野菜セットには、野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、数か月前の過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。
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毎日、散歩したくなる畑 令和元年5月10日
若葉が目にまぶしい今日この頃です。皆さま、いかがおすごしでしょうか。
今年に入ってから、毎日、畑を散歩して作物の生育の様子をじっくりと眺めて回ることが日課となりました。それまでは、「畑仕事を怠けてのんびりと散歩なんかしていられるか」と思っていましたが、今は、「散歩を怠けると調子が悪くなる」と思うようになりました。
畑仕事の最中は、目の前の作業で頭がいっぱいになり、じっくりと作物を眺める余裕はありません。まわりの野草のかわいらしい花も目に入らず、鳥の美しい鳴き声も耳に入りません。散歩では、作物や周りの生き物とじっくりと向き合える時間をとることができます。
散歩には私の飼い犬も連れてゆきます。鎖に繋がれながら暮らしている犬にとって散歩は生き甲斐のようで、私が手綱を取り出して散歩の準備を始めると、大はしゃぎして私に飛びついてきて、散歩に行ける喜びを全身で表現します。畑仕事が忙しいことを理由にして、度々、犬を散歩に連れてゆくことを怠けることもあった今までの私は、薄情な飼い主でした。私の飼い猫も勝手に私達の後をついてきて、1人と2匹で畑の中を歩き回っています。
この春の作物の生育の調子の悪さが目につき、あまり散歩を楽しめていません。特にこの時期に収穫されるはずだったサヤエンドウがほとんど枯れてしまい、収穫を見込めない状況です。玉ねぎも多くの苗が無事に冬を越せずに消えてなくなりました。
まだ気温が低かった頃は無事に生育していたサヤエンドウは、気候が高くなるにつれて葉色が悪くなって枯れてゆく株が所々に現れ始め、日が経つにつれて右から左へと伝染してゆきました。おそらく、伝染病が発生したのでしょう。今回は市販されている種と自分で採った種を播いて育てていましたが、病気の発生源になった株は、私が自分で採った種から育てたものでした。私の種の採り方に問題があったのかもしれないと推測しています。
作物の生育が悪かったとき、その原因を推理していくためには日々の観察が生きます。気が向いた時だけに観察するのではなく、毎日、観察することに意味があると思います
小林農場を訪問される方々を畑にご案内する機会をいただくことがあります。「こんなに広い畑を一人で管理するなんて、大変ですね」というねぎらいのお言葉をいただきます。
確かに小林農場の畑は広いのですが、全て、私の住まいから歩いて通える距離にあります。他の大多数の農家の皆さんは、住まいと自分が管理している畑の距離が離れていて、車で通わなくてはいけません。それと比べると、自分が育てている全ての作物を毎日、散歩しながら眺めることができる私の仕事環境はとても恵まれていると思っています。
こんなに恵まれている環境で散歩を怠けてしまうと、バチが当たるかもしれません。よく「作物は人の足音を聞きながら育つ」と言われますが、私の今までの経験上でも、私があまり通わない畑では不思議と作物の生育が悪くなってゆく傾向があるような気がします。
5月には雑草が勢いをつけて、畑は草で染められてゆきます。草だらけになると歩きづらくなりますし、特に犬が歩くのを嫌がります。草に覆われて息苦しそうにしている作物を見るのも辛いです。「毎日散歩したくなる畑」を目指して、草刈りに励みたいと思います。
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後記 けっきょく今年の夏も畑が雑草に覆われてしまい畑仕事が忙しくなり、「散歩なんてしている暇はない」と思って、散歩の習慣も途切れ途切れとなってしまいました。
今は秋になり、ようやく雑草の勢いも衰えて、また散歩の時間を作れるゆとりができそうです。とりあえず来週は草刈りに励んで、畑を美化したいと思います。