数字との対峙 平成30年3月16日
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数字との対峙 平成30年3月16日
春便りの嬉しい季節となりました。皆さま、いかがおすごしでしょうか。
先週の3月11日、東日本大震災が発生して7年目を迎えました。当時は福島第一原発事故も発生して放射性物質が拡散し、栃木県産の農産物も放射能汚染の影響を受けました。
放射性物質に触れてしまうと人体が損傷してしまう危険性があるのですが、それらは花粉のように小さすぎて姿が見えません。でも、測定機を使用すれば、どこにどれだけの放射性物質があるのかつきとめることができます。行政が大掛かりに調査を行ってきました。
「ベクレル」という単位で放射性物質の量を表します。行政は科学的な知見から、食品は100ベクレル/kgを安全基準値として定め、原発事故以後、測定器を使用して食品を定期的に検査しています。100ベクレル/kg以上の数値が検出される品目は出荷が制限され、100ベクレル/kg以下の品目のみを安全として出荷されることになっています。
各自治体が継続的に行ってきた検査の数値を見ると、栃木県内の田畑で採れる農作物はほとんどが測定器に検出されないほどの低い数値で、安全だと言えるようです。いっぽうで、野生のキノコ、山菜、獣肉などの「山の幸」からは事故から7年経った今でも安全基準値を超える高い数値が検出されて、出荷が制限されています。人の手の届かない山林には放射性物質が溜まりやすいようで、「山の幸」の汚染の長期化が懸念されています。
堆肥の安全基準値は400ベクレル/kgと定められ、この数値以下の堆肥のみが使用可能となります。小林農場では周囲の雑木林からかき集めた落ち葉で堆肥を作っていますが、落ち葉は「山の幸」で注意が必要と考え、堆肥を検査機関に提出して検査しています。
同じ雑木林でも、放射性物質が溜まりやすい所と溜まりにくい所があり、検体をどの箇所から採取したかによって、検査結果が変わってきます。一つだけでなく、複数の検体を提出して検査してもらうようにしています。また、検体が湿っていると数値が実際よりも低くなる傾向があるので、できるだけ検体を乾かしてから提出するように注意しています。
小林農場の堆肥の数値はいつも400ベクレル/kgを大きく下回り、過剰に心配する必要はなさそうです。ただ、堆肥を検査してもらいながら感じたのは、検体を採取した場所や提出した検体の湿り具合などによって数値は左右されやすく、測定値と実状の間に「誤差」はどうしても生じるものなのだろうということです。検査の精度にも限界があります。
だからと言ってこれらの検査は無意味だとは思いません。検査を繰り返せば安全性の傾向が分かってくるので、今後も定期的に検査をしてゆくことは良い習慣だと思います。
今回の原発事故では作物の安全性を確認するために数値を頼りにしてきましが、今後小林農場の畑の土作りにも「数値」を活用してみたいと思っています。簡易な測定器があれば自分で畑の酸度や硬度などを測れるので、測定値を見ながら効率的に土作りができます。
ただ、前述のとおり、ちょっとした要因で検査結果の数値は左右され、誤差が生じると思います。数値をどこまで信用するのか?誤差をどこまで許容するのか?その最終判断を私の直感で下してゆくことになります。数字との付き合い方を学んでゆこうと思います。
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