「安全」を選び獲る選択 平成29年10月12日
「安全」を選び獲る選択 平成29年10月12日
秋冷の候、みなさん、いかがおすごしでしょうか。
期せずして、やる意味がよく分からない衆議院解散総選挙が行われることとなりました。選挙が行われる度に、私は「原発の廃止」を公約してくれる政党に1票を投じています。
6年前に福島第一原発事故が発生し、人体に有害な放射性物質が大量に、福島県を中心にして東北・関東地方の広い地域に飛散してしまいました。放射線物質に被ばくすると癌などのさまざまな病気にかかってしまう場合があります。被ばくしてすぐに発症するとはかぎらず、数年、数十年経ってから発症する場合もあることが知られています。
当時の日本政府は事故直後、「被ばくしても直ちに健康障害が発生するわけではないので、落ち着いてほしい」と呼びかけ、国民を安心させようとしていました。しかし、「数年経った後に病気が発症するかもしれない」という危険性は語ろうとしませんでした。
政府は、風に流されて放射性物質がどの地域に広がっていったのかをすぐに公表しようとしませんでした。社会に不安が広がって大混乱が生じないように、深刻な被害状況をできるだけ伏せて国民を安心させるように努めた政府の心境は、理解できなくはありません。でも、それによって、多くの方々が素早く避難していればしなくてもよかったはずの被ばくをしてしまいました。多くの国民が政府の姿勢に不信感を抱きました。
東北・関東地方で採れる農産物や魚介類も放射性物質で汚染されている危険がありましたので、政府は新たに食品の安全基準値を設定しました。しかし、政府が作った安全基準値では甘すぎて、これでは食品の安全性は守れないという批判が数多くあげられました。
政府と国民の間の信頼関係は崩れかけていました。政府が国民に、東北・関東地方の農産物や魚介類は安全基準値を下回っていて安全であることを強調すればするほど、「本当に安全なの?」と消費者はますます疑いを強めてゆくようにも見えました。
かくして東北・関東地方の農家や魚師は、せっかく収穫しても売れなくなってしまい、理不尽な苦しみを味わうこととなりました。政府の言っていることが信用できず、いったい何を信じてよいのか途方に暮れる人々が消費者の中にも生産者の中にもたくさんいました。
政府と国民の間に信頼関係が築かれていなければ、社会は混乱します。政治家には誠意を尽くして国民に接すること望みますが、その前にまず国民一人一人がどの政治家なら信頼できるかを見極めながら選挙で投票することが肝心です。
私は、原発の問題が重大な選挙の争点になると考えていて、原発に対する姿勢を見ながら政治家を選んでいます。福島の事故も、もし被害が拡大してチェルノブイリ原発事故ほどの規模になっていたら、東北・関東地方のほとんどの地域は人が住めなくなっていたと推測されています。国民の安全を真剣に守ろうとする政治家ならば、事故を起こしたら莫大な被害をもたらす危険な原発を廃止することを公約するはずだと、私は考えています。
関東地方では福島原発事故以降、原発は停止していますが、それでも人々は普通に暮らしています。原発は私達の暮らしに必要ないことは、すでに証明されているのですから。
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