« 平成29年12月1日の野菜セット(日本カボチャについて) | トップページ | 冬季の長期保存について »

2017年12月 5日 (火)

進化する雑草対策   平成29年9月14日

進化する雑草対策   平成29年9月14日

朝夕は日毎に涼しくなってまいりました。皆さま、いかがおすごしでしょうか。

  温暖多湿の日本列島では草が元気に生え、この島国で農業を営むには雑草と深く関わることになります。雑草対策においては農家が知恵を絞り合って、叡智が集積されています。

除草剤を畑に散布して雑草を枯らす方法が一般的に行われていますが、除草剤は雑草以外の生き物にも害を及ぼしてしまう心配があります。畑の中には、人の目には見えないくらいに小さな微生物も含め、多くの生き物が作物の生育を手助けしてくれています。これらの生き物たちが織り成す生態系を壊してしまわないように気をつけなくてはいけません。

  除草剤を使わずに楽に雑草を抑える技術として最近注目されているのが、「太陽熱処理」です。作物を作付けする予定の畝にまず透明のビニールを張って、数週間ほどそのまま日光にさらしておきます。そうしておくと、ビニールの真下は高温となり、畝の表面に点在する雑草の種は蒸し焼きされて死滅します。その後にビニールをはがして作物の種を播きます。

  去年、小林農場でも初めて太陽熱処理を施して、その後、人参の種を播いてみました。播かれた人参の種が発芽した後は、その畝は人参の葉のみで覆われて、いつまで経っても雑草の姿はほとんど現れませんでした。私が期待していた以上の大成功でした。

  太陽熱処理によって雑草の種だけではなく、人参の生育を手助けしてくれる微生物たちもいっしょに死滅してしまうのではないかという心配もありました。この雑草対策が人参の生育に良いのか悪いのかを判断するには、実際に生育中の人参本人にたずねてみるのが一番よいでしょう。太陽熱除草で栽培した去年の人参は、何の問題もなく順調に生育してくれました。どうやら人参もこの雑草対策を気に入ってくれているように見えました。

  太陽熱が蒸し焼きにするのは畝の表面のみで、地中深くに生息している微生物たちには害を及ぼさないと推測されます。日光の届かない深い地中に点在している雑草の種は発芽せずに眠ったままですが、微生物は深い地中でも活発に活動してくれているようです。

  ナスやピーマンなどの栽培では、生育中の作物の株元に黒色のビニールを張って日光を遮ると、雑草の種は発芽しにくくなって効果的です。ただ、ビニールは使用後にはゴミとなり、あまり使いすぎるとゴミが大量に増えてしまいます。小林農場では、一度使ったビニール資材はなるべく捨ててしまわずに何度か再利用して、ゴミの増加を抑えようとします。

昔の農家は、自然界に循環されてゆくワラやモミガラなどの天然物を作物のまわりに敷いて雑草を抑えていたようです。最後はゴミと化すビニール資材を利用するよりも自然環境に優しい雑草対策と言えます。

これらの天然物をかき集めて持ち運ぶには大変な時間と手間を費やさなくてはいけません。労力の手間を省けて便利なビニール資材を活用しつつ、同時に天然物を雑草対策にもっと楽に利用できる方法も模索してゆきたいたいです。

« 平成29年12月1日の野菜セット(日本カボチャについて) | トップページ | 冬季の長期保存について »

農場通信」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 進化する雑草対策   平成29年9月14日:

« 平成29年12月1日の野菜セット(日本カボチャについて) | トップページ | 冬季の長期保存について »

2023年6月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  
フォト
無料ブログはココログ