誇り 平成29年10月19日
誇り 平成29年10月19日
秋の夜長、皆さま、いかがおすごしでしょうか。
私の地元では「地産地消」が大切にされていて、長い間、保育園、小・中学校の学校給食の食材に地元の生産者団体が生産した農産物が使われてきました。私もそちらの団体に入れていただき、ジャガイモを学校側に出荷させていただいています。
今週は毎年恒例の交流会が学校で開かれて、子供たちといっしょにおいしい給食をご馳走になってきました。今年はジャガイモが不作でほとんど出荷できずに心苦しかったのですが、それでもいつものように子供たちや職員の皆さんは優しく私を迎えてくれました。
現在、日本政府は他国との「自由貿易」を推進し、関税を撤廃して、多国間で物を自由に売買できるようにすることを目指しています。日本に自分の国の農産物を売り込みたい他国の要望も聞き入れなくてはいけなくなるので、農業界への影響が懸念されています。
例えば、他国が「地元の生産者だけで学校給食の食材の供給を独占するのは自由貿易の理念に反する」と異議を申し立てて、「自分達の国の農産物も学校給食に売らせるべきだ」と圧力を強めれば、各地で大切に育んできた地産地消の取り組みが崩されてしまうことが懸念されています。世界中で自由貿易が当たり前になれば、ありうる話だと思います。
自由貿易が推進されて関税が撤廃されれば、価格の安い農産物が海外から輸入されて、国内の農家は厳しい価格競争にさらされます。おそらく農業だけではなく、全ての産業に同じことが言えるでしょう。自由貿易は「武器を持たない戦争」でもあり、どこの国が世界市場を支配するのか、競い合うことになります。敗れて貧しくなる国も現れることでしょう。
自国の市場が他国によって支配されて、今まで大切に育んできた自国の日常生活を壊された人々は不満を爆発させて、争いの絶えない世の中になるかもしれません。自由貿易によって世界中の人々の交流が活発になることを多くの人が期待していますが、私は過度な自由貿易が世界中の人々の間に拡散するのは「交流」よりも「憎悪」だと思っています。
「自分に誇りをもつこと」と「他者を尊重すること」は対になっていると思います。自分に誇りを持てれば、自分と他者は違うことを認識して、その違いを尊重できます。他者を支配して自分の思い通りにしようとするのは、自分に誇りを持てない人間のやることです。
日本の農村には、日本列島の風土の中で人々が生き抜いてゆくための知恵を蓄積され、日本人の原風景を築いてきたという、地に足の着いた確かな誇りがあります。日本人が日本に誇りを持つには農業を大切にすべきだと感じ、私は農村に移り住み、農家になりました。
人口の多い日本は貿易に頼らなくても内需で経済を盛り上げられます。衆議院総選挙が終盤を迎えています。海外の市場を狙って支配するよりも、自国の土台を支えている農村や地方を大切にした「誇りを持てる日本」を築く政治家に、私は1票を投じるでしょう。
海外に目を移すと、自由貿易などのグローバル化を推進しようとする政治家が選挙で負けることが増えています。世界の多くの人々が、過剰なグローバル化は「共存共栄」よりも「弱肉強食」を推し進め、これでは世界平和は築けないと感じているのではないのでしょうか。
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