薬栽培で育てるために、最近では目の細かな防虫ネットをキャベツ畑全体に覆ってチョウなどの害虫をキャベツに近づけないようにする方法が広く普及されるようになりました。防虫ネットを導入するには手間と費用がかかりますので、私は今までその導入に躊躇していました。去年、すぐお隣の私の農業の師匠が畑に防虫ネットを導入されて虫食われ穴のないとてもきれいなキャベツを栽培されていましたので、それに背中を押されて今年初めて、小林農場のキャベツ畑でも防虫ネットを導入してみました。   

期待通りに防虫ネットの中でキャベツは順調に育ち、費用対効果はそれなりに望めそうだということを確認いたしました。虫食われ穴のない外葉の内側で結球してゆくキャベツの姿は美しく、芸術作品のようでした。美しいキャベツを皆さんにお届けできました。

キャベツは暑さに弱い作物です。現在出荷中の秋キャベツは猛暑の7月、8月頃に種を播いて育てるので、栽培が難しいです。冬の寒さがやって来てキャベツの生育が止まってしまう前に収穫時期を迎えさせるには、猛暑の頃に種を播かないと間に合いません。

手間がかかって収量が少ないため、今後は一部のご家庭のみに秋キャベツをお届けしてゆくことになります。遮光ネットも導入して防虫ネットの上にかぶせれば、畑に植えられたキャベツの苗を直射日光による暑さから防げて、収量を増やせるかもしれません。いつの間にかに野菜栽培が資材に依存したやり方になってきているのが、少し気になりますが。

  肥料を多く欲しがる性格のため、キャベツは育てるのに手間がかかり、肥料を吸収しながらまん丸に結球してゆく姿から「暴飲暴食を好む肥満体の作物」などと揶揄する人もいます。でも結球してゆくことにより球の内側の葉はたくさん詰まって柔らかくなっておいしくなり、球が貯蔵器官の役割をして葉の日持ちも良くなり、料理するのに都合が良くなります。多くの家庭で愛用されている野菜ですので、手間がかかっても栽培する価値はあります。

間もなく全てのご家庭に白菜をお届けしてまいりたいと思います。これもキャベツに似て肥料好きな性格の作物で、キャベツと同じくらいに手間をかけて育てました。

2020年6月24日 (水)

令和2年6月22日の旬野菜詰め合わせ(野菜セット)・キュウリの樹の状態について

今回の旬野菜詰め合わせ(野菜セット)の内容です。

じゃがいも、玉ねぎ、ミニ大根、キャベツ、白菜、ブロッコリーまたはカリフラワー、キュウリ、ズッキーニ、ナスまたはサヤインゲン、モロヘイヤ、ニラ、ニンニク

「食べきれないので野菜の量を少なくしてほしい」

「その野菜は好物なので、もっとたくさんほしい」

「特定の野菜にアレルギー反応があるので、その野菜は除いてほしい」など

旬野菜詰め合わせ(野菜セット)についての皆さまからのご要望を個別に承ります。ご要望のある方は電話やメールで農場まで、または、小林に直接、お伝えください。

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ナス、ズッキーニ、サヤインゲン、モロヘイヤ・・・

まだ収量は多くありませんが、徐々に夏野菜が収穫時期を迎え始めています。

先陣を切って最初からたくさん実を実らせている夏野菜が、キュウリです。今後しばらくは、キュウリを安定して野菜セットに入れてゆけると思います。

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収穫時期を迎えたばかりのキュウリ畑の様子。

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キュウリの樹の健康状態を葉の形、葉の色、葉のつき方などから診断します。

  樹が良い状態の時は、以下のような特徴があるようです。

   ・葉の色は若草色

   ・葉柄が斜め上に張っていて、葉はほぼ水平に伸びる。

   ・節間(葉と葉の間隔)が短い

   ・葉の縁がギザギザとしている

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樹の健康状態は、実の形にも現れます。上から下までまっすぐに伸びている実をたくさん実らせているようなら、樹の状態も良いです。

樹が疲れてくると、曲がった実や、尻太りしたりや尻細りした実が増えます。

Img_0056_20200624054001 キュウリの雄花。

2020年6月23日 (火)

科学技術には副作用がある   令和1年11月7日

野菜セットには、野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、数か月前の過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。

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科学技術には副作用がある   令和1年11月7日

霜寒の候、皆さま、いかがおすごしでしょうか。

  現在の日本のエネルギー政策では、「自然エネルギー」による発電方法を普及しようとしています。私が暮らしている市貝町の山林でも広い規模で伐採が行われて整地されて、たくさんの太陽光パネルがズラリと並べられてゆく光景が見られるようになってきました。

  先日、市貝町の主催で「太陽光発電を考えるシンポジウム」が町役場で行われました。町民からは「太陽光パネルを設置するために山林を伐採すれば崖崩れなどの災害が起こりやすくなり、景観も悪くなってしまう」などの意見が出されて、電力事業によって太陽光パネルが町中に新設されてゆく状況を不安に感じるという意見が目立ちました。市貝町の町政でも、太陽光パネルの新設による過剰な山林伐採を防止するための規制を作成しました。

  新たな科学技術を自然界に導入すれば、たいていの場合、新たに副作用も生じます。最近では原子力を利用しようとして新たに原発が建設されてきましたが、福島第一原発事故のような「放射能汚染」という究極の自然環境汚染を新たに生み出してしまいました。

  原発に代わる発電方法として自然エネルギーが注目されていますが、太陽光も風も水も、いろんな生き物によって利用されているので、それらの力を人間が発電のために横取りすれば生態系になんらかの副作用を及ぼすかもしれません。水力を利用しようとして大型のダムが建設されてきましたが、それによって水流の生態系が乱れて問題が生じました。

ただ、「地元の自然資源を利用して地域内で電力を自給してゆこう」という考え方はとても良いと思います。自分の家の屋根に収まる小さな太陽光パネルを設置しながら我が家の電力を自給するくらいの規模なら、太陽光発電による副作用も少ないかもしれません。

  農業では「遺伝子組み換え技術」や「ゲノム編集」などの新たな科学技術が導入されて作物が栽培・販売されるようになってきましたが、これらの新技術による副作用が人体や自然環境へ与える悪影響を指摘する意見も出されています。遺伝子という「神の領域」に人間が手を出すと予測不可能な事態が生じるのではないかと、私も直感的に感じています。

  「増え続けている地球上の人口の食糧を確保してゆくには、遺伝子組み換え技術を活用してもっと食糧を増産することが必要だ」という意見もあります。農家の人口が減り続けていますが、このまま食糧を生産する人手が不足してゆけば、代わりに遺伝子組み換え技術などの科学技術に頼らなくてはいけなくなるでしょう。多くの人々が田畑で働いて自分達の食糧を自給自足してゆければ、わざわざ不自然な科学技術に頼らなくてもよくなります。

