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2020年2月 2日 (日)

害虫対策の基本を再確認    令和1年7月4日

野菜セットには、野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、数か月前の過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。

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害虫対策の基本を再確認    令和1年7月4日

長雨が続き、梅雨明けが待ち遠しい今日この頃です。皆さま、いかがおすごしでしょうか。

カボチャは生育旺盛な作物で、害虫が葉を食べにやって来てもおかまいなしにどんどんツルを伸ばしてゆくので、通常は害虫対策をしなくてもよい作物とされています。ところが今年は畑に植えたカボチャの苗の半分がウリハムシに食べつくされて消えてなくなりました。こんなことは初めてです。残念ですが、今年のカボチャの収量は少なくなるでしょう。

それでもう一度、農業の教科書を開いて、害虫対策の基本について確認し直してみました。害虫対策に重要な姿勢をざっくりと2つにまとめると、「作物を健全な姿に育てること」と「畑の生態系を豊かに保ち、多様な生き物を生息させること」です。

生育に勢いのある健全な作物の体はよく引き締まっているので、害虫に食べられにくいです。軟弱な姿に育っている不健全な作物に害虫は集中的に寄り付きます。まずは作物を健全な姿に育てることが大事で、畑の日当たりや風通しを良くしておくことが大切です。

人間も栄養を摂りすぎると健康を損ねるように、作物も肥料を与えられすぎると軟弱になってしまいます。できるだけ与える肥料を少なくしたほうが害虫は発生しにくくなると言われています。そこで去年、それまで肥料を散布したことのないやせた畑で小松菜やカブなどを栽培してみたのですが、予想に反して害虫が大発生して食べ尽くされました。  

今年もやせた畑に葉物野菜やカブの種を播きましたが、事前に肥料を施して栽培してみました。そうしたら虫害が少なく、無事に収穫できました。肥料によって作物の生育に勢いがつき、害虫の勢いに勝ったのかもしれません。

私の今までの経験から得た直感では、もともと肥えている畑には肥料を与えないほうが良いと思いますが、やせている畑には肥料を与えて育てたほうが、作物は害虫の被害にあいにくくなるような気がいたします。作物の生育に勢いをつけてあげることが害虫対策にとても有効だと、最近は感じています。肥料を与えるのか与えないのか、畑の栄養状態や栽培する作物の性格などを考慮しながらその時その時に判断するようにしています。

いろんな虫や草などの生き物が生息している畑では生態系のバランスが保たれて、特定の害虫ばかりが繁殖することが減ります。害虫が増えればその天敵も増えます。多くの農家は農薬を散布して害虫を退治しますが、害虫だけではなくその天敵も死んでしまいます。

畑では自分の収穫したい作物のみを繁殖させて、そのまわりに生えている草を「雑草」と呼んで取り除きます。だから、多様な草が自生している野山と比べて畑の生態系のバランスは崩れているので、今回のカボチャの虫害のように、どうしても害虫が大発生することもときどきあります。それで農薬を使ったりすると、もっと生態系のバランスが崩れます。まずは農薬を使うことをやめることが害虫対策の始めの1歩だと考えています。

毎年、同じ畑で同じ作物のみを栽培し続けていると、その作物を好物とする害虫ばかりがその畑で繁殖しやすくなります。だから同じ作物ばかりを作るのではなく、いろんな作物を栽培しています。多品目の野菜をセットにして販売するのは、害虫対策にも有効です。

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