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2019年5月26日 (日)

理想の土の姿を具体的に描いてみる   平成31年1月24日

野菜セットでは、野菜といっしょに「農場通信」もお配りして、野菜栽培の様子や農場の考え方などをお伝えしてしております。このブログでは、数か月前の過去の農場通信を公開してまいりたいと思います。

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理想の土の姿を具体的に描いてみる   平成31年1月24日

大寒の候、皆様、いかがおすごしでしょうか。

  間もなく、今年度の春野菜の苗作りが始まります。ポットに詰めて用意しておいた床土に種を蒔いてゆきますが、大きく生育して畑に植えられるまで、苗はポットの中で床土に根を伸ばしながら暮らしてゆくことになります。幼くてか弱い苗は、床土の質が悪いと生育できません。準備した床土の質は良いのかどうか、確認しておく必要があります。

  床土の中の水分が多くなりすぎたり少なくなりすぎたりしたら苗はまともに育たないので、適切な水分量が常に保てていなくてはいけません。よって床土には、食器などを洗うのに使われるスポンジのように、水はけが良くてなおかつ水もちも良いという、相反する性質を同時にそなえていないといけません。床土の質が良ければ、手で触ってみるとスポンジのような感触になっています。ふんわりとしていて心地が良いです。

  床土の材料の主体は落ち葉で、それに米ぬかや水を加えて発酵させて、二年間ほど寝かせてじっくりと熟して作られます。まだちゃんと熟していない状態で種を蒔くと、ほとんど発芽してくれません。熟しているかどうか確認してから種まきをする必要があります。

  未熟な状態の床土はまだ発酵の途中なので、触ると発酵によって生じた熱でポカポカと暖かいです。また、鼻に近づけると匂いを感じます。ちゃんと発酵を終えて熟していれば、その土の色は黒々と輝きます。手触り、匂い、色などを手掛かりに、熟度を推測できます。

  畑の全部の土作りも、床土を作るのと同じくらいに手間と神経をかけて作ってあげられればよいのですが、広すぎて無理です。せめて目の前の土の状態が良いのか悪いのか、正しく見極められるようになりたいと思います。良い状態の土を選んで作物を植え、状態が良くない土には集中的に肥料や堆肥を与えるなどの改善策を施してまいりたいと思います。

  土をぼ~っと見ていては、どの土も同じようにしか見えません。でも見ているだけではなく、実際に自分の手に土を取ってみると、その手触りがそれぞれ違うことに気づきます。現在、栃木県では1か月ほど全くまとまった雨が降らず乾燥した状態が続いていますが、それでも作物が良く育つ畑の土を握りしめてみると塊になり、水分を感じました。雨が降らなくてもしっかりと水分を一定に保ってくれているので、作物にとって良い土です。良くない土ならば握りしめてもパサパサとして塊にならずに、バラバラにこぼれるでしょう。

農家はよく観察して土の状態を判断してゆきますが、そのときに土の手触り、匂い、色、またはその土に自生している雑草の種類などを手掛かりとしてゆきます。違う場所にある土は違う顔をしています。その違いに気づいてあげられるようになることが、土作りの最初の1歩です。作物栽培に適した土の姿を、自分の頭の中に具体的に描けるようにしたいです。

質が良くてサラサラとしている土は、種を播くのにも苗を植えるのにも、あらゆる畑仕事がやりやすく、たいてい作物の生育も順調です。ゴロゴロと大きな塊の多い土では、同じ畑仕事をしていても何倍も時間がかかり、作物の生育も停滞しがちです。仕事がしやすいと農家が感じる土が作物にも良い土で、感覚的にその土の良し悪しをすぐに判別できます。

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