  遺伝子を操作できるのは、高度な科学技術を身に付けた一部の技術者のみです。一般人が扱うことのできない科学技術に依存してしまうと、一部の技術者や権力者の都合に自分達の生活が左右されやすくなります。高度な科学技術に問題が発生すれば大事故となり、それに対して一般人の私達にはどうすることもできません。福島の原発事故のように、大事故で壊れてしまった社会はすぐには元に戻すことができません。できるだけ科学技術に頼らなくてもよいように、自分の体を動かして自給自足してゆくことが大事だと、私は思います。

2020年6月22日 (月)

七十二候を追う・「梅子黄なり(うめのみきなり)」~アメリカフウロについても~

1年間を72等分した「七十二候」。日本には72の季節があります。

6月16日から6月20日頃までの従来の七十二候は  「梅子黄なり(うめのみきなり)」。梅の実が熟して色づく頃とされています。

小林農場では、自分の地域に合った現代版の七十二候を独自に作成しています。

6月16日から6月20日頃までの小林農場独自の七十二候は 「栗の花 しっぽのごとく 垂れ下がり」。山林に野生の栗の木が花を咲かせています。栗の花については、前回の「七十二候を追う」のページに書いてみましたので、よろしければご覧ください。

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上の写真は、5月に撮影した、謎の雑草。葉の切れ込みが深くて、薄紅色の小さな花を咲かせていました。

あまり作物が育たなかった畑でこの雑草が繁殖していたので、私の記憶にのこりました。

葉の形などがかなり独特なのですが、植物図鑑で調べてもその名前が分からず、私が勝手に「イヌギク」と名付けていました。

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6月に入ると葉は赤く染まり、その先に黒い種子がとんがっていました。姿がさらに個性を増して、「超イヌギク」に変身していました。

先日、植物に詳しい母に調べてもらうと、「アメリカフウロ」という名前の帰化植物であることが判明しました。植物図鑑で自分で名前を調べるよりも、植物に詳しい人に教えてもらったほうが早く名前が分かると、実感いたしました。

私は、その姿からキク科の植物だと思って「イヌギク」と名付けたのですが、全然違くて、フウロソウ科の植物です。

生き物の名前が新たに分かると楽しいです。1000個くらい、植物や昆虫や鳥の名前を覚えたいです

私は忘れっぽいから、「備忘録」を作っています。よろしければ「命名百科~小林農場で出会える生き物~」をご覧ください。

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この季節に小林が選曲した「この季節の歌」

  「大きな栗の木の下で」 作詞、作曲:不詳 イギリス民謡

   右をクリックすると、この曲をお聴きになれます。 大きな栗の木の下で.wav 


 

 

2020年6月20日 (土)

令和2年6月19日の旬野菜詰め合わせ(野菜セット)・新ジャガについて

今回の旬野菜詰め合わせ(野菜セット)の内容です。

じゃがいも、玉ねぎ、ミニ大根、キャベツ、白菜、サンチュ、ブロッコリー、ナス、ズッキーニ、シュンギク、ケール、ニラ、ニンニク

「食べきれないので野菜の量を少なくしてほしい」

「その野菜は好物なので、もっとたくさんほしい」

「特定の野菜にアレルギー反応があるので、その野菜は除いてほしい」など

旬野菜詰め合わせ(野菜セット)についての皆さまからのご要望を個別に承ります。ご要望のある方は電話やメールで農場まで、または、小林に直接、お伝えください。

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「新ジャガ」を野菜セットに入れてみました。

夏野菜の収穫開始が遅れていて、出荷できる野菜の種類がまだ少ない状況なので、代わりにジャガイモを畑より試しに掘り出してみました。

出荷できるくらいにイモが大きく育っていましたが、ジャガイモの葉がまだ青々としているので、収穫しないで畑に残しておけば、もっとイモは大きくなると思います。

葉が青々としている頃は地下のイモも若くて、それで「新ジャガ」と呼ばれます。

「新ジャガ」は水分を含んでみずみずしく、火を通すとホクホクとしやすいです。蒸したり煮たりして塩やバターをつけるだけ、という簡単な食べ方で楽しむことが多いです。

「新ジャガ」という言葉の響きも、心をウキウキさせてくれたりします。

若いイモなので、肌が柔らかく、皮も薄いので、皮ごとおいしく食べられます。

しかし、肌が柔らかいので、収穫中に肌を傷つけてしまいやすく、収穫後に傷んでしまうこともあります。本当は、イモが若いうちに収穫するのは控えたいです。

梅雨が明けてジャガイモの葉が枯れた頃、イモも熟して皮が厚くなり、肌が傷つきにくくなります。その頃に本格的にジャガイモを収穫してゆきます。

収穫されたイモを真夏の直射日光に当てながら十分に乾かせば、長期間、無事に貯蔵できます。

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現在のジャガイモ畑。まだ、葉が青々としています。

2020年6月18日 (木)

遺伝子操作技術の今後   令和1年10月31日

野菜セットには、野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、数か月前の過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。

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遺伝子操作技術の今後   令和1年10月31日

向寒の候、皆さま、いかがおすごしでしょうか。

  作物の遺伝子を操作して有益な品種を作り出す「遺伝子組み換え技術」や「ゲノム編集」の研究が進んでいます。海外では遺伝子操作を施された作物の栽培面積が増え続け、それらが収穫されて人の食糧や家畜の飼料として出荷され、日本にも輸入され始めています。

今まで種苗業界ではさまざまな品種を交配させながら時間をかけて有益な新品種を開発してきましたが、それと比べると遺伝子操作技術は時間をかけずに効率的に新品種を作り出せます。よって、複数の種苗会社が遺伝子操作技術を広く普及させたいと考えています。

いっぽうで遺伝子を操作することにより新たな副作用も生み出されることも懸念されていて、多くの人々が遺伝子操作食品の安全性に不安を感じています。また、遺伝子操作作物が栽培中にそのまわりの野生の野草とも自然交雑してその遺伝子が自然環境に増殖してゆく可能性もあり、その結果、生態系を乱してしまうことも懸念されています。今までこの世に存在していなかった未知の遺伝子を人工的にたくさん生み出すことによって、それが自然環境や私達の健康にどのような影響を与えてゆくのかは予想がつきません。

遺伝子操作技術を普及させたい種苗業界は、これらの技術の有益性を宣伝しています。害虫に食べられにくいように遺伝子が操作された作物の品種を開発して、「農薬を散布する量を減らすことができるので、環境に優しい栽培ができる」と農家に宣伝しています。

花粉症の症状を和らげたり糖尿病を予防したりできる米の品種を遺伝子操作によって作る研究もされているようです。花粉症や糖尿病で悩んでいる人は多いので、これらの新品種の米は消費者に歓迎されて常食されるかもしれません。今は農薬散布されて栽培された食品や様々な添加物が含まれている食品が一般的に販売されていますが、今後は遺伝子操作食品も一般的に販売されるようになり、安全性への警戒心は消えてゆくかもしれません。

