祭りと瞑想 令和1年6月6日
野菜セットには、野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、数か月前の過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。
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祭りと瞑想 令和1年6月6日
入梅の候、皆さま、いかがおすごしでしょうか。
先日、地元の生産者による手作り青空市「SATOYAMAヘルシーマーケット」が市貝町で開催されて、小林農場も野菜や加工品を持参して出店いたしました。私は人と話をするのが苦手ですので、来場者の皆さんにおもしろい話をして楽しませることができません。そこで、商品だけではなく、試食や飾りや遊戯など、会話のきっかけを作ってくれそうな「話のネタ」を事前に用意して、お祭りに持参して店頭に並べておくようにしています。
飲食店の皆さんはこの会場でしか食べられないような個性的な料理を販売していましたので、私もときどき自分の店を抜け出して、飲食のお店を回ってみました。自分の財布の紐をゆるめておくのが、お祭りでの作法。人と話をするのが下手な私が飲食店の方々と交流するため、まずは料理を購入してじっくりと味わってみて、その感想を話のネタとしました。
口下手な私は、どうしても人と話をするときに身構えてしまい、話のネタがすぐに思いつきません。自然に来場者との会話を楽しんでいる他の生産者の姿が、羨ましく思えました。
私は昔から人付き合いが苦手で、そのことに劣等感を感じていました。小林農場を設立するまでは10年間ほど、お師匠さんの農場に住み込んで農業研修生として作物栽培を学ばせていただき、お師匠さんのご家族や他の研修生の仲間達と朝から晩まで寝食を共にする毎日を送っていました。他の人たちと農場で共同生活を送っているうちに私の性格も社交的に変わるかもしれないと思いましたが、けっきょく、あまり変わりませんでした。
農家として独立した後は、気楽な一人暮らしを楽しんでいます。やはり、みんなでいっしょに賑やかに暮らすよりも一人きりで静かに暮らすほうが、私の性格に合っています。
人間はさまざまな感情を抱え込んでいる複雑な生き物なので、付き合ってゆくのにいろいろと気遣いをしなくてはいけません。ずっと人間を相手にしている医者や教師は大変な仕事だと思いますが、それゆえに人々から「先生」と呼ばれて尊敬されています。
自分の農場で農業体験を開催するなど、多くの人達を農場に迎え入れて農業を広めようと活動している農家の皆さんにも敬意が支払われるべきでしょう。私のお師匠さんのように新規就農を目指す若者を熱心に指導してくれる農家にも敬意が支払われるべきです。
いっぽう私は一人になれる時間が好きなので、ひたすら黙々と自分の畑で作物を栽培することに専念してゆきたいと思います。人間と比べて草や虫などは余計な感情を持たずに素直に生き、こちらも余計な気遣いをせずに付き合えます。農業では人間以外の生き物と接するのですが、その間は難しい人付き合いから離れて心を癒せる効用もあると思います。
誰かが「畑仕事は、みんなでやればお祭りになり、一人でやれば瞑想になる」と言っていましたが、うまい表現だと思いました。除草作業では長い時間、黙々と草をむしってゆくのですが、これは一種の「瞑想」だと思います。人々が集って交流を深めてゆく「お祭り的な農業」を他の農場の活動から学ばせていただきながら、小林農場では「瞑想的な農業」を追求したいと思います。言葉を発しない草や虫と付き合うには、「瞑想」するとよいです。
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後記(11月1日記入)
次回のSATOYAMAヘルシーマーケットは、12月1日に開催されます。よろしかったら市貝町の会場までお越しください。
小林農場にとっては希少な「お祭りの時間」となります。次回も張り切ってまいりたいと思います。
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