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2020年3月28日 (土)

動物と人が共に暮らす風景   令和1年9月12日

野菜セットには、野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、数か月前の過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。

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動物と人が共に暮らす風景   令和1年9月12日

朝夕は日毎に涼しくなってまいりました。皆さま、いかがおすごしでしょうか。

  去年の夏、捨てられていた猫の赤ちゃんを私が引き取ることになりました。オスのトラネコで、私の掌に収まるくらいのこの小さな赤ん坊に、「ヤチオ」と名前を付けました。

  ヤチオの体はどんどん大きく育ち、夜にはエサを食べに住まいに帰ってきて、朝になれば外へ遊びに飛び出す毎日を送っていました。近所の飼い猫ともよくじゃれ合い、ご近所さんにも気に入られてかわいがられていました。私が飼っている犬にもヤチオは懐き、私が犬を連れて散歩に出掛けると、ヤチオもその後をずっと勝手についてきていました。

  先週からヤチオが夜になっても住まいに戻らなくなり、その姿がどこにも見当たらなくなりました。数日間後、住まいの外側に設置している灯油タンクの下に、体を丸めてうずくまっているヤチオの姿を発見しました。もう動くことはなく、死んでいました。

  ヤチオの首筋には深く切り裂かれた傷跡が走っていました。外で遊んでいる最中に何かしらの獣とケンカしたのかもしれません。どこかで致命傷を負った後、ヤチオは最後の力をふり絞って私の住まいまで帰ってきてくれました。ヤチオが生きているうちに私が早く見つけ出してやれば命を救うことができたかもしれないと思うと、胸が苦しくなります。

  洗濯物を干す竿のすぐ近くに亡骸を埋葬し、ささやかなお墓を建てました。私が洗濯物を干す度に私の足音が地下に伝わり、ヤチオもさみしがらずに永眠できると思います。

  動物愛護団体などは、飼い猫を外には出さずに室内で飼うことをすすめています。外には危険もあり、飼い猫を長生きさせたいのであれば外に出さないほうが安全でしょう。ただ、外に出ることができずに不自由だけれども安全な生涯と、危険はあるけれども広い外の世界を好きなだけ駆け回れる自由な生涯と、猫にとってはどちらが幸せなのかはわかりません。わずか1年間のヤチオの生涯でしたが、私はその短い生涯を不幸だったとは思いません。

  猫にはネズミを捕まえるという本能があり、作物や収穫物を食い荒らしにやって来るネズミを見張ってくれます。農村では飼い猫を室内に閉じ込めることは滅多にしません。

  私が農業研修生として師匠の農場で研修させていただいた頃、野菜栽培の他に養豚や養鶏も学ばせていただきました。広い放牧場が用意されていて、そこに放たれた豚や鶏は太陽の光を浴びながら走り回り、夢中になって土をほじくり返したりしていました。

  近代の畜産では、狭い畜舎に多数の家畜をぎゅうぎゅうに詰め込んで育てる飼育方法が主流となっています。そうしたほうが効率的に大量の肉や卵を生産できます。それでも私の師匠は、家畜が広々とした大地でのびのびと暮らしている風景を大切にされていました。そのように育てられた農場の豚の肉や鶏の卵はおいしくて安全だと、好評でした。

  豚や鶏は人間に食べられるためだけに存在しているのではないし、犬や猫も人間に癒しを与えるためだけに存在しているのではありません。本能の赴くままに自由に体を動かして命を全うしたいという願いを携えながら存在しています。その願いに寄り添うことにより人は動物と心を通わせられるということを、ヤチオは私に思い出させてくれました。 

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