遺伝子操作技術の品種の需要が増えれば種苗会社もその技術を取り入れた品種の種ばかりを販売するようになるでしょう。遺伝子操作されていない品種の種を購入することは難しくなり、小林農場でも遺伝子操作された品種を栽培しなくてはいけなくなるでしょう。

以上、遺伝子操作技術の今後について、「もしかしたらこうなるのではないか」と予測してみました。予想どおりになって遺伝子操作されていない品種の種が入手できなくなることを避けるには、農家は種苗業界から作物の種を購入するのではなく、自分の畑から作物の種を自分で採り、遺伝子操作されていない品種を自分で育成してゆくしかありません。遺伝子操作技術によってもたらされる副作用は心配なので、この技術に依存したくないです。

遺伝子操作は人間の体にも応用できます。自分の遺伝子を操作してもらえば、簡単に美男・美女になることもできるでしょう。自分の子供の身体能力も簡単に向上させられます。自分の子供の遺伝子を操作しようとしない親は、「せっかく子供がもっと幸せに暮らせるようになるのに、なぜ遺伝子を操作してあげないのか」と、周りの人から注意されるかもしれません。自分や自分の家族の遺伝子を操作できる便利な社会を、皆さんはどう思いますか?

2020年6月17日 (水)

令和2年6月15日の旬野菜詰め合わせ(野菜セット)・春野菜、終焉へ

今回の旬野菜詰め合わせ(野菜セット)の内容です。

玉ねぎ、ミニ大根またはカブ、キャベツ、白菜、サンチュ、サヤエンドウ、シュンギク、ケール、大根の葉、ニラ、ニンニク

「食べきれないので野菜の量を少なくしてほしい」

「その野菜は好物なので、もっとたくさんほしい」

「特定の野菜にアレルギー反応があるので、その野菜は除いてほしい」など

旬野菜詰め合わせ(野菜セット)についての皆さまからのご要望を個別に承ります。ご要望のある方は電話やメールで農場まで、または、小林に直接、お伝えください。

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収穫される野菜が春野菜から夏野菜へと移り変わろうとしています。

今まで活躍してくれていたレタスなどの春野菜の収穫が、徐々に終了してゆきます。

大根、カブなどの春野菜も、今の高温多湿の気候では調子が良くないようなので、十分に大きく育つのを待たずに、若いうちに収穫して出荷するようにしています。

この高温多湿の中では、大根やカブは収穫し遅れると、すぐに傷んでしまうかもしれません。現在、出荷している大根やカブは少し小さいですが、若々しくておいしく食べられます。間もなく、大根やカブの収穫も終了します。

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春野菜のサヤエンドウも、樹が枯れて、今週で収穫が終了します。

サヤエンドウは、未熟で青々としているサヤを収穫して食べます。

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未熟な実を収穫しないでいると、上の写真のようにサヤがカサカサに枯れてゆき黒々と変色して、中身の実は膨らんで完熟します。

その実をよく乾かしながら保存すれば、次のサヤエンドウ栽培での種として使えます。このようにして小林農場で採られた種から育ったサヤエンドウを、来年の春に野菜セットに入れて皆さんにお届けすることになります。

 

2020年6月16日 (火)

七十二候を追う・「腐草蛍と為る(ふそうほたるとなる)」 ~クリについても~

1年間を72等分した「七十二候」。日本には72の季節があります。

6月10日から6月15日頃までの従来の七十二候は  「腐草蛍と為る(ふそうほたるとなる)」。ホタルが飛び交う頃とされています。昔の人は、腐った草がホタルに生まれ変わると思ったそう。

小林農場では、自分の地域に合った現代版の七十二候を独自に作成しています。

6月10日から6月15日頃までの小林農場独自の七十二候は 「梅雨入りし 何度も着替えを したくなり」

関東平野では、だいたい6月10日より少し前あたりに梅雨に入ります。今年は6月11日に気象庁が関東地方の梅雨入りを宣言しました。

本当にこの日を境にしてよく雨が降るようになり、空気がジメジメと肌にまとわりつくようになりました。とても分かりやすい今年の梅雨入りでした。

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濃い緑に包まれた周辺の雑木林の中に、白っぽい塊があちらこちらに見られます。栗の木の花です。

この季節の雑木林に、栗の花が彩りを与えています。花が咲いて初めて、周りの雑木林でこんなにたくさんの野生の栗の木が自生していることに気付かされます。

Dscn3126 近距離から写真に撮った栗の花。

栗の花は、たくさんの小さくて白っぽい花が集まって花序を形成して、しっぽのように細長く垂れ下がります。

秋になると、実がなります。栽培されている栗の実と比べると小さくて食べにくいですが、味はしっかりとおいしいです。

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この季節に小林が選曲した「この季節の歌」

  「あめふり」 作詞:北原白秋、作曲:中山晋平

   右をクリックすると、この曲をお聴きになれます。 あめふり.wav 

2020年6月15日 (月)

物語の力       令和1年10月24日

野菜セットには、野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、数か月前の過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。

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物語の力       令和1年10月24日

幕秋の候、皆さま、いかがおすごしでしょうか。

  畑仕事の合間に図書館から借りてきたマンガを読むのが、私のささやかな楽しみです。マンガは他のどの国よりも日本で発展し、日本に暮らしていればマンガの名作にたくさん出会えます。マンガ好きの私は、日本に生まれきて良かったと思わずにはいられません。

  学校で教わる歴史の授業では年号や人名や地名など暗記しなくてはいけないことがたくさんありすぎて、歴史が嫌いになってしまう人も多いです。歴史が好きな人は「カムイ伝」や「ベルサイユのばら」などの歴史を題材にしたマンガを読んでいる場合が多く、「暗記」からではなく「物語」から歴史に触れ、歴史を人間ドラマとして楽しんでいます。

  「農」や「食」を題材にしたマンガには、何があるかでしょうか。最近では「銀の匙」や「もやしもん」などが読まれているようですが、少し前には「夏子の酒」などもよく読まれていました。料理の奥深さを描いたグルメマンガも多く、「美味しんぼ」などが有名です。

マンガ以外では宮沢賢治の小説や映画の「となりのトトロ」やTV番組の「ザ!鉄腕!DASH!!」などで田舎の豊かな暮らしがを伝えられています。これらは農業や食や田舎暮らしを単なる情報としてではなく物語として人々に伝え、そしてこれらの物語に感動して実際に田舎に移り住んで農業を始める若者達も現れました。これが物語の力というものです。

  農家が多くの人々に農業を伝えるのに、農場での出来事を物語にして語ってゆければよいです。人々の頭に向けて情報を届けるのではなく、人々の心に物語を届けるのです。

  マンガでは登場人物の魅力が重要で、キャラクターの魅力的な個性を際立たせながら描いてゆくことを「キャラを立たせる」と言います。農場での主役は、作物です。それぞれの作物のキャラを立たせながら作物が生育してゆく様子を物語にして皆さんにお伝えしてゆけるように、それぞれの作物をしっかりと観察し、その個性を把握したいと思います。

