素直な性格の苗 平成30年5月17日
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素直な性格の苗 平成30年5月17日
初夏の候、皆さま、いかがおすごしでしょうか。
2月から5月にかけて、数えきれないほどの春野菜の苗と夏野菜の苗を育苗ハウスの中で保温しながら育てて畑へと巣立たせてゆきました。霜が降りて冷え込むことがなくなった今、次々と夏野菜の苗が畑へ植えられてゆき、長かった苗作りが終わりを迎えています。
ハウス内の温度が低くなりすぎれば苗の上にビニールをかぶせて保温し、温度が高くなりすぎればハウスの側面を開けて換気し、ハウス内の適温を保つために常に気を配りました。乾燥して苗が乾きやすい日にはホースを持って1時間かけてかん水することもありました。ハウスから苗を巣立たせればこれらの毎日の手間な管理からやっと解放されます。
幼い子供の頃に受けた経験がその後の人格の形成に大きな影響を及ぼす人間の場合と同様で、作物も苗の頃の生育がその後の生育の様子や収穫に影響を与えます。「苗半作」という言葉がありますが、それは作物栽培の上で苗作りはかなり重要な作業であるという意味です。今まで私はなかなか納得のゆく姿の苗が作れず、苗作りは小林農場の課題でした。
今までの私は、ハウス内の温度をあまり暖めず低温を保ち、水も苗にあまり与えないようにして、できるだけ厳しい環境の中で苗を鍛えようとしてきました。でもそうすると苗はいじけてしまうようで、いつまで経っても大きくならず生育が止まってしまいました。
この春はできるだけハウス内の温度を高く管理して、水もたっぷりと苗に与えて、甘やかしながら育ててみました。すると、葉が伸び伸びと広がり、色もさわやかな姿の苗を育てることができました。いじけたりぐれたりして停滞することなく、素直に生育していました。
そのようにして育てたキャベツやレタスを3月から4月にかけて畑に植えてゆきましたが、不意に寒くなったり雨が降らなくなったりして気象条件が厳しくなると枯れてしまいやすく、今年の畑に植えられた苗は逆境に弱い感じがします。ハウスの中で私が甘やかして育てたからでしょうか。
厳しく育てるといじけて生育が止まってしまい、いっぽうで甘やかして育てると厳しい気象条件に耐えられなくなります。子育てを経験されたことのある皆さんは、これと似たことをお感じになったことがありませんか?子育てと同じように、苗作りも奥が深いです。
苗作りでは、まずはハウスの中では大事に温めたり水を与えたりして素直に生育させてあげることが肝心。そして、苗作りは畑に植えたら終わりではなく、苗の根が畑に根付くまでの数日間は手間をかけて防寒用の布をかぶせて防寒したりして露地の厳しい気象条件から守ってあげれば、あとは私の助けを借りなくても苗は自立して生育してゆくでしょう。ハウスの中で素直に育った苗は、きっと畑でも停滞せずに素直に生育してくれるでしょう。
赤ちゃんには必ず親の面倒が必要ですが、苗にも農家の細かな管理が必要です。苗作りは農家としての勘が最も試される作業です。私の場合は、厳しく育てるよりも優しく育てたほうが、苗は良く生育してくれるようです。まだまだ課題はのこしていますが、この春は素直に生育してくれる苗を作ることができ、ここ数年で最も良い苗作りだったと思います。
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