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2019年6月 8日 (土)

独自の現代版農事歴   平成31年1月31日

野菜セットには、野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、数か月前の過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。

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独自の現代版農事歴   平成31年1月31日

春浅いころ、皆さま、いかがおすごしでしょうか。

  間もなく2月4日、二十四節季の「立春」を迎え、暦の上では春が始まります。実際は今が一年で最も寒い時期で、全く「春が来た」という感じはしませんが、この先はこれ以上に寒くなることはなく気温が上がり始めてゆくという意味で、春の始まりとされています。

  1月に作物の種を蒔いても寒すぎてまともに育たないので、小林農場では立春になってから種を蒔き始めます。昔の旧暦では立春の頃にお正月を迎えて新年を祝いましたが、私の感覚でも、いよいよ作物の種を蒔き始める立春こそが一年の始まりという気がいたします。

  1年間を24等分した暦が「二十四節季」で、「立春」の他に、1年で最も暑い季節「大暑」、最も寒い季節「大寒」など、24の季節に分かれています。作物の種まきの適期や霜が降りる時期を確認したりするために、昔の農家は二十四節季を目安にしてきました。

  日本にはさらに、一年を72に分けた「七十二候」という暦もあり、「桜初めて咲く」「ツバメ来る」など、その季節に現れる花や動物などを基にして、72の季節名がつけられています。季節の訪れを感じることに喜びを抱いてきた昔の人々の心意気が感じられます。

  ただし、日本列島は北海道から沖縄まで南北に長くて、多くが山間地なので地域の標高もさまざまです。それぞれの地域の気候は違い、生息している動植物の種類も違い、違う様子で季節が移ろうので、全ての市町村に共通の七十二候を適用するには無理があります。

私は、小林農場の自然環境に合った季節名を独自に作り、自分の畑仕事に役立てようと思っています。例えば、従来の七十二候の今の時期の季節名は、「鶏、卵を産み始める」となっていますが、小林農場は鶏を飼っていないので、私は独自に「雨降らず、大地乾く」と新たな季節名を作ってみました。本当にこの1カ月間は全く雨が降らず、畑が乾いています。

  昔から菜の花が咲く頃に降る雨は「菜種梅雨」と呼ばれ、多くの植物の花を咲かせる雨として知られています。他にも「春雨」とか「時雨(しぐれ)」とか、昔の人たちはいろいろな呼び名を雨につけています。それぞれの雨の名前から、季節の訪れが感じられます。

  毎年1月は冬型の気圧配置により、太平洋気候の関東平野は晴れの日が続き、雨がほとんど降らずに乾燥します。立春を迎える頃になってようやくまとまった雨が降るのですが、この雨が降る日を狙ってその年最初の種蒔きを畑で行い、雨の水分で種を発芽させます。

  よって、この立春の頃に降る雨は、記憶に残るとても印象的な雨となりますので、この雨にも特別に呼び名を与えてもよいでしょう。春が訪れると美しい声で鳴くウグイスには「春告げ鳥」という呼び名がありますので、立春の雨を「春告げ雨」と独自に呼ぶことにしました。特に今年の関東平野の冬は極端に雨が降らずに乾燥していますので、今年の「春告げ雨」は農家だけではなく多くの人々に喜ばれる雨になるのではないでしょうか。

  農業では暦は必要とされます。二十四節季や七十二候を作って季節を計ろうとしてきたご先祖様たちの知恵を借りながら、昔と今とでは気候がずいぶん変わってきていることを計算に入れて、自分の地域に合った現代版の農事歴を独自に作ってゆければ楽しいです。

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