  マンガの魅力的な登場人物には読者も感情移入しやすく、登場人物といっしょに笑ったり泣いたりできます。作物と人間は全く違う生き物なので、作物は何を思っているのかよく分からず作物には感情移入しにくそうですが、どの作物も種を産み出すことを目的としていることは明らかで、子孫の繁栄を必死に願う作物の姿には私達も共感できます。作物の共感できる部分を見つけて作物を魅力的に擬人化できれば、おもしろい物語が描けます。

  巧みな画力で描かれる登場人物の表情や仕草から、登場人物の言葉にはしにくい心象をもマンガ独特の技法によって表現されてゆきます。言葉を発っしない作物の気持ちはマンガ的な絵で表現してゆくのが有効かもしれないので、自分で絵を描く癖をつけたいです。

  日本では800年以上も前から絵巻が作られて、浮世絵なども多く描かれていて、この国でマンガやアニメが発達する素地はすでにずっと前から築かれていました。人間は衣食住が足りているだけでは満足できないようで、大昔から自分達のまわりの世界を芸術や物語にして表現することによって心を満たしてきました。人間が生きてゆく上で芸術や物語は衣食住と同じくらいに必要不可欠なものなのではないかと思いたくなるときもあります。

2020年6月14日 (日)

令和2年6月12日の旬野菜詰め合わせ(野菜セット)・シュンギクの食べ方について

今回の内容です。

玉ねぎ、ミニ大根、カブ、キャベツ、レタス、サンチュ、ブロッコリー、コールラビ、サヤエンドウ、シュンギク、ケール、ニラ、ニンニク

「食べきれないので野菜の量を少なくしてほしい」

「その野菜は好物なので、もっとたくさんほしい」

「特定の野菜にアレルギー反応があるので、その野菜は除いてほしい」など

旬野菜詰め合わせ(野菜セット)についての皆さまからのご要望を個別に承ります。ご要望のある方は電話やメールで農場まで、または、小林に直接、お伝えください。

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シュンギクは冬に鍋に入れて食べられることが多いですが、本当は寒さに弱い作物なので、露地では冬にシュンギクを栽培することはできません。

露地栽培のシュンギクの本当の旬は、春から初夏にかけて、または、秋です。

シュンギクには独特の香りがあるためか、害虫があまり寄ってこないので、虫害がとても少ないです。無農薬栽培で育てやすい葉物野菜です。

(同じ時期に育てている小松菜や水菜などの葉物野菜は、害虫によって葉を穴だらけにされて、商品になりません)

最近の野菜セットにシュンギクを入れています。独特な香りのある野菜ですので、その香りをどのように料理するとよいのか、私なりにいろいろと試してみました。

1、おひたし

  いろいろな葉物野菜がおひたしにして食べられていますが、もしかしたら「シュンギクのおひたし」が最もおいしいかもしれません。さっと茹でることにより、シュンギクのクセのある香りが良い感じに和らぎ、食べやすくなります。

2、天ぷら

  シュンギクのような香りの強い野菜は、揚げることによって香りが和らいで食べやすくなると、私は感じています。

3、チヂミ

  揚げ物のような脂っこい料理が苦手な方におすすめ。シュンギクを食べやすい大きさに切って、小麦粉などで作った生地と混ぜてごま油で炒めます。チヂミも、野菜の強い香りを和らげて食べやすくしてくれる料理方法だと思います。

4、サラダ

  シュンギクの独特の香りを、サラダのアクセントとして利用します。柔らかな葉の部分をちぎってサラダに混ぜて生食します。

シュンギクの茎の部分に苦味が多めに含まれているようなので、茎を取り除くことによってもっと食べやすくなるかもしれません(茎の苦味もおいしいと、私は思いますが)

Dscn3132 シュンギクの天ぷら。

2020年6月13日 (土)

台風19号、来襲    令和1年10月17日

野菜セットには、野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、数か月前の過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。

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台風19号、来襲    令和1年10月17日

秋冷の候、皆さま、いかがおすごしでしょうか。

  10月12日から13日にかけて東日本の広い範囲に甚大な被害を及ぼした台風19号。小林農場は特に大きな被害を受けずにすみました。小林農場は近くに河川も崖もないので、浸水やがけ崩れが起こりにくく、比較的に安全な位置にあります。畑では長ネギがたくさん強風によって倒されてしまい、これらが今後立ち直ってくれるのかどうか、見守りたいと思います。その他の作物は今のところ、目に見えた形では被害が確認されていません。

野菜セットを定期購入してくださっている皆さんのお宅は無事だったのかどうか、気になりました。もしも浸水被害などで自宅に住めなくなって避難生活をされているご家庭がありましたらいつも通りに野菜セットを受け取ることができないと思いますので、皆さんの住所一覧表を見直して、皆さんのお住まいの地域の状況を確認してみたりしました。

  農家なら普段から自分の畑で食糧を生産しているので、大地震などの自然災害が発生して外部から食糧が入手しにくくなっても自分の畑から食糧を確保できるので安心だと、私は思っていました。しかし今回のような浸水被害が発生すれば、畑で生育していた作物も水に浸かって窒息死してしまうかもしれません。新聞には浸水してしまった畑で泥だらけになっている作物の写真が載っていましたが、農家の心痛は相当に大きいことでしょう。

  大きな自然災害が発生した後はガソリンなども入手しにくくなるので、私は普段から頻繁にガソリンスタンドに寄って、常に車の燃料を十分に入れておくようにしています。しかし今回の浸水被害の被災地では、車も水に浸かって壊れて、燃料が十分に入っていても全く使うことができなくなっていました。田舎では車を失うと生活が著しく不便になります。

  台風19号が上陸する前から気象庁は厳重に注意するように呼びかけ、交通機関では計画運休が実施され、多くの職場が臨時休業して、私達は台風の被害が少なくなるように備えました。それでも多くの地域が甚大な被害を受け、多くの人命が奪われました。事前に備えていても被害を免れませんでした。自然災害の猛威は人々の想定を軽々と超えてきます。

  今回の台風では地元の市貝町の一部も浸水し、町の福祉団体が復旧作業のボランティアを募集していましたので私も一日だけ参加して、浸水したお宅の片づけをお手伝いしました。浸水被害の現場を実際に目にして、被害に遭われた家主さんの気持ちを察しました。

日本のどこかで大きな自然災害が発生する度に、日本全国の人々が無償で被災地に支援の手をさしのべてきました。自然災害多発列島で暮らし、何度も自然災害を経験してきた日本人の遺伝子には、「困った時はお互いさま」という精神が宿っています。

