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2020年2月12日 (水)

広く開かれている農場    令和1年7月25日

野菜セットには、野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、数か月前の過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。

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広く開かれている農場    令和1年7月25日

朝夕にはヒグラシの鳴き声が聞こえてきます。皆さま、いかがおすごしでしょうか。

  先週、茨城県の農家の方の農場で見学会が行われて、私も参加して田畑を見学させていただきました。こちらの農場は40年間ほど日本の有機栽培を先導されてきました。有機栽培とは農薬を使用しない栽培方法のことで、小林農場での栽培方法も有機栽培と言えます。

現在はビニール資材を有効に利用した防虫・防草技術が流行しています。そんな最先端の技術を見られるのではないかと期待して見学会まで足を運んだのですが、見学会の冒頭で茨城県の農家の方は「ビニール資材は使用し終わった後は大量のゴミになって地球環境に良くないので、それらをできるだけ使用しないようにしている。」と説明されていました。

ビニール資材が張られた畑の風景には「何が何でも作物を害虫や雑草から守る」という、研ぎ澄まされた気迫が漂っています。それと比べて、今回見学させていただいた茨城県の農家の方の畑にはビニール資材の姿は少なく、その風景には「人間だけが作物を独り占めにしないで、少しくらいは虫にも食わせてやれ」みたいな大らかな雰囲気も漂っていました。

畑にビニールを張って太陽の熱にさらしておけば、高温によって土の中の害虫や雑草を殺すことができて、その後に作物を作付けすれば管理が楽になります。ただこの方法では、害虫や雑草だけでなく他の生き物にも害を及ぼして畑の生態系が崩れる危険もあります。

有機栽培では畑に多様な生き物を生息させて、豊かな生態系の中で作物を生育させてゆくように心掛けてゆき、そこには「あらゆる生き物の命を大切にする」という「思想」があります。「ビニール資材を多用している畑には思想が感じられず、農薬を使うのをやめただけで有機栽培だと言ってよいのだろうか」と、茨城の農家の方が疑問を投げかけています。

そこでビニール資材に頼らなくてもよいように、スイスイと簡単に雑草を取り除ける鎌などをご自身で発明されています。身近に安値で入手できる材料を組み合わせたもので、「これなら楽しく除草できるでしょ」と、見学会で見学者の前で実演してみせていました。

  茨城県の農家の方も野菜セットを作って消費者の家庭に配送しています。さらに消費者も畑まで足を運んで除草などを手伝い、農家と消費者がいっしょになって汗を流しながら食糧を自給してゆくようなささやかな共同体を築いています。消費者に楽しく畑仕事をしてもらいたいという想いが、便利な道具を発明してゆく動機づけとなっているようです。

  夏には秋野菜の苗作りが始まりますが、私を含め多くの農家が苗を暑さから守るのに苦戦しています。今回の見学会では、畑に直に種を播いて苗を育てるという、今まで私の頭の中では思いつかなかった育苗方法を教わったので、ぜひ試してみようと思います。

ある意味では私達、農家はみんな、お互いに消費者を奪い合う「商売敵」になる場合もありますが、茨城県の農家の方は、自然環境に優しい技術を他の農家にも積極的に公開して広めようと努めてきました。自分が労力を費やして体得してきた技術を「企業秘密」にして独り占めにしようという考え方はそこにはありません。それが粋な農家の心意気です。競争よりも共存を大切にしながら、共に自然環境に優しい農業を目指そうとしています。

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