今回の内容です。
じゃがいも、人参、大根、カブ、里芋、サツマイモ、長ネギ、ゴボウ、ほうれん草、水菜、菜の花
「食べきれないので野菜の量を少なくしてほしい」
「その野菜は好物なので、もっとたくさんほしい」
「特定の野菜にアレルギー反応があるので、その野菜は除いてほしい」など
旬野菜詰め合わせ(野菜セット)についての皆さまからのご要望を個別に承ります。ご要望のある方は電話やメールで農場まで、または、小林に直接、お伝えください。
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今日は3月11日。福島第一原発事故から9年。
あの事故を風化させぬよう、過去の農場通信を再公開いたします。
3.11は安全を考える日~信頼の中にこそ~ 平成26年3月10日
日ごとに春めいてまいりました。みなさん、いかがおすごしでしょうか。
今から3年前に発生した東日本大震災と福島第一原発事故。原発事故の記憶が生々しく残りまだ東北・関東地方の農作物の安全性をめぐって混乱が収まらないでいた頃に、中年の女性の方から小林農場に電話で野菜セットについてのお問い合わせをいただきました。
「食材への放射能汚染について心配しています。安全に食べられる野菜を探しています。そちらで作っている野菜は絶対に安全ですか?」とたずねる女性。
「出荷する野菜は定期的に放射能検査をしていこうと思っています。それで、国が定めた規制値を下回るようであれば、出荷していこうと考えています。」と応じる私。
「私たちの家族の中には幼い子もいます。絶対に安全だと生産者の方が言っていただけないような野菜を買うことはできません。」と女性。
「放射能汚染の危険性についてはまだはっきりと分からないことがたくさんあります。とりあえず国が定めた規制値に基づいて、その数値を下回るようであればそれほど大きな危険はないと判断して出荷していきたいと考えています。」と同じことを繰り返す私。
けっきょく女性は野菜セットを注文することをあきらめて電話をきりました。彼女に対して他に対応の仕方がなかったのだろうかと、今でもその時のやりとりを思い出します。
あの頃はどれくらいの被ばく量が安全なのか危険なのか、国の定めた規制値が適切なのかどうか、私の頭の中でも整理しきれずにいました。はっきりと「絶対に安全なので全く心配しなくてもいいですよ。」などと軽々しく言う気にはなれませんでした。
農薬や食品添加物や遺伝子組み換えや食品偽装など、他にもたくさん食品にまつわる深刻な問題があるのに、放射能汚染のことばかりが注目されて、福島県や東北・関東地方の農産物ばかりが危険視される風潮に、違和感を感じずにはいられませんでした。
さまざまな環境汚染が全世界に広がっています。どの食材にもなにかしらの危険性があります。世界中、どこを探しても「絶対に安全な食材」を見つけるのは困難でしょう。どんなに生産者が努力しても、「絶対に安全な食材」を作れないのが現実です。
しかし、生産者も消費者も努力すれば、食品の安全性を高めていくことはできます。東日本に暮らしている消費者の方々が顔の見える地元の生産者と共に、放射能汚染の中でどのようにして食品の安全性を高めていくか対策を練る。そうすることによって、どこか遠くの正体の分からぬ食品を入手するよりも、食の安全を確保していけると思います。
生産者と消費者が顔の見える信頼関係を築く中で作り出される食材こそがこの世で一番安全な食材なのだと、私は思います。生産者のみが努力するのではなく、消費者もいっしょになって社会全体で自然環境の保護に取り組まなければ、食の安全は守れません。
農業は原発とは共存できない 平成31年3月7日
東日本大震災から8年が経とうとしています。皆さま、いかがおすごしでしょうか。
8年前、東日本大震災によって、福島第一原発が事故を起こして有害な放射性物質が大量に東北・関東地方に飛散されました。農作物からも放射性物質が検出されて売れなくなり、農家は苦しみました。多くの農家は、全ての原発をなくしてゆくことを強く望んでいます。
自然災害の多い日本列島では、原発が災害で事故を起こして放射能汚染が生じる危険があります。そのことを8年前に思い知ったはずなのに、日本政府は「原発がなければ国民に電力を安定的に供給できなくなる」と説明して、今後も原発を稼働してゆく方針です。
福島第一原発事故以来、東日本では原発の稼働は停止しています。それでも電力の供給は十分に足りています。私達の日常生活に原発は必要ないことがすでに証明されています。
「原発は発電時に温暖化効果ガスの排出量が少ないので、地球温暖化対策に有効」と政府は言います。しかし、原発が事故を起こせば放射能汚染という究極の環境破壊が生じます。さらに発電後には有害な放射性廃棄物も蓄積され続けてゆきます。地球環境問題を真剣に考えている人ならば、「温暖化対策のために原発を稼働しよう」とは思わないでしょう。
政府が原発を稼働させたい真の理由は、「原発利権」を保持していたいからだと私は思っています。原発のような大きな施設の周辺では大きなお金も動きますので、利権が生じやすいです。その利権から政府は大きな恩恵を受けていると考えられています。
よって原発廃止を実現できるかどうかは技術の問題ではなく、政治の問題だと思います。「原発利権」を投げ捨てて原発廃止を真剣に実行してくれる国会議員が増えれば、日本の政治は原発廃止に向けて舵を切ることでしょう。今年の夏には参議院選挙が行われます。私も原発廃止を目指している立候補者や政党に1票を投じたいと思います。
原発事故を起こした東京電力は、今でも他の原発を再稼働させようとしていますが、私には理解できません。新たに原発を再稼働することに労力を費やすのなら、それよりも先に、東日本全体に飛散してしまった放射性物質を回収して処理することに全ての労力を費やすべきでしょう。私が暮らしている地域では今でもキノコや山菜や獣肉から基準を超える放射性物質が検出されて、出荷制限の対象になっています。これらを安心して食べられるように山林を完璧に除染するべきなのに、「それは無理だ」とほったらかしにされたままです。
数年前に電力自由化が始まり、東京電力以外の電気会社から電力を購入することができるようになりましたので、私はすぐに東京電力から電力を購入することをやめました。電力自由化について私もまだまだ勉強不足ですが、もし原発に頼らない発電方法で生産された電力を供給してゆくことに力を注いでいる電力会社があれば、応援したいと思います。
私のような一般人には原発政策をすぐに止められるような巨大な権力はありません。原発廃止のために私にできることは「選挙で投票する」「電力会社を選択する」などといったことしかありません。本当に微力なのですが、数十万人、数千万人の日本人が同じようにその「微力」を着実に行使すれば、この社会から原発がなくなってゆくのでしょう。