日本で開催されているラグビー・ワールドカップに出場している海外の選手達が被災地でボランティア活動に参加したことが話題となりましたが、今までも日本で自然災害が発生する度に国外からも支援の手がさしのべられてきました。「困ったときはお互い様」は日本人だけのものではなく、全人類共通の本能のようです。自然災害は人々の生活を破壊しますが、同時に、忙しい日常の中では忘れがちな他者への思いやりを思い出させてくれます。

2020年6月12日 (金)

苗が根付くまでの数日間  令和1年10月11日

野菜セットには、野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、数か月前の過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。

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苗が根付くまでの数日間  令和1年10月11日

秋冷の候、皆さま、いかがおすごしでしょうか。

  キャベツや白菜などの秋野菜は、真夏の頃から秋にかけて種をまき、苗を育ててから畑に植えてゆきます。白菜は8月中に4回に分けて少しずつ種を播いてゆきました。

一番最初に種まきされた白菜の苗が大きくなって畑に植えられた9月上旬頃には曇りの日が続き、「植え付け日和」でした。苗は直射日光にさらされることなく、数日後には無事に根を張って立ち上がりました。続いて2回目の白菜も同じように無事に根付きました。

  3回目に種まきされた白菜の苗が畑に植えられた翌日、真夏が戻って来たかのように強烈な直射日光が降り注いで真夏日となり、土の表面が乾いてゆきました。太陽の光は植物が光合成をしてゆくために必要不可欠なものですが、まだ畑に植えられたばかりの苗は根が張れていなくて土中の水分を自力で吸水できないので、強い直射日光が直撃するとしおれてしまいます。苗の根が根付くまで、畑に大量の水を持ち運んでかん水しました。

  畑に植えられてから根付くまでの数日間を無事に乗り越えられるかどうかが、その後の作物の生育に重大な影響を及ぼしてゆくようです。植え付け時に天気が曇って直射日光を避けることができた苗はすんなりと畑に根付いて、その後の生育も順調です。いっぽう植え付け時に強い直射日光を浴びてしおれた苗は根付くのに時間がかかり、その時に受けた損傷が後にも響いて、いつの間にか消えてなくなってしまう苗も少なくありませんでした。

  暑さの厳しい頃に畑に植えられてゆく秋野菜の苗が根付くまで、他の農場では植え付け直後に苗の上に遮光シートをかぶせて直射日光を遮ったりしています。植え付け直後の苗には、それくらいに手間をかけて大事に保護してもよいのかもしれません。

  それにしても最近の私が育てる苗は根性がなく、畑に植えられた後、ちょっと直射日光を浴びるとすぐにしおれてしまい、少しでもかん水が遅れると枯れて消えてしまいます。苗を育てる時に水を与えすぎると苗は甘えてしまって自力で根を伸ばす癖がつかなくなってしまうようですので、来年はもう少しかん水を控えて苗を厳しく育ててみようと思います。

  通常はポットに床土を詰め込んで、そこに種を播いて発芽させて、雨除けハウスの中で苗を育てます。今秋は試しに、一部の種を畑に直接播いて、ポットの中よりも厳しい環境の畑の中で苗を育ててみましたが、発芽率が悪くて、この試みはうまくいきませんでした。

  夏から秋にかけて害虫が活発に活動しますが、苗作りでは防虫ネットで苗を覆って育てます。それでも害虫が大発生するとわずかな隙間からネットの中に侵入してきて苗を食べてしまいます。作物が大きくなれば害虫にかじられても放っておいてもよいのですが、幼いうちに害虫にかじられると致命傷となり、その後の生育が悪くなります。今年の夏と秋は害虫が少なく、苗の葉は無傷のまますんなりと生育してくれて、苗作りが楽しかったです。

  作物は、幼い頃の経験がその後の生涯に重大な影響を及ぼしてゆきます。なんだか人間の生涯と似ていています。植え付けられた直後の苗は、子供から大人に変わろうとしている思春期を迎えている状態で、育て親の私も苗が根付いて自立するまで神経を遣います。

2020年6月10日 (水)

七十二候を追う・「蟷螂生ず(かまきりしょうず)」 ~マダケについても~

1年間を72等分した「七十二候」。日本には72の季節があります。

6月5日から6月9日頃までの従来の七十二候は  「蟷螂生ず(かまきりしょうず)」。カマキリが生まれる頃とされています。

小林農場では、自分の地域に合った現代版の七十二候を独自に作成しています。

小林農場独自の6月5日から6月9日頃までの七十二候は 「ぽこぽこと 真竹が他所から 顔を出す」

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この時期になると、畑に隣接している雑木林から、真竹が地下で茎を伸ばして畑に侵入してきます。

その地下茎から、タケノコをポコポコと地上に生やし、すごい勢いで背丈を伸ばしてゆきます。

これを刈り倒しておかないと畑は真竹に占領されてしまい、畑は固くなった竹で覆われて竹林になってしまいます。

Photo_20200610055501 左の画面をクリックすると、画面が拡大されて見やすくなります。

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小林が選曲した「この季節の歌」

  「牧場の朝」 作曲・舟橋栄吉  文部省唱歌
   右をクリックすると、この曲をお聴きになれます。 まきばの朝.wav 

2020年6月 9日 (火)

令和2年6月8日の旬野菜詰め合わせ(野菜セット)・6月上旬の野菜セットの内容について

今回の内容です。

玉ねぎ、カブ、キャベツ、レタス、サニーレタス、ブロッコリー、キヌサヤエンドウ、スナップエンドウ、シュンギク、ケール、ニラ、人参ジャム

「食べきれないので野菜の量を少なくしてほしい」

「その野菜は好物なので、もっとたくさんほしい」

「特定の野菜にアレルギー反応があるので、その野菜は除いてほしい」など

旬野菜詰め合わせ(野菜セット)についての皆さまからのご要望を個別に承ります。ご要望のある方は電話やメールで農場まで、または、小林に直接、お伝えください。

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3月下旬から5月上旬にかけては、1年で最も収穫できる野菜が少なくなる「野菜の端境期(はざかいき)」となり、5月下旬より収穫できる野菜が豊富になって野菜セットの内容が充実してゆきます。

そのままずっと内容が充実してゆけばよいのですが、梅雨に突入してゆく6月上旬に再び、「端境期の第2波」を迎えることもあります。今年の6月上旬は特に出荷できる野菜の種類が減って、今回の野菜セットより一時的に端境期に戻る見通しです。

春野菜は高温多湿に弱く、レタスなどは今週で限界を迎えて傷み始め、出荷が終了となります。

この時期に出荷を予定していた大根やカブがなかなか大きくなってくれず、出荷を中断しています。これらも高温多湿に強くないので、出荷が再開されてもすぐに出荷が終了するでしょう。

サヤエンドウなどの豆類の収穫も終わりが見えてきました。皆さんに好評だったソラマメですが、今回、収穫した後にいくつかのソラマメの中身を確認してみると、少し傷みが見られるマメもいくつかありました。熟考した上で急きょ、今回の野菜セットにはソラマメを入れることを控えることにしました。

