病原菌との対峙 令和1年7月18日
野菜セットには、野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、数か月前の過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。
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病原菌との対峙 令和1年7月18日
長雨が続き、梅雨明けが待ち遠しい今日この頃です。皆さま、いかがおすごしでしょうか。
今年の梅雨、関東地方では記録的な日照不足となり、ナスなどの夏野菜が7月に入ってもわずかしか収穫できていません。梅雨が明ければ夏野菜の生育も回復すると思います。
作物に取り付く病原菌はたいていの場合、多湿の気候を好みます。特に湿った環境を苦手とするミニトマトには今年の梅雨は厳しかったらしく、多くのミニトマトが株元から順番に葉が縮れながら茶色に枯れてゆき、疫病にかかってしまった症状が見られました。
病気を引き起こす病原菌が繁殖すれば、そのまわりで健全に育っている作物にも病気が感染してしまう危険性があります。疫病にかかってしまった作物は回復する見込みはありませんので、病気が感染しないように畑から引き抜いて外へ持ち出されたりします。
しかし、今まで手間をかけて育てた作物を引き抜いてしまうのも忍び難いこと。今回は病気で枯れたミニトマトの葉をかきとるだけにとどめ、本体は畑に残すことにしてみました。これで病気の感染が止まって回復してくれるのかどうか、見守りたいと思います。
よく見ると、疫病にかかっているのは特定の品種のミニトマトのみで、他の品種のミニトマトには症状が見られず無事に育っています。小林農場ではどの作物にも複数の品種を導入して栽培していますが、品種によって病気のかかりやすさがはっきりと違います。いろんな品種の種を播いてみて、病気にかかりにくい品種を見つけるようにしています。
毎年5月に収穫できるはずのサヤエンドウは、今年の5月は病気にかかって全滅してしまいました。前年のサヤエンドウから自分で採った種を畑に播いて栽培したのですが、その種に病原菌が付着していたのかもしれません。私は自分で種を採ったらそのまま畑に播いていましたが、もっと神経をつかわないといけないようです。採種した後は一つ一つの種を見直して、変な色や形をしていて病原菌に侵されていそうな種があれば取り除いたほうがよさそうです。種を日干し、陰干ししてしっかりと乾燥させておくことも重要です。
作物の種に病原菌が付着していると、そこから発芽して育った作物も病気にかかってしまう場合があります。市販されている種の多くは、農薬で消毒されて病原菌が退治されています。農薬に依存したくない小林農場は、できるだけ消毒されていない種を入手したいところですが、作物によっては無消毒で販売されている種を見つけるのが難しいです。
市販されている人参の種では、ほぼ全ての品種は農薬で消毒されています。人参の種も特に病原菌の被害を受けやすいということなのでしょうか?小林農場では、市販されている種だけでなく、自分で採った人参の種も畑に播いていますが、自分では特に消毒しません。今までのところ、自分で採った種から育てた人参も病害で困ったことはありません。自分で種を採って無事に管理できれば、農薬を使用して消毒された種を購入しなくてすみます。
会社や学校などのたくさんの人が集まる所で風邪が感染してゆくように、作物が密集していると病気が拡大してゆきやすくなります。狭い面積に欲張って作物を作りすぎずに、作物の間隔にゆとりを持たせて、日当たり、風通しを良くすることが病害対策の基本です。
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