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2019年9月 2日 (月)

平成最後の野菜セット  平成31年4月25日

野菜セットには、野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、数か月前の過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。

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平成最後の野菜セット    平成31年4月25日

間もなく平成の世が幕を閉じようとしております。皆さま、いかがおすごしでしょうか。

  皆さんにとって平成の30年間はどんな時代だったでしょうか。平成の大きな出来事といえばインターネットの登場です。私達の社会は夢のような便利な生活を実現しました。

  新たに開発された機械やコンピューターは、人に代わっていろんな仕事をこなしてくれるので、人はわざわざ自分の手足を動かさなくてもよくなりました。でも、手足を動かして手間をかけてゆくことによって人は生きている実感を得るものなのだから、手足を動かさなくてもよくなれば確かに楽ですが、生きている実感を得にくくなるかもしれません。

  昔は料理するにも洗濯するにも手間と時間がかかって大変でしたので、家族を築いたり、ご近所さんとの付き合いを大切にしたり、人々がお互いに助け合わなくては生活していけませんでした。今はガスや洗濯機のような便利な道具が開発されて一人でも生活できるようになり、わざわざ他の人と助け合う必要もなくなりました。

同時に自分も他の人から必要とされなくなり、人々は孤立しやすくなりました。不便なことがあれば人々はそれを克服するためにお互いに絆を深めてゆきますが、便利な機械やコンピューターが発達すれば助け合う機会が減り、絆を深めてゆく機会も減ります。

  「生活が便利になれば、人々は幸せになれる」と信じられて、さまざまな便利なものが開発されてきました。しかし、昔よりも今のほうが生活は便利になったのにも関わらず、「自分は不幸だ」と感じて自殺してしまう人の数は増えてゆきました。どうやら「便利」と「幸せ」は必ずしも一致はしないらしいということが分かってきました。

  スーパーの野菜売り場では、日本全国や海外から取り寄せられた野菜が並び、消費者はほしい野菜をたいてい購入できて便利です。いっぽう小林農場の野菜セットでは、小林農場の畑の中のみでその季節に収穫できる野菜しかお届けできず、皆さんにとって便利な商品とはいえません。「味の良さ」とか「安全性」とか「季節感」とか、私が「便利」よりも大切だと思っているものを、野菜セットに詰めてお届けしてまいりたいと思っています。

平成時代の農業では、新たに農業を始める新規就農者の数が増えました。この時代の流れに乗って、東京の都会に生まれ育った私も栃木県の田舎に移り住んで農家になりました。

  都会と比べて田舎の暮らしはずっと不便です。また、農業は手間がかかるわりには収入が少なく、経済効率の悪い産業です。でも、豊かな自然環境の中で生命の源である食べ物を生産してゆく生活は、生きている実感に溢れています。きっと多くの人たちが「便利」や「効率」とは違う価値観を求め始めているから、新規就農者が増えているのだと思います。

  私も自動車やパソコンなどの便利な道具のおかげで人生を楽しんでいます。社会を便利にするために働いている皆さんには感謝しています。便利な社会を実現してきたからこそ、私達は「便利なだけでは幸せになれない」という貴重な教訓を得ることができました。

  今後も人工知能が発達してますます生活は便利になってゆきますが、平成の教訓を生かして「便利」以外の価値も大切にされてゆくでしょう。さあ、新時代・令和の幕開けです。

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