キュウリなどの高温多湿に強い夏野菜が収穫され始めるのは、6月下旬より。それまでは野菜セットに入れられる野菜が少なくなる見通しです。そんな状況の中でも皆さんに喜んでいただける野菜セットをお届けできるように、知恵をしぼりたいと思います。

Dscf0585 今回の2000円セットでは、入れられる野菜が少なくなったので、代わりに「人参ジャム」を加えてみました。小林農場の人参を加工して販売しているジャムです。皆さんにご試食していただきながら宣伝したいと思います。

2020年6月 8日 (月)

令和2年6月5日の旬野菜詰め合わせ(野菜セット)・ケールの食べ方の研究

今回の内容です。

玉ねぎ、カブ、キャベツ、レタス、サニーレタス、ブロッコリー、カリフラワー、キヌサヤエンドウ、スナップエンドウ、ソラマメ、シュンギク、ニラ

「食べきれないので野菜の量を少なくしてほしい」

「その野菜は好物なので、もっとたくさんほしい」

「特定の野菜にアレルギー反応があるので、その野菜は除いてほしい」など

旬野菜詰め合わせ(野菜セット)についての皆さまからのご要望を個別に承ります。ご要望のある方は電話やメールで農場まで、または、小林に直接、お伝えください。

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Dscn3102 ケール。葉を1枚1枚、かきとりながら、収穫しています。

現在、ケールが畑で良い状態で生育していますので、収穫・出荷しやすいです。

栄養価のとても高い野菜なので、食べないのは損です。

それでケールを売り出していきたいと思っているのですが、まだ日本では一般的に食べられている野菜ではなく、ケールの食べ方を知らないご家庭も多いと思います。

野菜セットにケールを入れてみたり入れなかったりしています。ケールを野菜セットに入れる場合は、ケールの食べ方を農場通信で少し詳しくお伝えしてゆこうと思います。

私も今年、初めてケールを栽培し、今はケールを毎日料理しながら、おいしい食べ方を研究しています。

炒めたり煮たり、いろんな料理方法で食べられますが、火に通すと、少し食感がモサモサとした感じになります。

私は、サラダにしてそのまま生食するほうがおいしいと思います。「ケールは苦い」と思っている人が多いようですが、小林農場が栽培しているカリーノケールは苦味が和かで、サラダ向きです。

天ぷらなどの揚げ物にしてもおいしかったです。ミキサーをお持ちの方は、他の野菜や果物と合わせて「青汁ジュース」にしてもよいかもしれません。

2020年6月 7日 (日)

2つの目的の違う栽培   令和1年10月3日

野菜セットには、野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、数か月前の過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。

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2つの目的の違う栽培   令和1年10月3日

秋の夜長、皆さま、いかがおすごしでしょうか。

野菜栽培では、その目的が違えば畑の風景も違います。例えば「収入を得ることを目的とした栽培」と「自分達の食べ物を自給自足することを目的とした栽培」は別物です。前者は売れる見込みのある作物のみを大規模に栽培して効率的に収量を増やして収入も増やし、そのお金で自分達が食べる野菜を購入します。後者は自分達が食べる野菜を全て、少しずつ栽培してゆきますが、種類が多くて手間がかかるので栽培面積は小さく、収量も少ないです。

  「収入を得るための栽培」では、農業機械や資材を積極的に使用して作業効率を良くしてゆきます。収量を上げるために外部からたくさん肥料を持ち込んで畑に散布してゆきます。収量の良い品種の種を種苗会社より購入しながら種を播きます。

  「自給自足のための栽培」では、機械や資材の使用を控えて、海外から輸入される石油に依存しないようにします。散布する肥料の量は、自分の畑の付近で入手できる有機物を利用して作れるくらいの量です。自分が育てている作物から自分で種を採り、種を確保します。

  収入を増やすために収量を上げようとするとどうしても畑の土に負担をかけてしまいますし、石油などの資源を大量に消費することにもなるので、地球環境を損ねてしまうかもしれません。「収入を得るための栽培」と「地球環境に優しい栽培」は両立しにくいです。

  「自給自足のための栽培」は「地球環境に優しい栽培」でもあります。小林農場もできるだけ機械や資材に頼らず、肥料をまわりで入手できるものから作り、自分で採った種で栽培したりしてみましたが、手間がかかるので収量も収入もなかなか上がりません。自分の食べる野菜は自給自足できていますが、電気代、ガス代、車の燃料費、病気やケガをした時の治療費などをゆとりを持って支払ってゆくには、収入をもっと増やさないといけません。

  今後は地球環境の悪化で食糧生産量は減り、同時に世界人口は増えてゆくので、世界的な食糧不足が生じて、お金を持っていても食糧を購入しにくくなるかもしれません。そうなると人々がそれぞれ家庭菜園を所有して、自分の家族の分の食糧を自給自足してゆくような社会へと変わってゆくだろうと、私は勝手に予測しています。小林が現代の資本主義社会の日本で専業農家として農場経営を維持してゆくには「収入を得るための栽培」が必要となりますが、本当に後世に遺してゆくべきなのは「自給自足のための栽培」のほうです。

  畑の片隅にでも小さな畑を設けて、「自給自足のための栽培」を実践・研究してみたいと思っています。その他の広い畑では「収入を得るための栽培」を行ってしっかりと収入を得て、お金と時間にゆとりを持てるようにしたいと思います。そうすれば「自給自足のための栽培」の研究に力を費やして、その様子を皆さんに公開してゆくゆとりも持てるでしょう。

  すごい速度で変化してゆく現代社会の中でも安定して生活を成り立たせてゆくには、今の自分が従事している仕事の他にも収入が得られそうな「副業」を見つけておくことが奨励されているらしいです。私は「自給自足の暮らし」を身に付けてゆくことを副業にしたいです。自給してお金を必要としなくなるのは、収入を増やせることができたのと同じです。

2020年6月 6日 (土)

七十二候を追う・「麦秋至る(ばくしゅういたる)」~カラスノエンドウについても~

1年間を72等分した「七十二候」。日本には72の季節があります。

5月31日日から6月4日頃までの従来の七十二候は  「麦秋至る(ばくしゅういたる)」。麦が熟して収穫される頃とされています。

小林農場では、自分の地域に合った現代版の七十二候を独自に作成しています。

小林農場独自の5月31日から6月4日頃までの七十二候は 「葉はくすみ 実は固くなり 熟れる麦」

小林農場の麦畑では、大麦が収穫時期を迎えております。

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青かった麦の葉が黄金色に染まります。稲も秋になると黄金色に染まって収穫されるので、黄金色といえば秋を連想させます。

