玉ねぎの話 平成29年10月5日
玉ねぎの話 平成29年10月5日
爽冷のみぎり、みなさま、いかがおすごしでしょうか。
先月、玉ねぎの種を畑に播きました。これらは冬を越し、来年の初夏に収穫されます。
収穫された後、玉ねぎは数カ月間、眠ります。この間、玉ねぎは芽を伸ばすことなく、静かに貯蔵されます。しかし、眠っているだけで生きてはいるので、数か月後には目覚めて再び玉から芽を伸ばし始め、貯蔵できなくなります。玉ねぎが眠っている隙に、私達は食べます。
小林農場ではいろんな品種の玉ねぎを栽培していますが、特に5月に入ってからすぐに収穫できる「極早生品種」と、眠っている期間が長くて次の年の3月まで長い間貯蔵しながら出荷してゆける「貯蔵性の良い品種」の栽培に力を入れています。5月から次の年の3月までの10か月間、ずっと玉ねぎを出荷してゆくことを目指しています。
ここ数年間、極早生品種は期待通りに5月の早い時期から収穫できていますが、貯蔵性が良いはずの品種の玉ねぎが秋に入る前から傷み始めてしまいます。今年も多くの傷んだ玉ねぎを処分することになり、在庫もずいぶん減ってしまいました。今後は出荷量を落として、在庫を確保しながら少しずつ出荷してゆくことを検討しています。
玉ねぎは肥沃な土でないとうまく育たないと言われているので、いつも肥沃な土で育てています。ただ、肥料を吸収しすぎると、貯蔵性が悪くなるとも言われています。今年収穫された玉ねぎは、生育中、葉の緑が濃くて、肥料をよく吸収しているように見えました。
雑菌は玉ねぎの上部、首の部分から侵入するので、首の形がよくくびれていてしっかりと「フタ」がされている玉ねぎは傷みにくいです。玉ねぎの首を指で押してみて、固ければ貯蔵性のある玉ねぎで、ふにゃりと柔らかければ貯蔵性の悪い玉ねぎだと推測できます。今年収穫された多くの玉ねぎの形は、少し縦に長くて、てっぺんの首の部分が膨れて、しまりがありませんでした。収穫された時点ですでに、貯蔵性の悪い姿をしていました。
11月に入ってから大きく育った玉ねぎの苗を畑に植えてゆきます。今回は、極早生品種の苗はいつもどおりに肥沃な土に植えますが、長期間貯蔵したい品種の苗はあえてやせた土を選んで植えてみたいと思います。貯蔵性の向上を第一に考えて栽培してみます。
玉ねぎを出荷する前に、1つ1つ手に取って傷みがないか検品していますが、外見を検品しても中身の状態を把握しきれず、部分的に傷んでいる玉ねぎも野菜セットに混じってしまう場合もあるかもしれません。傷んでいる部分がありましたら、お手数をおかけいたしますが、その部分を切り除いてからご利用していただくよう、お願いもうしあげます。