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2018年6月27日 (水)

種子をめぐる気になる話    平成29年3月30日

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種子をめぐる気になる話    平成29年3月30日

花便りしきりの今日この頃です。皆さま、いかがおすごしでしょうか。

  去年の秋から今の時期まで出荷し続けてきた人参の品種は「小泉冬越し五寸」と言います。人参らしい香りが強くて私のお気に入りの品種で、去年の夏にこの品種から自分で種を採ってみました。秋にその種を播いてみると無事に発芽して生育してくれて、よく肥大した人参を収穫・出荷することができました。今後も毎年、この品種から種を採る予定です。

収穫した人参の中から形の美しい「母体」を選んで、それらを再び土の中に埋め戻すと、やがてそれらの母体から芽が出て、六月には花を咲かせて種を結実してゆきます。美しい形の人参を母体に選ぶことにより、次の世代もその遺伝子を受け継いで美しい形に育ちます。母体の選抜を毎年繰り返せば、年々、美しい形で良質な人参を収穫しやすくなります。

  人参の花は、大菊のように豪華できれいです。花が枯れてカサカサに乾いた頃、その中にはたくさんの種が結実しています。枯れた花ごと刈り取り、手でもんだりして粉々にします。ふるいにかけて大きなゴミを取り除き、風に当てて小さなゴミを吹き飛ばすと、きれいに種だけを取り出すことができます。それらを干して乾かし、袋に入れて保存します。長ネギからも、だいたい人参の種と同じようなやり方で種を採種しています。

  小林農場ではほとんどの野菜の種を種苗会社から購入していますが、気に入った品種を見つけたら自分で種を採るようにしています。母体を選ぶ作業は、自分はどんな姿の野菜を育てたいのか、改めて見直す良い機会になります。普段は見られない野菜の花と出会うことによって、より深くその野菜の生態を理解できるような気がいたします。作物は子孫を遺すために一生懸命に生きているのであり、少しでもその種を遺してあげたいものです。

  種子をめぐって気になる動きがあります。農林水産省は種苗業界の「育成者権」を保護するため、農家の自家採種を規制してゆく方針のようです。書籍や音楽には「著作権」がありますが、同じように種苗業界が開発した品種にも「育成者権」があります。今後は種苗会社が開発した品種から採種してその品種の作物を無断で自分の田畑で栽培して増殖すると、育成者権を侵害したとして罰則を受けることになるかもしれません。

  「食料の自給」が農家の使命だと思いますが、作物は種から育つもので、その種を自分の手で確保できなければ、本物の「食料の自給」は実現できません。農家が自家採種することが大事なのですが、現在の農水省の方針では、農家が自由に種を採種しにくくなります。

「著作権」が必要な書籍や音楽などとは違い、種子は人類が共有すべき財産です。その所有を誰かが独占できるような仕組みが作られると、「食料の自給」は危うくなるでしょう。ある程度「育成者権」は必要なのでしょうが、その権利が過度に強化されぬよう願います。

現在の日本で栽培されているほとんど野菜の原産地は海外です。昔、海を渡って日本列島にやってきた人々によってこれらの野菜の種が播かれ、年月をかけて母体を選んで採種することを繰り返し、日本列島の気候に合った遺伝子を携えた種を遺してきました。こうした壮大な歴史があったから、小林農場の畑でも多様な野菜を栽培することができるのです。

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