それで麦の収穫される今の時期は「麦秋(ばくしゅう)」と呼ばれてきました。

Dscn3090 大麦の穂。

実を取り出して歯で噛んでみると、カチッと固いです。十分に熟しているようで、いつでも収穫してもよい状態です。

小林農場には田んぼがないので、稲作をしていません。だから、米の代わりに大麦を我が家の主食として食べています。

Dscn3098 小麦の穂。

まだ葉色も青く、実を歯で噛んでみてもプニュっとつぶれて柔らかいです。まだ熟していないようです。

梅雨の真っ最中に収穫時期を迎えることになりそうです。

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Dscn3093 麦畑の所々につる性の雑草が麦の穂に絡まっているのが見られます。カラスノエンドウです。

Dscn3094 カラスノエンドウの莢。割ってみると、熟した種も見られます。

麦と同じ時期に、カラスノエンドウの実も熟します。よって、麦の実を収穫している最中に、どうしてもカラスノエンドウの実も混ざってしまいます。

麦の実に少しだけカラスノエンドウの実が混ざって収穫されても、特に問題はありません。そのままいっしょに、押し麦、うどん、小麦粉などに加工します。

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小林が選曲した「この季節の歌」

  「てるてる坊主」作詞:浅原 鏡村 作曲:中山 晋平

   右をクリックすると、この曲をお聴きになれます。 てるてるぼうず.wav

 

2020年6月 5日 (金)

令和2年6月1日の旬野菜詰め合わせ(野菜セット)

 



今回の内容です。

玉ねぎ、大根、カブ、キャベツ、レタス、サニーレタス、ブロッコリーまたはカリフラワー、茎ニンニク、サヤエンドウ、ソラマメ、ほうれん草、シュンギク、ケール、ニラ

「食べきれないので野菜の量を少なくしてほしい」

「その野菜は好物なので、もっとたくさんほしい」

「特定の野菜にアレルギー反応があるので、その野菜は除いてほしい」など

旬野菜詰め合わせ(野菜セット)についての皆さまからのご要望を個別に承ります。ご要望のある方は電話やメールで農場まで、または、小林に直接、お伝えください。

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・5月に出荷してきたキャベツは、去年の秋に種を播いて育てたキャベツです。6月以降は全てのご家庭に、今年の春に種を播いて育ててちょうど収穫時期を迎えたばかりのキャベツをお届けしてまいりたいと思います。

2020年6月 3日 (水)

まずは観察、それから推理     令和1年9月19日

野菜セットには、野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、数か月前の過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。

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まずは観察、それから推理     令和1年9月19日

仲秋の候、皆さま、いかがおすごしでしょうか。

  9月からカボチャが食べ頃を迎え、「収穫の秋」を演出してくれます。ところが今年の小林農場ではカボチャが全く生育してくれませんでした。小林農場では多種類の野菜を栽培していますので、カボチャが収穫できなくても他の野菜で代用しながら野菜セットを作ってゆくことができます。しかし、カボチャは皆さんに人気の高い野菜で、野菜セットの中でもその存在感は大きく、カボチャが出荷できなくなった損失は小さくはありません。

  その年の天候や土壌の状態など、様々な要因が複雑に絡み合って作物は豊作になったり不作になったりするので、その原因が分からない場合も多いです。ただ、今回はカボチャがほぼ全滅し、これだけ派手に失敗してしまうとその原因を探らないわけにはいきません。

  4月から育苗ハウスで育てたカボチャの苗を5月に畑へ植えてゆきました。それから日が経つごとに苗の葉は黄ばんで縮んでゆき、そのまま枯れて消えてゆきました。この様子から、なんらかの理由で苗の根が上手に土壌から養分を吸収できなかったと推測されます。

  大きな草で覆われていた畑を急いで耕してすぐにカボチャの苗を植えていった時には、雑草の残骸が畑に散乱していました。生の草が土の中に鋤きこまれた直後は、それらを分解しようとする微生物が湧いて出てきたりして、土の中が騒がしくなるようです。土が落ち着かない状態では、畑に植えられた苗も落ち着いて根を伸ばせなくなるのかもしれません。

カボチャの苗を植える時はそのすぐ近くに少量の肥料を与えるようにしています。今年はいつもとは違う材料で作った自家製の肥料をいつもと違うやり方で苗を植える時に与えましたが、この肥料が苗に変な効き方をしてしまったのかもしれません。

カボチャの根は土の表面に伸びてゆくので、今までは苗の周りの土の表面を雨風から守るためにモミガラを敷いていました。今年はモミガラの代わりに落ち葉を敷いてみましたが、もしかしたら落ち葉の中に変な害虫やら病原菌やらが生息していたかもしれません。

これらの推理から、「カボチャの苗を植える前にはあらかじめよく耕して雑草を抑えておいて、肥料の与え方や表面の土の保護方法は以前のやり方に戻せばよい」という対策が導き出されます。この推理と対策は間違っているかもしれません。奥深き自然界の森羅万象を人間の頭で何でも解明できるなんて考えるのは傲慢です。ただ、間違っていてもかまわないから、無理矢理にでも原因を推理してみる癖をつけたいと思っています。そうすることによって、作物をじっくりと観察しようとする癖も身につきます。観察こそが作物栽培の肝です。

カボチャが全滅することがはっきりとしてきた7月に、新たにカボチャの種を播き直してみました。果たしてこの遅い時期に種播きされたカボチャが冬になる前に収穫時期を迎えてくれるかどうかは半信半疑ですが、今のところは順調に育っています。なぜ今回は苗が畑に無事に根付き、前回は苗が根付かなかったのか、観察しながら比較しています。

  畑にカメラを携帯して、作物の生育過程を写真に収めることを趣味にしたいです。どんな角度でカメラを向けて撮ればその作物の現状を写し出すことができるのかを考えているうちに観察力が身について、作物が抱えている悩みが聞こえるようになるかもしれません。

2020年6月 1日 (月)

コロナ禍を生きる   令和2年4月23日

野菜セットには、野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、数か月前の過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。

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コロナ禍を生きる   令和2年4月23日

晩春の候、皆さま、いかがおすごしでしょうか。

  テレビのニュース番組と同じように、私も最近の農場通信では、新型コロナウイルスの話題ばかりを取り上げています。自分の心の中の不安と向き合いながら、新型コロナウイルスについて自分なりに情報を集めています。9年前に福島第一原発事故が発生した時も原発や放射性物質について時間を費やして勉強しましたが、あの頃を思い出します。

  今までのところ、このウイルスに感染しても重症化してしまう人は少ないようなので、私もあまり過剰に心配しないように心掛けています。手洗い、うがい、マスク装着、衛生管理などの感染予防を行いながらも、今まで通りに野菜を栽培して皆さんにお届けし、できるだけいつも通りの生活を送ってゆくことを心掛けています。

