レタスの話 平成29年5月19日
レタスの話 平成29年5月19日
日中は汗ばむほどの陽気です。みなさん、いかがおすごしでしょうか。
5月はレタスの旬です。今回は、レタスについてあれこれ、お話しさせていただきます。
レタスの発祥地は地中海沿岸から中近東地帯。日本列島にレタスが渡ってきたのは意外に古く、平安時代の頃です。レタスの茎を切ると白い乳液が出てくることから、最初の頃は「乳草」と言う言葉がなまって「チシャ」と呼ばれていたようです。
レタスといえば一般的に結球する玉レタスのことを言いますが、結球しないレタスの仲間も多く、小林農場でも、赤紫と黄緑の色合いが美しいサニーレタスなども栽培しています。5月上旬頃に野菜セットに入れていたサンチュは、葉を1枚1枚かき取って収穫し、その葉に焼き肉などをくるんで食べたりするので「つつみ菜」とも呼ばれていますが、最初に日本列島にやってきたレタスはこのような「かきチシャ」の種類だったようです。
「チシャ」がレタスと呼ばれて日本で本格的に食べられるようになったのは、昭和の終戦後です。日本の食卓が洋風化してゆき、サラダが一般的に食べられるようになった頃です。日本の食卓の風景が大きく変わったことを示している野菜と言えるかもしれません。
玉レタスはキャベツと同じように結球するのですが、レタスはキク科の植物で、アブラナ科の植物のキャベツとは全く違う仲間です。タンポポはキク科の植物なので、レタスと同じ仲間。結球したレタスを収穫せずにそのまま畑に残しておくと、やがて結球している頭が割れて長い茎が高く伸び出し、その先にタンポポに似た花を咲かせ、花はやがて綿毛に変わって、風に乗ってどこかへ飛んでゆくらしいです。そうなる前に私はレタスを収穫するので、自分の目でレタスの花や綿毛を見たことはありませんが。
レタスとキャベツは同じ時期に栽培するのですが、キャベツと比べてレタスの栽培は簡単です。日本にはキク科の植物を好物とする虫があまりいないようで、レタス栽培ではほとんど害虫に悩まされることがありません。同じ時期に同じ畑でキャベツとレタスを育てることが多いのですが、キャベツの葉にはあちらこちらに虫に食われた跡の穴が目立つのに、そのすぐ隣では、レタスが光沢のあるきれいな葉のままでたたずんでいたりします。
1年で最も虫害が目立つ秋に栽培するレタスはここ数年、虫害にあうようになってきていますが、春作のレタスの栽培に関しては、私は今までに失敗したことがありません。毎年4月は収穫できる野菜が少ない端境期(はざかいき)で、野菜セットに入れる野菜の種類数を確保するのに苦労するのですが、4月の終わり頃には必ずレタスは収穫時期を迎えてくれて、端境期が終わりに向かっていることを知らせてくれます。頼りになる作物です。
低温で乾燥している西洋で誕生したレタスは、日本の高温多湿の梅雨の気候には弱く、傷みやすくなります。梅雨に入り始める6月以降にレタスを出荷する場合はよっぽど神経を使って検品しなくてはいけないので、最近では6月に入る頃にはレタスの出荷を打ち切ることが多いです。レタスの収穫を安心して楽しめるのも、あと2週間でしょうか。
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