ほどよい距離 平成29年8月3日
ほどよい距離 平成29年8月3日
花火の音が聞こえてくる季節となりました。みなさん、いかがおすごしでしょうか。
7月の終わりに私が愛用しているパソコンが故障して修理に出し、10日間ほどはパソコンのない生活を送りました。インターネットも使用できずメールでのやりとりもできなくなりました。メールの返信が遅れたりして、農場にメールを送信してくださった方々にはもうしわけありませんでした。現在はパソコンも治り、メールも毎日確認しています。
小林農場はネット上にブログを開設していて、農場の様子をお伝えしています。ブログをマメに更新することが私の日課であり楽しみでもあったので、全く更新できない日が続いたこの10日間は、もどかしかったです。現在は農場のブログの更新を再開しています。
たかだかパソコンがなくなっただけなのに、けっこう日常生活や仕事に影響があり、生活の様子や私の気分がいつもとは微妙に違っていました。現在は多くの世帯がパソコンやスマートフォンを所有して、インターネットは私たちの社会に強い影響力を放っています。
ネットには一度開くとなかなか閉じられなくなってしまうような依存性があり、度々ネット依存症の問題が取り上げられています。私も作物栽培について調べたい時にネットから情報を収集するのですが、一つの情報を手に入れるともっと情報が欲しくなってきていつまでも検索を繰り返し、気付いたら1時間も2時間も時間を消費したりしています。
こんなことをしていたら畑仕事に費やす時間がなくなってしまいます。どうやら私もネット依存症にかかりかけているようなので、ネット使用時間を制限するようにしました。
農林水産省は、次世代の農業に「スマート農業」を取り入れてゆくことに力を注いでいくようです。農林省の説明によると、「スマート農業」ではICTを活用し、GPSシステムやアシスト装置を開発して、センシング技術などでノウハウをデータベース化することを目指しているようです。分かりやすく言い直すと、農地にコンピューターを導入して農場経営の効率を良くしようとしています。今までの農業では、農家が自分の経験から養ってきた「勘」によって作物を栽培してきましたが、代わってコンピューターが栽培地の状況を分析して適格な栽培方法を選び出そうとしています。
ただ、工業製品と違って農産物は生き物なので、良い農産物を作るには、作物に愛情を注いであげる必要があります。人間は作物に愛情を注ぐことができますが、はたしてコンピューターが作物に愛情を注ぐことができるのかどうか。
いつの時代でも作物栽培で大事なのは、自分の目で作物をよく観察して「勘」を養い、作物の気持ちを察してゆけるようになることです。コンピューターに栽培を頼りすぎると、作物と会話する機会が減って「勘」が鈍るかもしれません。そもそも、スマート農業を導入すれば農家の出費は増えて、ますます生活が苦しくなってしまうのではないのでしょうか。
お酒は飲みすぎるとアルコール依存症になって心身を損ねますが、適量を楽しむのであれば「百薬の長」となります。コンピューターという素晴らしい道具を素晴らしいまま利用するために、コンピューターとの距離をほどよく保つことが、人間の側に求められます。
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