現在は日本全国で緊急事態宣言が発令されて、多くの方々が仕事を休まざるを得なくなって収入を失っています。この自粛が長引けば食べてゆくためのお金すらなくなってしまう人も現れて、別の理由で命の危険にさらされてしまいます。電気代も水道代もガス代も支払えなくなれば、健康を維持してゆくのも難しくなります。もしも新型コロナウイルスの終息が長引くならば、「ウイルス感染による被害」と「自粛によってもたらされる健康被害」と、どちらのほうが病人の数を増やしてしまうのか、慎重に見極めないといけません。

高齢や持病などで免疫力が低下している人は、このウイルスに感染すると重症化する場合があることもわかってきました。このウイルスによって重症化しているのは、ほとんどが高齢者の方々です。一般的には年をとればとるほど、免疫力も次第に下がってゆきます。逆の言い方をすると、年をとっても免疫力の低下を抑えられれば、病気になりにくいです。

  東京の実家で暮らしている私の父と母も間もなく80歳を迎える高齢者です。毎月、賑やかな東京から静かな小林農場へ訪問して、きれいな空気と美しい田舎の風景を楽しんでいましたが、こんなご時世になりましたので、今月は農場訪問をやめることになりました。

しばらくは毎週、小林農場の野菜セットを実家に送ることにしました。息子の育てた野菜を食べて父と母が元気になり、免疫力の低下を抑えられればよいと願っています。毎週、実家に電話をして、野菜セットについての感想を父と母からきこうと思います。身内ですので遠慮のない率直な感想を聞けそうです。それを野菜セットの品質向上に反映させます。

あらゆるところに新型コロナウイルは拡散していますので、自分の身近な人や自分自身が感染しても不思議ではありません。「このウイルスに感染しても、ほとんどの人は重症化していない。高齢や持病などで免疫力が低下している人は、感染して重症化する場合がある。」ということを再度確認して冷静に対応してゆきたいです。

日本政府は自粛要請の代償として、全ての世帯に一律に10万円の給付金を支払うことを決めましたが、小林農場は今回の自粛要請のよってあまり被害を受けていませんので、私には給付金は必要ありません。医療現場の最前線で新型コロナウイルスと対峙している医療従事者や、感染の影響を受けやすい高齢者を支援することに国費を費やしてほしいです。

追記(5月31日記入)

  以上の農場通信を書いた時は、「父や母のような高齢者にとって、新型コロナウイルスは危険かもしれない」という考えが私の頭の中にありました。

  実際は、新型コロナウイルスに感染して重症化する高齢者よりも、感染しても重症化しない高齢者のほうが,ずっと多いようです。若い世代と比べれば高齢者が重症化する危険は高まりますが、感染しても重症化しない高齢者も多いです。

参照:日本経済新聞「年代別の感染状況」

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「共存」という選択肢  令和2年5月21日  

走り梅雨に濡れた緑がいっそう深まっております。皆さま、いかがおすごしでしょうか。

  近代の一般的な作物栽培では、作物の生育を阻害する病原菌を退治するために、農薬を畑に散布します。しかし農薬は病原菌だけではなく畑に生息している他の生き物にも害を与えて畑の生態系が壊れる危険がありますので、小林農場では農薬を使いません。多様な生き物が暮らす豊かな生態系でなければ作物も健全に育つことができないと考えています。

  生息している生き物の少ないような貧しい生態系に、病原菌が好んで繁殖したりします。それを退治するために農薬を散布すればさらに生態系が壊れます。次第に病原菌は農薬に対する耐性を身に付けてしまうので、さらに種類の違う農薬を開発して散布しなくてはいけなくなります。病原菌を撲滅しようとすればするほど、悪循環へ陥ってしまいます。

  無農薬栽培では、病原菌とも共存してゆくことを考えます。いろんな生き物が共存していれば、病原菌だけがいつまでも繁殖することはありません。ときどき作物が病気にかかる場合もありますが、「少しくらいは病原菌にも作物を食わせてやれ」くらいの大らかな気持ちを持って病原菌と接してゆくことが、無農薬栽培を続けてゆくためのコツだと思います。

  現在、世間で最も有名な病原体といえば、新型コロナウイルスです。どうやらこれからもしばらく、このウイルスは消えてなくなることはなく、私達の社会に居座るらしいです。

私達が長く付き合ってきたインフルエンザウイルスも新型コロナウイルスと同じ風邪の仲間です。厚生労働省によると、日本国内では年間で約1000万人というたくさんの人達がインフルエンザにかかります。私達は周りの人達との間で頻繁にインフルエンザウイルスをうつしたりうつされたりしながら暮らしてきました。そして国内で毎年、約1万人の人々が誰かからうつされたインフルエンザウイルスが原因で重症に陥り命を失っています。

「手洗いやマスク装着などをしてインフルエンザウイルスの感染防止につとめるけれども、それでも人からウイルスをうつされる場合もあるし、人にウイルスをうつしてしまう場合もある。それをお互いに責めたりしないで、許し合いましょう。」という「暗黙の了解」の基で、今まで私達の社会は大らかにインフルエンザウイルスと共存してきました。

厚労省や国立感染研究センターから公表されている統計を見ると、新型コロナウイルスが日本国内で確認され始めた1月下旬から5月下旬までの間に、新型コロナウイルスによって死亡した人数よりもインフルエンザウイルスによって死亡した人数のほうが多いようです。死亡者数だけを比べて言えば、インフルエンザウイルスのほうが人を殺す力の強い相手だといえるかもしれません。そんな恐ろしいインフルエンザウイルスと共存してきた私達ならば、新型コロナウイルスとも共存してゆけるのではないかと、私は考えています。

病原菌のことばかりを心配していると、畑へ過剰に農薬を散布してしまうようになって大切な生態系を壊してしまいます。今後も手洗いなどを続けて新型コロナウイルスの感染予防につとめることは大切ですが、新型コロナウイルスのことばかりを心配しすぎると、人と接触することを過剰に恐れてしまうようになり、大切にしてきた人生を壊してしまいます。

追記(5月30日記入)

  新型コロナウイルスは未知のウイルスですが、インフルエンザウイルスは私達にとって馴染みのあるウイルスです。

インフルエンザウイルスと比較すれば、新型コロナウイルスの実力を推測しやすくなるかもしれません。

新型コロナウイルスが日本列島に上陸してからの約4か月間、新型コロナウイルスによる死亡者の数は、同じ時期に発生したインフルエンザウイルスによる死亡者の数よりも少ないようです。

インフルエンザでは高齢者だけでなく乳幼児なども亡くなることが少なくないのですが、新型コロナでは今までのところ、国内の20歳以下の子供たちの死亡者の数はゼロです。

参照:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症について・国内の発生状況」

参照:国立感染研究所「インフルエンザ関連死迅速把握システムによる2019/2020シーズン21大都市インフルエンザ・肺炎死亡報告」

インフルエンザウイルスなどの他の病原ウイルスと比較してゆくことにより、私達は冷静に新型コロナウイルスと対峙してゆけるようになるのではないかと、私は考えています。

 

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