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2017年3月30日 (木)

土作りの方向性   平成29年1月26日

土作りの方向性   平成29年1月26日

大寒の候、みなさん、いかがおすごしでしょうか。

  寒い1月の畑はひたすら静か。暖かくなりいろんな生き物たちでにぎやかになって畑仕事が忙しくなる前に、地元のあちらこちらから、肥料の材料となる有機物を入手しました。

  玄米を精米する時に排出される米ぬかは、とてもよく利用される有機物です。栃木県にはあちらこちらに「コイン精米機」が設置されていて、そこで排出された米ぬかは、コイン精米機のすぐ隣に設置された大きなタンクの中に貯蔵されます。私は地元のコイン精米機の管理者の方の許可を得ながら、タンクの中から米ぬかを取り出していただいています。

  買えば数万円もする大量の米ぬかを、コイン精米機から無料でいただいていますが、金をかけない代わりに、とても手間はかけています。多くの農家はこのように有機物を確保したり肥料を作ったりする手間を省いて、店から化学肥料を購入することが多いようです。

  化学肥料は鉱物より製造されますが、資源の乏しい日本では作れず、海外より輸入されています。また、日本で飼育されている家畜の飼料の材料も、ほとんどが海外から輸入されています。さらに、日本人が食べる食材の多くが、海外より輸入されています。

  日本に輸入された後、それらは生ごみや糞尿に姿を変えて、日本の国土に蓄積されてゆくことになります。人の体も栄養を摂りすぎると成人病などの障害をきたすように、土も生ごみや糞尿によって養分過剰になれば障害をきたし、その土から採れた作物も健全ではなく、土から過剰な栄養が流れ込んだ水も人がまともに飲めるものではなくなるでしょう。

  今、地球環境問題で注目されているのは地球温暖化などですが、今後の日本では土の過剰栄養が最も身近な脅威となるかもしれません。この問題を解決する道が「自給自足」です。食べ物も肥料も海外から大量に輸入したりせず、できるだけ地域内で自給してゆくのです。

  地域内で利用できる有機物は無限にあるわけではありません。現在は近所の有機物を小林農場がほぼ独占できる状態ですが、もし多くの農家が小林農場と同じように肥料の自給に目覚めたら、地域の有限な有機物をめぐって激しい争奪戦が農家の間で繰り広げられ、有機物は枯渇するでしょう。有機物に依存しすぎる栽培方法も、永続的ではありません。

  作物栽培ではまず田畑を耕すのが普通ですが、耕すことによって作業効率は良くなるのですが、地力は消耗するので、人が肥料を施す必要が生じます。最近では土を耕さないで作物を育てる「不耕起栽培」が注目され始めています。耕さなければ「減肥料栽培」が可能になり、ついでに「減石油栽培」「減出費栽培」にもなり、より永続的な栽培となります。今後、不耕起栽培の研究が進み、作業効率が悪いという問題点を克服させながら、農家が生活してゆける栽培技術として確立されてゆくことを、私も期待して見守っています。

 不耕起栽培を成功させるには土に地力がなくてはいけないので、まずは有機物を畑に与えて地力を上げてゆくことが必要です。最初は地域内から有機物を確保して肥料を自給しながら土作りをして、徐々に無理なく肥料を減らしていきながら、肥料を必要としない栽培に移行してゆく。そんな方向を向きながら土作りができれば理想的だと思っています。

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