ウイルスと戦うための武器 令和2年4月16日
野菜セットには、野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、数か月前の過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。
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ウイルスと戦うための武器 令和2年4月16日
花冷えの候、皆さま、いかがおすごしでしょうか。
以前に私の師匠の鶏舎で養鶏について学ばせていただきました。風通しと日当たりの良い野外に鶏舎が建てられ、広々とした床で鶏がのびのびと健全に暮らしていました。
近代の多くの養鶏場では、室内の部屋に鶏をたくさん詰め込みながら飼育しています。そうしたほうが鶏を自分に都合良く管理できて、卵を効率的に大量生産できます。しかし、菌やウイルスなどの病原体は密集・密接・密閉の環境に繁殖しやすいので、もしも病原体が室内に侵入してきたらたちまち全部の鶏に病気が広まってしまうため、室内に殺菌剤を散布する必要があります。そして、たくさんのワクチンを鶏に投与する必要もあります。
ワクチンによる予防接種では、少量の病原ウイルスをわざわざ体に注入させて、体を軽くウイルスに感染させます。そうすると体の中にそのウイルスに対する免疫が築かれて、その後は体にウイルスがたくさん侵入してきても免疫によって発症しにくくなります。
そのウイルスに対する免疫は、そのウイルスに感染することによって築かれます。
野外で健全に育てられている師匠の鶏は、ほとんどワクチンに頼らなくても病気にかかりませんでした。野外にはさまざまな病原体が浮遊していて、常に鶏に軽く感染していますが、健康な鶏ならそれで病気になることは少ないです。軽く感染することによって、まるでワクチンを注入されたかのように、鶏の体にその病原体に対する免疫が自然と出来上がります。
数年前に「鳥インフエンザウイルス」という新型の病原ウイルスが現れて、複数の養鶏場で大量の鶏が次々に感染・発症して、命を落としました。新型のウイルスに対するワクチンはなく、その毒性が強ければ、鶏が新たに免疫を獲得するよりも先に、死に至ります。
新たに登場した病原体・新型コロナウイルスは、ヨーロッパやアメリカなどの地域で猛威をふるって多くの犠牲者を出しましたが、日本列島の環境ではその実力を発揮できていないようで、今までのところ、日本国内でこのウイルスに感染して重症化する人の数は少ないです。このウイルスに感染しても症状が出ない人が多いことも分かってきました。
現時点(4月18日)に国内で確認されている感染者の累積数は約7000人ですが、おそらく未確認の感染者の数はその何倍もいるのではないかと言われています。このウイルスに対するワクチンはまだ開発されていませんが、すでに感染している人は、ワクチンを打たなくてもこのウイルスに対する免疫を獲得できている可能性があります。もしかしたら私も皆さんもすでにウイルスに感染していて、知らないうちに免疫を獲得しているかもしれません。
やがて大勢の人々が新型コロナウイルスをやっつけることのできる免疫力を獲得すれば「免疫の防壁」が社会全体に築かれて、持病や高齢などで免疫力が弱っている人々もウイルスに感染しにくくなり、「終息」が宣言されます。発症して重症化してしまう感染を「悪い感染」、重症化せずに免疫を獲得できる感染を「良い感染」とするのならば、現在の日本では、新型コロナウイルスから「悪い感染」よりも「良い感染」を受けている人のほうがかなり多いのではないかと、自分の願望をたっぷりと盛り込みながら、期待したいです。
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追記(5月19日記入)
今後も度々、新型コロナウイルスが流行するのではないかと言われています。
・感染したら重症化するかもしれないので、感染するのを回避するために外出を自粛したほうがよいのか
・それとも、新型コロナウイルスに対する免疫を自力で獲得することを目指して、いつもどおりに外出して、少しづつこのウイルスに感染していったほうがよいのか
どちらのほうがよいのか、考えてゆきたいです。
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